「ユージニア」恩田陸

Catégories: /

 [amazon]
20年前、古都・K市で起きた陰惨な殺人事件。それは、地元の名家の祝いの席に届けられた酒とジュースに青酸系化合物が混入されており、子供6人を含む17人もの人間が亡くなるというものでした。そしてその10年後、その出来事は本として出版されます。事件当時中学生だった雑賀満喜子が、大学の卒論のために当時の関係者に話を聞いて回りまとめたものが、「失われた祝祭」という本として出版されることになったのです。そしてさらに20年後。

事件に関わった人物1人ずつの証言を元に、過去の事件を浮き上がっていくという形態。「Q&A」と似たような手法なんですね。ただしこちらは基本的にQはなくてAだけ。
もちろん事件そのものも浮き上がってくるんですけど、むしろ事件から10年経ってそれぞれの当事者たちの想いが浮き上がってくるというのがポイントなのかもしれないですね。はっきりと質問者が存在していた「Q&A」と違って聞き手の言葉が直接的に登場しないので、まるで自分もその場にいて話を聞いているみたい。そしてなんだか話を聞いてるというよりも、なんだかそこにある混沌とした深淵を覗き込んでいるような気分... 不気味。もちろんそれらの話の中には真実ではないことも含まれているかもしれないし、明らかに事件当日のことを書きながらも、固有名詞が微妙に変えられている部分もあります。巧妙にはぐらかされながら、それ少しずつ核心に近づいていく感覚が堪らない! ...そしてまた最初に戻るのですね。うーん、素敵だわ。恩田さんの作品って最後に近づくと、普通とは違った意味で(笑)ドキドキするんですけど、今回はこの曖昧さがすごくいい方に出てるような気がします。恩田節全開。...と言いつつ、インタビュワーの存在とか、他にも気になってしまう部分もいくつかあったのだけど...(笑) そしてこの本、装幀が凄いんですね。中身も素敵ですが、外側のカバーも。薄い紗のようなグレーで全て塗り込めてしまうような装幀です。(角川書店)

ということでようやくユージニアを読了したので、先日書いていた通りMy Best Books!の恩田陸Best3に参加しますね。しかしこれが迷うんですよねー。どうしよう?


+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸
「チョコレートコスモス」恩田陸
「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
「いのちのパレード」恩田陸
「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

| | commentaire(4) | trackback(1)

Trackbacks(1)

「ユージニア」恩田陸 へのトラックバック一覧:

URL TrackBack de cette note:

◆『ユージニア』 恩田 陸 (著)  角川書店 参ってます。たまらなく怖かったです。本の中に入り込んでこちら側の世界に帰って来れないような・・・。とらえ... » Lire la suite

Commentaires(4)

四季さん、こんにちは。
読み終えられたのですねー。四季さんの感想を読ませてもらってたらまた読了後の感動がじわじわ蘇ってきました。
ミステリーというと必ず全ての謎がクリアにならないといけない・・みたいな不文律を逆手にとって、それを超えてる、新しい魅力に溢れる作品だと私も感じました。私は、それまで、そのもやもや感が、恩田陸のいまいち苦手だった所ですが、これはそれが魅力として楽しめました。
四季さんの恩田作品ベスト3も参考になります。「黒と茶の幻想」や「夜のピクニック」・・私も大好きです。恩田さんの作品って、読み終えたその本に夢中になってしまい、その本がその時のがベスト1になってしまうので、冷静に決められない感じですー。

先ほど、ネットサーフィンしていたら、sa-kiさんが更新されていました。(喜)お体を悪くされていたみたいでまだ具合がお悪そうです。

ワルツさん、こんにちは! コメント&TBありがとうございます~。
既に読んでらっしゃる方も多くて今頃なんですけど、読了しました!
父が私に本を渡す時に、「またしても最後が…」なんて言ってたので(笑)
ドキドキしながら読んでたんですけど、でも今回のもやもや感は良かったですよね!
恩田作品のラストの詰めの甘さが苦手だという人の気持ちは良く分かるし、
私自身、何度かがっかりさせられたこともあるんですけど、
でも今回に限っていえば、ほんとこれもまた魅力の1つとして感じられました♪
あ、ベスト3も見て下さったんですね。ありがとうございます。
「夏の名残りの薔薇」を挙げる方は滅多にいらっしゃらないのではないかと思うのですが…(汗)
「ユージニア」も入れたかったんですけど、今入れたらあまりに勢いに走りすぎかなあって
自分にちょっと牽制かけてしまいました(^^;。
読んですぐに順位をつけるというのはダメですねー。
ある程度寝かせてからの方が良さそうです。(picoさんの虫干しですね♪)

sa-kiっち、復活しましたね! 体調はまだまだ心配ですが、でも良かったです~。

さっきBBSに書き込んだばかりですが、
またまたお邪魔します。

>恩田さんの作品って最後に近づくと、普通とは違った意味で(笑)ドキドキする
うんうん、確かに!
残りのページ数見て、
期待通りなラストは望めそうもないなぁと
諦めるときがあります(笑)
もやもやの残るラストだけど、
「Q&A」よりこっちのほうが好きかな。

↑で私の名前が(^^ゞ
その節はお騒がせしました

ミステリ作品を読んでいても、残りのページ数を見て
推理とかの信憑性とか色々判断しちゃうことがありますけど(^^;
でも恩田さんのドキドキは、また一味違いますよね。(笑)
でも、「Q&A」よりもこっちの方が断然好きでした!
うちの父が「うーん、またしても最後がねえ…」と言いながら本をくれたので、
あまり期待せずに読んだのも良かったのかも。(^^ゞ
雰囲気もすごくいいですしね~。

いえいえ、何事もなくて本当に良かったです♪

コメントする(要JavaScript)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.