「いつかパラソルの下で」森絵都

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厳格すぎるほど厳格だった父に反抗して、20歳そこそこでで家を飛び出して以来、実家にはあまり寄り付かなかった野々。しかしその父も1年前に亡くなり、兄妹3人で一周忌の相談をすることになります。兄の春日も20歳になった時に家を飛び出しており、現在実家に残っているのは、母親と妹の花だけ。しかし以前はいつも身綺麗にしていた母が、最近身なりにも構わず、家事もせず、庭は荒れ放題、あれほど好きだったピアノにも鍵をかけているという状態。それには父が死んだ後で発覚した不倫事件が関係していたのです...。

児童書のイメージが定着していた森絵都さん。前作「永遠の出口」が初の大人向け作品として出版されていたものの、元々大人にも十分楽しめる児童書を書かれていた絵都さんのこと、実際にはそれほど雰囲気は変わらなかったんですよね。でも今回は本当に大人向きでした! 最初の場面がいきなり性描写でびっくり。しかもそこから話は、亡くなった父親の不倫話へと発展。これは確かに大人向きですね。...とは言っても決してどぎつくはないんですが。(そういえば「DIVE!!」の2巻も、かなり際どかったような覚えがあるんですけど... あれは設定がそうだっただけかな?)
夫婦の愛情、親子の愛情、兄妹の愛情、恋人同士の愛情と、色々な愛情がテーマとなっていたように思います。そして父からの卒業。なんだか大きく人生を感じることのできるような作品でした。もし身近にいたら、好きになれたかどうか分からないこの兄妹も他の人たちも、森絵都さんの濃やかな描写を通すと、なんだかみんな愛しく感じられちゃうような気がします。そしてそれが絵都さんの凄いところなんでしょうね。(角川書店)


+既読の森絵都作品の感想+
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Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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Commentaires(6)

四季さん、おはようございます。
『いつかパラソルの下で』読まれたのですね。
そうです、まさに“大きく人生を感じることのできるような作品”だと思います。

絵都さんの一般作には底辺に“寛大な心”が宿っているような気がします。

実は、ひょっとしたら直木賞かなと思ったりしております(笑)

ああ、次の一般書も2年後ぐらいかな。
せめて年に一冊ぐらい書いて欲しいですね。

トラキチさん、こんにちは!
冒頭のシーンにはびっくりさせられましたが(笑)
この作品で大きく一歩踏み出したって感じですね。
直木賞かあ。わあ、それもあり得ますね。

「寛大な心」… 確かにそうなのかもしれないですね。
だからこそ、読んでいて心地よいのかも。
児童書も大好きですが、一般書もどんどん書いて欲しいですね。
まだまだ飛躍して欲しい作家さんです(^^)。

ほんとに、もっともっと読みたいです!
直木賞、いいですねぇ。

あ、その前に「DIVE!」読まなくちゃ…!

chiekoaさん、こんにちは!
レスがすっかり遅くなってしまってごめんなさいー。
TBとコメント、ありがとうございます。
最初の出だしは驚いたけど、でもやっぱり森絵都さんでしたね!
本当に直木賞の候補にもなってたようで、びっくりです。
トラキチさんってば凄いですねー。
残念ながら、受賞は逃したようですが…
あ、「DIVE!!」は一押しです! ぜひぜひ読んで下さいませ。

TBとコメントありがとうございました。
男が読むと、森絵都さんの作品ってすごく性差を感じます。
とても女性的な作家ですね。

uotaさん、こちらこそありがとうございます。
今まで性差については考えたことなかったんですけど、
そう言われてみれば… という感じです。
やっぱり、男性と女性では受け止め方が違ってくるのでしょうね。

そういえば、稲見一良さんの「ダックコール」を読んだ時に
ものすごく男性的な作家さんだなあと思ったのを思い出しました。
とても良い作品だと思うんですけど、私が女性のせいで
味わいきれなかったような気がして、悔しかったんですよね。
丁度そんな感じなのかも。(そういえばこれも短編集です!)

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