「トマシーナ」ポール・ギャリコ

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以前「ジェニィ」を読んで以来、読もう読もうと思っていて、鴻唯さんにもいいと言われていた「トマシーナ」、ようやく読めました。
この物語に登場するのは、獣医のマクデューイと、その娘のメアリ・ルー、そして猫のトマシーナ。本当は人間の医者になりたかったのに、父親に無理矢理獣医にさせられてしまったマクデューイは、腕はいいけど動物にはまるで愛情がないんですよね。もう先が長くはないと見れば、すぐに安楽死を勧めるような医者。飼い主の「1日でも長く一緒にいたい」なんて気持ちはまるで理解できないんです。だからトマシーナの具合が悪くなった時も、あっさりと安楽死させちゃう。で、娘との間に深い亀裂が入ってしまいます。

いや、ほんと良かったです。外側は「トマシーナ可愛い~」って読めるようなお話なんですが、その奥にはすごく厳しい現実があるんですね。色んなことが、この1冊の中にぎゅっと濃縮されてるような感じ。娘を溺愛してるようで、結局自分のことしか考えてなかったマクデューイも、そんな父親に気付いてしまうメアリ・ルーも、もうほんと痛々しくて見てられないほどだし、そんな2人を助けることになる赤毛の魔女・ローリやペディ牧師、ストロージ老医師という人々もそれぞれに良くって、特にメアリ・ルーとペディ牧師が話す場面が凄いんです。お葬式やジプシーの場面などもそれぞれにとても印象的。しかもトマシーナの語りは可愛らしいし、古代エジプトに君臨していた猫の女神、バスト・ラーの語りも面白かったし... もう硬くも柔らかくも自由自在って感じ。正直、ここまで読み応えのある作品とは思いませんでした。ポール・ギャリコ、凄い!
ジェニィはトマシーナの大叔母さんなんですって。血縁関係だけで、物語同士に直接の繋がりはないようですね。(笑) (創元推理文庫)


+既読のポール・ギャリコ作品の感想+
「トマシーナ」ポール・ギャリコ
「セシルの魔法の友だち」ポール・ギャリコ
「マチルダ ボクシング・カンガルーの冒険」ポール・ギャリコ
「われらが英雄スクラッフィ」ポール・ギャリコ
「幽霊が多すぎる」ポール・ギャリコ
「猫語の教科書」ポール・ギャリコ
「ハリスおばさんパリへ行く」「ハリスおばさんニューヨークへ行く」他2冊 ポール・ギャリコ
「七つの人形の恋物語」「スノーグース」ポール・ギャリコ
「トンデモネズミ大活躍」「ほんものの魔法使」ポール・ギャリコ
「ポセイドン」上下 ポール・ギャリコ
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「「きよしこの夜」が生まれた日」ポール・ギャリコ
Livreに「ジェニィ」の感想があります)

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「七つの人形の恋物語」を大学時代に読んでギャリコが大好きになり、続けざまに何冊か読みました。この「トマシーナ」もその頃に読んだ1冊。ですから20年以上振りの再読... » Lire la suite

Commentaires(2)

20年振りに読み返しました。
ストーリーはきれいさっぱり忘れていたのですが、
どことなくトマシーナのイメージが違っていて、微妙に気持ちが悪かったんです。
どうも訳者が違ったせいだったみたい。
そんなひっかかりもあったのですが、話の内容は
ほとんど覚えていなかったので新鮮な気持ちで読めました。
最初に読んだときは別の、「親」という視点から読むようになったし。
さほど気に入っていた話でもなかったように思うのですが、
再読して、あらためて良いお話だなって思いました。

訳者さん違いというと、以前読まれたのは矢川澄子さんの訳でしょうか。
やっぱり矢川澄子さんはいいですよね。私も本当はそちらを読みたかったんですよ。
トマシーナのイメージも微妙に違っていたのですかー。やっぱりそちらも読んでみたいな。

年月を経て読み返してみると、初読の時とは読み方や印象が違ってくるというのも、読書の醍醐味ですね。
こういう作品は年月が経っても古くならなくて、いつでも新鮮な気持ちで読めそうです。
…そういう作品が読みたい、って最近ひしひしと思います。

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