「コリアン世界の旅」野村進

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歌手のにしきのあきらさんの話に始まり、在日韓国・朝鮮人から、アメリカのコリアン、ベトナムのコリアンなど、世界のコリアンを取材し掘り下げていくノンフィクション。コウカイニッシ。のあさこさんが第5回のたらいまわし企画「あなたが感銘を受けた本は?」で、紹介されていた本です。読もうと思いつつ積んでたんですが、「GO」を読んだ今が丁度いいと思って。韓国人の友達に色々と教えてもらうこともあっても、知ってるようで良く知らない世界ですしね...。
読んでいて一番衝撃度が強かったのは、在日韓国・朝鮮人が日本人に自分の国籍を打ち明けた時のエピソード。通名を使っていれば日本人と同じように接してもらえるけれど、自分が嘘をついているような気がして重苦しくなってきて、思い切って日本人の親友に自分が韓国(朝鮮)人であることを打ち明けると、そこに返ってくるのは、「韓国人も日本人も関係ない」「そんなこと気にしない」という答。時には「わかった。あんたが韓国人いうことは誰にも言わんからね」と言われることもあるという話。
「日本人も韓国人も関係ない」という言葉は、その友達を思う日本人の素直な心情のはず。でも勇気を振り絞って打ち明けた当人にとっては、あまりに当たり障りのない答。「日本人の友人との絶望的な隔たりに孤立感を深め」、「一緒に考えてくれない」「もう何を話しても、どうせわからへん」という気持ちにさせられるだけだというのです。...私自身はそういう受け答えをしたことはないと思うんですけど、でも一歩間違えれば言ってたかもしれないわけで...(もちろん当たり障りのない答というつもりは全くなく、ですね) ここで、「どこが駄目なの?」と思う人もいるのでは? もちろん相手が全力でぶつかってきた時には、こちらも全力返さなければならないんですけど... 身につまされます。

読んでいると、自分が知らないでいることすら知らない「知らない」も色々と。(実は一番驚いたのはベトナムでの章でした) でもやっぱり、「知らない」では済まされないことって多いですよね。
そしてこの本の何が素晴らしいといえば、やはり取材なさっている野村進さんの姿勢でしょうね。おもねるわけでもなく、見下ろすわけでもなく、とてもリベラルな視点で書いているという感じ。講談社ノンフィクション賞と大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞というのも頷けますし、「感銘を受けた本」で登場するのも納得です。(講談社+α文庫)

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Commentaires(6)

こんばんは。
たいへん、ご無沙汰しております(汗

私も、あさこさんのご紹介でこの本を読んで、とても感銘を受けました。
作者の、ディーセントな態度も、ほんとに感じがよかったです。

バブル以降、日本に元気がないと言われて久しいです。
でも、元気だったときの日本って、
じつは在日韓国・朝鮮の人がエネルギーの発信源のひとつだった。
美空ひばりからビートたけしに至るまで。

日本の青春。
こないだのたら本「青春の文学」では、
私は「アパッチ族」と呼ばれた、
実在のくず鉄盗難集団に由来した作品を取り上げました。
彼らの大半は在日なのです。

子供の頃、在日の友人が、
「くず鉄拾いのアルバイトで儲かるで」
という話を持ちかけてきて、
みんなで磁石を持って(笑)、鉄拾いに行ったことがあります。
これって、今考えてみると、
「アパッチ」が伝説的に伝えられてきた名残りだったんですね☆

たら本シリーズのおかげで、
自分のまわりで生きている血の通ったの伝統に、
ふと気づかされたのでした。。

overQさん、こんにちは!
こちらこそご無沙汰して申し訳ありませんーっ。
(とは言っても、エントリはしょっちゅう拝見しているのですが…)

この作品は本当に「感銘」という言葉に相応しい作品ですね。
日本人がこういう問題を扱うとなると、必要以上に卑屈になったり
開き直ったり、どちらかに傾いてしまいがちじゃないかと思うし、
ましてや、朝鮮や韓国の人が取材してもそうだと思うんですけど、
この野村進さんの姿勢は凄いなあって素直に思いました。

「日本アパッチ族」… 小松左京さんでしたよね。
や、実はほとんど読んでないんです、小松左京作品。
「日本沈没」とか「復活の日」とか、超メジャー所だけ…(^^ゞ
アパッチ族と聞いても、あまり実感が伴わなかったんですけど
そういえば小さい頃、砂場で磁石に砂鉄をくっつけて集めたりしてました!
あれもその名残だったのかしら…(笑)
(今の子がそういうのしてるの見たことないんですが、今もあるのかな?)
あ、OverQさん、梁石日作品も挙げてらっしゃいましたよね。
やっぱり在日韓国・朝鮮人のエネルギーの熱さが
「青春」というお題にも繋がってきたということでしょうか!

たら本シリーズに参加するたびに、自分の視野の狭さや底の浅さを
思い知らされる気がして困ってるんですけど(笑)
でもこうやって色んな本を教えてもらえて嬉しいです~。
紹介されている本の全部は到底読めないですけど、
少しずつでも、世界が着実に広がってる気がします(^^)。

はじめまして、じゅんと申します。
このたびはTBさせていただきましたので、ご連絡申し上げました。どうぞ、よろしくお願いいたしますv

「自分が知らないでいることすら知らない」…ということを知るのは、すごく衝撃的ですよね。ベトナムについては、私も初めて知った内容でしたので、とても驚きました。でもおかげで、近代史について、新たな視点が作られた気がします。それに自分が知らないからといって、「知らない」と開き直っていてはいけないんだなぁと、身が引き締まりました(^^;)

じゅんさん、はじめまして! ようこそいらっしゃいました。
TBありがとうございます。嬉しいです(^^)。

じゅんさんも、やっぱりベトナムについての章は驚かれましたか!
日本国内の話なら、知らなくてもまだ「なるほど」という感じだったんですが
あれに関してだけは、ほんと全く知らなかったのでびっくりでした。
そして「日本と同じことやってるんじゃ…」とも(^^;。
こういう本を読むと、ほんと身が引き締まりますね。
色々と考えさせられちゃいます。

また来ちゃいました♪こんにちは~(・∀・)

私も、あさこさんがたら本で紹介されたのをきっかけにこの本のことを知って読みました。
私の場合は、音楽からですが、韓国という国に興味を持ち始めていたので。
私も四季さんが書いていらっしゃるのと同じで、友人に自分が在日であることを告白した時の友人の反応にショックを受けたエピソードには色々考えさせられました。たぶん、私が友人の立場でも同じように答えていたんじゃないかなぁと思うので。
この本を読まなければきっと知らずにいた事がたくさんあったと思うのですが、本当に読んで良かったなと思える1冊です。

overQさんもおっしゃっていますが、私もたら本のおかげで自分だけでは見つけ出せない・出会えないような本に出会うことが出来たなぁ~としみじみ思います!

みらくるさん、こんにちは! いらっしゃいませ~。

あ、やっぱりみらくるさんは既に読んでらしたんですね。
みなさん、早いなあー。 (あ、私が遅すぎるんですね(^^;)
みらくるさんは音楽からでしたか!
私は鷺沢萠さんの本からかな。ひっそりとした興味が続いています。
音楽やドラマに関しては、まだ全然知らないのですが。(^^ゞ
あ、やっぱり在日であることを告白した時のエピソードには考えさせられますよね。
自分としては最上の答をしたつもりで、でも実は最低だったわけですものね…
やっぱり色々と難しいですが、読んで良かったです。本当に(^^)。

たら本のおかげで積読本もどんどん増えちゃうんですけど(笑)
でもほんと、普段なら手に取らないような本を知ることができて
やっぱりすっごく有難いです。たら本バンザイ。

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