「ムーン・パレス」ポール・オースター

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11歳の時に母を亡くし、大学3年生の時に伯父を亡くして天涯孤独となったマーコは、伯父の残した蔵書を売り払いながら細々とした生活を送ることに。しかしとうとう家賃を滞納して部屋を追い出されてしまいます。セントラル・パークで飢えと病気で死ぬ寸前だったマーコを見つけて救い出したのは、親友のジンマーとダンサーの卵・キティ・ウー。マーコはジンマーの部屋で介抱されて健康を取り戻し、車椅子に乗った盲目の老人トマス・エフィング相手の住み込みの仕事をみつけるのですが...。

たらいまわし企画・第12回「爽やかな春に読みたい青春小説」で、お題を出されたあいらブックス!のみらくるさんが挙げてらした本。ポール・オースターは今まで「シティ・オヴ・グラス」と「幽霊たち」を読んでいて、それぞれに惹きこまれたんですが、、本当に私は理解しきれてるのかな... って感じでもあったんですよね。この「ムーン・パレス」は、これまでで一番私に合ってたみたい。面白かったです! 枠組みが一番物語らしくて馴染みやすいからかも。それに主人公の状況は、一時はかなり悲惨なとこまでいっちゃうんですけど、でもそういう時でも虚勢を張っちゃう主人公の姿がどこかコミカルで、全然暗くならないんですね。むしろ爽快。みらくるさんが村上春樹作品のような雰囲気と言われていたのも納得の素敵な青春小説でした。
この作品は、確かに主人公・マーコの物語ではあるんですけど、でもこの1冊の中には3人の人間の人生が丸ごと入ってました。ぎっしり。それに開くページによってこれほど印象が変わる作品というのも珍しいかも。基本は青春小説なんですが、恋愛小説だったり冒険譚だったり、読む場所によって全然違う表情を見せてくれるんです。こういう作品は1度読んでそれっきりというのは勿体ないですね。折に触れて何度も読み返したら、そのたびにまた新たな発見がありそうです。「シティ・オヴ・グラス」と「幽霊たち」も、また機会を作って再読しようっと。今読んだら、また違った印象を受けそうな気もします。(新潮文庫)


+既読のポール・オースター作品の感想+
「ムーン・パレス」ポール・オースター
「ミスター・ヴァーティゴ」ポール・オースター
Livreに「シティ・オヴ・グラス」「幽霊たち」の感想があります)

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Commentaires(2)

四季さん、こんばんは♪

そーなんですよね!本当ならかなり悲惨な状況に追いこまれちゃっているのに、ジメっとしてないっていうか、どこかに可笑しさがあって。だから読んでて苦痛ではないんですよね。不思議な作品です。

四季さんの感想を拝見したら、以前に読んだ吉野朔美さんのエッセイ漫画『お母さんは「赤毛のアン」が好き』を読み返したくなってこんな時間にごそごそ引っ張り出してきてパラパラ読みました(笑)
というのもこの本、吉野さん自身がオースターについて語られていたり、巻末に吉野さんと柴田元幸さんとの対談もあるんです。
そういえば、吉野さんも最初に『幽霊たち』を読んだ時は「つまらなくもないけど」という印象だったのだそうですが、他に何冊もオースターを読んでもう一度『幽霊たち』を読み返したら今度は面白かったと書かれてました(>_<)
今度読むなら『偶然の音楽』にしようと思ってましたが『幽霊たち』の内容も面白そうですね!うーん、悩みます。

みらくるさん、こんにちは!

ほんと相当悲惨な状況なはずなのに、なんだか可笑しいですよね。
しかも、現実にはあり得ないようなドラマティックな偶然が重なってるのに
それが全然不自然じゃないのも凄い!
読んでて、すんなり納得しちゃうんですよねえ。(笑)

『お母さんは「赤毛のアン」が好き』は、先日本屋で見かけてたんですが
吉野朔美さんと柴田元幸さんが対談してたとは知りませんでした!
そっかー、吉野さんも最初はそんな印象だったんですね。
なんだか親近感~♪
「幽霊たち」、早速再読してみようかとも思ってたんですけど、
やっぱりもっとオースターの他の作品も読んでみてからにしようかな。
自分の中の印象がどんな風に変化するのか、楽しみです!

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