「ペンギンの憂鬱」アンドレイ・クルコフ

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鬱病のペンギン・ミーシャと一緒に暮らしている、売れない作家の物語。
ソ連の崩壊後に独立したウクライナの首都・キエフが舞台で、まだかなりきな臭い状態なんですけど、そんな状況の中に、このペンギンがすごく効いてるんですねー。もうほんと、とにかく可愛い。主人公が座っているとその膝に身体を押し付けてみたり、バスタブに冷たい水を入れてる音を聞きつけてペタペタとやって来て、水がたまるのを待ちきれずにバスタブに飛び込んだり。主人公をじーっと見つめてみたり、どことなく嬉しそうだったり。勿論何もしゃべらないんですが、なんだかとっても雄弁なんです。やっぱりペンギンと聞くと、あのペタペタ歩くユーモラスな姿が浮かんでくるのがポイントなんでしょうね。他の動物じゃあ、ちょっと出せない味だ~。
でもそのペンギンは憂鬱症。訳者あとがきにあるクルコフのインタビューによると、ペンギンは集団で行動する動物なので、1羽だけにされると途方に暮れてしまうんだそうです。そしてその姿は、ソ連時代を生きてきた人間にそっくりとのこと。ミーシャは動物園から解放され、人々はソ連から解放されても、最早「自由」に順応できなくなっているんですね。そしてそれは作中でペンギン学者の老人が言う、「一番いい時はもう経験してしまった」という言葉に繋がります。動物園での生活、ソ連にとらわれていた時が「一番いい時」というのが何ともいえない...。
主人公も孤独でペンギンも孤独、一緒にいるからって孤独じゃなくなるわけじゃなくて、孤独が寄り添っているという辺り、分かるなあ。

読みながら、どこか村上春樹作品の雰囲気があるなあと思ってたら、訳者あとがきにクルコフは「羊をめぐる冒険」が好きだと書かれててびっくり! 文章だけの問題じゃないのは分かってますが、それでも日本語をロシア語に変換して(「羊をめぐる冒険」)、ロシア語を日本語に変換しても(「ペンギンの憂鬱」)、やっぱり雰囲気が似てるってなんだかとっても不思議です。(笑)

これは新潮クレストブックスの1冊。やっぱりこのシリーズ、もっともっと読みたいな。(新潮社)

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Commentaires(10)

四季さん、こんにちは。
この小説のペンギン、いいですよね。このスパイスがなかったら、ちょっぴり寂しい。いや、かなり寂しい…存在感といい佇まいといい、とっても好きです。
新潮クレストブックスの作品は、どれも面白いので、私ももっと読んでみようと思っています!
TBさせていただきますね。

ロシア版村上春樹(^.^)
聖月版村上春樹もTBしときますねえ。

>ましろさん
こんにちは~。TB&コメントありがとうございます♪
ほんとこのペンギン、可愛いですよね。
もしこれがペンギンじゃなかったら、この作品は成功してなかったんじゃないか…
って思っちゃうほど、ペンギンが効いてますね。
犬や猫やうさぎやハムスターではこの味は出せないでしょうね。
あ、私、新潮クレストブックスの作品はまだ2冊目なんです。
オススメがあったら、ぜひ教えて下さいね。

>聖月さん
聖月版村上春樹、楽しませていただきましたよ!
あ、でも私は読みながら村上春樹しか思い浮かばなかったんですけど
「ウクライナのいしいしんじ」っていうのも、言われてみれば確かにそんな感じですね。
でも「村上春樹=いしいしんじ」ではないんですよねえ。(笑)

私もこれ、読みました。
ペンギンのミーシャ、かわいいですよね。
というか、ペンギンの事しか記憶になくて
ストーリーは忘れちゃっているという…(^^;
今、映画でも「皇帝ペンギン」が公開されていて
人気ですよね。
「天才!志村どうぶつ園」という番組で、
先日、嵐のメンバーがあざらしを飼うという企画をやっていて
同じシリーズで坂下千里子がペンギンを飼うというのも
あったらしいんです。
見たかったな。
ペンギンの話ばかりしてごめんなさい(^^;
私もトラックバックさせていただきますね♪

LINさん、こんにちは~。
この本ね、去年の12月のたら本にLINさんが挙げてらしたじゃないですか。
という私も同じ本を挙げて、その後結局自分で買っちゃったんですけど (^^ゞ
なかなか読めなくて、今頃になってようやく読めました!(買った本は積みがちという悪いクセ…)
いや、ほんとミーシャがめちゃくちゃ可愛いかったですねっ。
表紙の可愛らしさに全然負けてなくて、読んでて嬉しかったです。(クレストブックスってほんと表紙が素敵ですね)
あ、「皇帝ペンギン」、picoさんが観てらっしゃいましたよね。
動物物は実はあまり好きじゃないんですが、あれは観てみたくなっちゃいました。
えっ、ペンギンを飼うなんて企画の番組もあったんですか! 見てみたかったなー。
ミーシャみたいなペンギンが身近にいたら、可愛いでしょうね。
トラックバックありがとうございます。こちらからもさせて頂きますね♪

はい。「皇帝ペンギン」をみたpicoです♪
私も動物好きなだけに、動物ものは
痛くてみられないのですが、「皇帝ペンギン」は、
超オススメです!

こちらの本、LINさんのところで拝見して、
購入したのですが、読む機会を失っています。
姉がもっていったままなんです。涙
なんとか、奪回して読まなくてはです。
時代は、ペン様ですから♪

picoさんのあのエントリーを拝見して、
「皇帝ペンギン」が観たくてたまらなくなった四季です♪
動物物、そうなんですよね、痛くて痛くて…
でも同じように痛く感じるpicoさんが超オススメとは、期待できますねっ。
こんな状態なので、なかなか映画館には行けそうにないのですが
でもぜひいつか観たいと思います!

この本、なんとか奪回して、ぜひ読んでみて下さいね。
ペンギンはペンギンでも、皇帝ペンギンですし~。
>時代は、ペン様ですから♪
エントリを拝見した時、これにオオウケでした。(笑)
そうそう、今や既にペン様の時代ですよねっ。やっぱりペンギンは可愛い~。

おっとー、2005年の記事なのですね。
みなさん、面白い作品は、素早く読まれているのだなぁ。
ほんと、ペンギンのミーシャ、良かったですよね。膝に身体を寄せてくる所、ぺたぺたと歩く所、ペンギンならではの味が、何ともこの物語にぴったりで! 犬などだと、この寡黙な感じが出ませんものね。良く思いついたなぁ、これ。
*トラバありがとうございました♪ こちらからもお返しいたしました。

つなさん、こんにちは。TBありがとうございます。^^
ほんとだ、2005年の記事ですね。って、全然気がついてないし…。(笑)
新潮クレストブックスはほんといい作品が多くて
色々読みたいなあと思ってるんですが、思うばかりでなかなか進みませんー。
この作品は、やっぱりペンギンがポイントですね♪

「大統領の最後の恋」も気になるし、「カタツムリの法則」も早く読みたいですね!

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