「蘆屋家の崩壊」津原泰水

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津原泰水まつりエントリ第2弾。これも好きなんですよー、「蘆屋家の崩壊」。このタイトルは、言うまでもなくエドガー・アラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」からですね。30を過ぎても未だ定職についていない猿渡という男と、怪奇小説家、通称「伯爵」の連作短編集。豆腐好きで、美味しい豆腐が食べられると聞けば、日本中遠征してしまう2人の物語。豆腐ですよ、豆腐。出てくる豆腐料理がまた美味しそう。それにこの2人のやり取りも楽しいのです。でもね、そんな風に一見ごく普通の雰囲気かと思えば、実はそこには僅かな歪みが...。何かがおかしいと思ってる間に、いつの間にかその歪みに捕らえられて、落とされてしまうのですねえ。
今回再読して驚いたのは、冒頭の句読点の少なさ。句読点が少なくても全然読みにくくならなくて、むしろそのせいか、最初の短編なんてたった6ページなのにとっても濃いです。独特の濃密さを醸し出しているのですね。これで引きずり込まれちゃう。で、気がついたら句読点は普通になっているのだけど、最初のその効果が持続して勝手に増幅しているのか、もう離してくれないのです。...句読点が少ないといえば、舞城王太郎さんの文章もそうですよね。句読点が少ないというよりはほとんどなくて、独特のリズムとパワーのある文章。でも同じように句読点の打ち方に特徴があるとはいっても、そこにある雰囲気は全くの別物で、なんだか不思議。
でも、確かに句読点の打ち方って重要ですよね。妙に読みにくいと思ったら句読点のせいだったり。...そうか、私も句読点次第で文章の雰囲気を変えられるのか、なんて思ったんですけど、例えば私の文章から句読点を減らしても、ただ単に読みにくくなるだけなんだろうな。

この作品、どうやら猿渡は津原氏本人、伯爵は井上雅彦氏がモデルのようです。この井上雅彦という方も、どんな方なのかとっても気になります。実は未だに読んだことがないので...。(ホラー系は苦手だし←本当か?)(集英社文庫)


+既読の津原泰水作品の感想+
「ペニス」津原泰水
「少年トレチア」津原泰水
「綺譚集」津原泰水
「妖都」津原泰水
「蘆屋家の崩壊」津原泰水
「赤い竪琴」津原泰水
「ルピナス探偵団の当惑」津原泰水

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蘆屋家の崩壊 「赤い竪琴」にすっかり魅せられてしまい、津原さんの他の作品をどうしても読みたくなって、次はこれにいってみました。恋愛小説から津原さんに入った... » Lire la suite

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この連作の続き、発見しました!

「凶鳥の黒影」というアンソロジー。
中井英夫にいろんな作家が捧げた、小説やエッセイを集めたものです。
ここに、津原泰水は「ピカルディの薔薇」という短篇を書いてます。

これが、猿渡を語り手にしたものでした☆
「水牛群」の最後で、伯爵から「物語」を返された猿渡。
ここでは、ちゃんと作家になっています(笑)
仕事見つかって、よかったです。

伯爵との距離を変化させながら、この二人組のものを続けるのかもしれません。
たぶん、そうとう難しい試みになると思います(;・∀・)

えええっ、続きがあるんですか!
まさか続くことはないと思ってたので、びっくり。
「凶鳥の黒影」は、読みたいと思っていたのです。
中井英夫作品は「虚無への供物」しか読んでないのですが
とても好きな作品ですし~。
それにアンソロジーのメンバーも豪華ですよね。
まさか続きが出てるとは。それは読んでみなくっちゃ。

…猿渡、ちゃんと作家になれたんですね。(笑)

「ペニス」、読み始めたんですけど、
意識的にスピードを抑えて、少しずつ読んでいます。
そういえばこっちにも、売れない作家が出てくるのですが
これは… どうなのかしら…?
あと「赤い竪琴」もゲットしましたよ。楽しみです。

句読点は考えると難しいですよ~♪(笑)
プロでも自分の文体を潰しかねないパワーがありますからねぇ。

僕の経験では、素人がヘタに考えちゃダメですよ。とにかく「気持ちよく」を基本に感覚で打っていけばそれで充分かと。

ちなみに。
僕もやすみんを読み始めたんですけどね。
途中で挫折しちゃいました。
うーん、他のやすみん本を読んだことないからなんとも言えないけど、たまたま作品との相性が悪かったのかなぁ……
(ちなみに本は「少年トレチア」)

今度はコッチを挑戦してみよっと♪

そういえば、初やすみんにオススメの本ってあります?

ろぷさん、こんにちは~。
そうですよね、やっぱり素人はヘタに考えちゃダメですよね。(笑)
しかも私の文章は、中学校レベルの読みやすさを目指してるし(^^;
プロの文章とは程遠いですしねえ。(笑)

あ、やすみんダメでしたかー。それは残念。
でも、確かに「少年トレチア」は、かなり微妙なとこです。
最初に読むとしたら、この「蘆屋家の崩壊」か「綺譚集」がいいかな?
「妖都」も好きなんですけど、こっちは好き嫌いありそうだし…
少なくとも「蘆屋家の崩壊」なら、トレチアよりとっつきやすいと思います!
あと、「綺譚集」から入ってファンになったという方も多いんですよね。
どちらかをぜひ試してみて下さいませ(^^)。

四季さん、こんにちわ!
「赤い竪琴」から津原さんに入ったので、
かなりおっかなびっくりでしたが、大丈夫・・というか、
このかんじかなり好きです。
とりあえずいま「綺譚集」を積んであるのですが、そちらも楽しみですー。

juneさん、こんにちは!
お返事がすっかり遅くなってしまってごめんなさい。
サーバートラブルで、更新もコメントもできない状態になってました…
ようやくコメントができる状態までは復活したようでほっとしてます。
TBもしたいんですけど、まだ記事の保存ができないので、
こちらはもうしばらくお待ち下さいね。

「蘆屋家の崩壊」、いいですよね! こういう雰囲気は大好きです。
「綺譚集」は、どうですか? 時にはおどろおどろしながらも、とても美しいですよね。
あと津原さんだと、私は「妖都」がすごく好きなんですけど…
これは好き嫌いが分かれるかも?

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