「泣き虫弱虫諸葛孔明」酒見賢一

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酒見賢一さんによる三国志。とは言っても決して真面目な「酒見三国志」ではなくて、私見入りまくり砕けまくりの読本と言った方が相応しいかも。でも酒見さん、「正史三国志」も「三国志演義」も漢字が難しくて読めなくて、適当に和訳された「三国志」をつらつらと眺めただけなんだそうですが... 本当に? その言葉が信じられないほど詳しいし、斬新な解釈や絶妙な突っ込みが満載です。
例えば、劉備の息子の劉禅が生まれる時に、母親の甘夫人が北斗を呑み込む夢をみたとか、白鶴が役所に来て40数回鳴いたとか、産屋に妙なる香りが満ちたとか結構な神秘現象が起きてるそうなんですけど、「凄まじい神秘現象のもとに生まれても駄目なヤツは駄目だという歴史的教訓を示すために書かれているのだとしか思われない」とか...(笑) もっと面白い部分もいっぱいあって、真面目な部分は真面目なんだけど、やっぱり可笑しい。後ろの方で紹介される英語版「三国志」なんて、もう! 全編通して三国志の舞台裏を覗いているような気分でした。考えてみれば、「陋巷に在り」でも、時々挟まれる薀蓄部分が凄く面白かったんですよね。
その酒見さんが「三国志」を初めて読んだのは、デビュー作の「後宮小説」が「シンデレラ+三国志+金瓶梅+ラスト・エンペラーの面白さ」と評されてたからなんですって。なんなんだ、その評価は。(笑)

でもこの1冊でまだあんまり進んでません。この本は500ページ弱なんですが、最後100ページぐらいでようやく三顧の礼が始まるし... しかも劉備ってば嫌々やってるもんだから、違う人をナンパ(?)したり、妙なのど自慢に参加(!)してしまったりとまあ... 別冊文藝春秋での連載が再開してるようなので、きっといずれは五丈原までいくんでしょうけど、「陋巷に在り」と同じように完結まで何年もかかっちゃうのかもしれないですね。分かりやすいから三国志入門編にも良さそうなんですが、でもやっぱりある程度知ってる方が面白いでしょうね。ただ、別に作中の孔明は「泣き虫弱虫」ではなかったです。子供の頃はともかく、大人になってからはむしろ宇宙的に変なヤツでした... 何でこんな題名にしたんだろう?
これで酒見作品はコンプリート。酒見作品はこれからも追いかけていきます~。(文藝春秋)


本当はものすごく海外物の気分なんですけど、先日図書館でいーっぱい予約を入れちゃったので、しばらく国内物が続きます。(せっかくの海外物の気分なのに勿体ない、もっと海外物中心に借りれば良かった) 図書館、行きたかったんですよー。もうほんと、すっかり禁断症状が出てました。(^^ゞ


+既読の酒見賢一作品の感想+
「陋巷に在り」1・2 酒見賢一
「陋巷に在り」3・4 酒見賢一
「陋巷に在り」5・6 酒見賢一
「陋巷に在り」7・8 酒見賢一
「陋巷に在り」9・10 酒見賢一
「陋巷に在り」11・12 酒見賢一
「陋巷に在り」13 酒見賢一
「語り手の事情」酒見賢一
「聖母の部隊」酒見賢一
「ピュタゴラスの旅」酒見賢一
「泣き虫弱虫諸葛孔明」酒見賢一
「中国雑話 中国的思想」酒見賢一
Livreに「後宮小説」「墨攻」「童貞」「周公旦」の感想があります)

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泣き虫弱虫諸葛孔明 ■やぎっちょ書評 いやーびっくりしました。 というのもね。 他のブロガーさんの記事を読んでいると「おもしろおかしい諸葛孔明」かなと思... » Lire la suite

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こんにちは。
この作品がお好きなら、同じ日本ファンタジーノベル大賞2002年度優秀賞「戒」小山歩もオススメです。http://blogs.yahoo.co.jp/snowkids1965/9185504.html

すのさん、はじめまして!
TB&コメント、ありがとうございます。
あ、日本ファンタジーノベル大賞ね、いつかは全部読もうと思ってるんですよー。
記事も拝見してきました! これは面白そう。ぜひ読んでみたいです(^^)。

2年も前の本なんですね。てっきり最近のモノかとばかり思っていました。本ブロガーさんが最近読んでいる気がするのは墨攻で注目を浴びたからでしょうか?愉しい本ではありますね。続けて第2部を読む予定です!

あら、最近人気なんですか? となるとやっぱり墨攻効果なんでしょうねー。
この本が出たのは、2004年11月ですって。2年半前の本なのか。
2巻も読みたいんですけど、本当は続き物を細切れに読むのって苦手なんです。前のを思い出せないから。^^;
出揃ってから1巻から通して読みたいけど、そうなると、いつになることやら…

2巻でどこまで進むのかな? やぎっちょさんの書評を楽しみにしてますね。^^

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