「少年キム」ラドヤード・キプリング

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19世紀末のインド。アイルランド人の父とインド人の母の間に生まれ、幼い頃に両親を亡くしたキムは、白人ながらも土地の者と同じぐらい黒く焼け、土地の言葉を使いこなし、ラホールの町を知り尽くして奔放な生活を送っている13歳の少年。そんなキムがある日出会ったのは、チベットから聖なる河を探してやって来たラマ。キム自身、自分を助けてくれるはずの「緑野の赤牛」を探しに行きたいと思っていたこともあり、ラマの弟子となって一緒に旅に出ることに。

先日たらいまわし企画でAZ BLOG::はんなり、あずき色のウェブログのoverQさんが挙げてらした本。(その時の記事はコチラ) 英国人初のノーベル賞文学賞受賞作家となったラドヤード・キプリングの最高傑作と言われる作品なのだそうです。私は未読だけど、「ジャングル・ブック」も書いた人なんですね。キプリング自身、インドで生まれた人だそうで、猥雑でおおらかなインドの雰囲気がたっぷり。インドってほんと独特のパワーがありますよね。
この作品の主人公キムは、そんなインドに溶け込んで育ってきた白人の少年。ラマと旅しているところをイギリス人に見つかり、きちんとした教育を受けて、なんとスパイとして活躍することになっちゃうんです。ということで、スパイ小説としても楽しかったんですが、私が好きなのはむしろ、キムとラマのやりとりとか旅そのもの。この2人がいいんですよー。よくインドまで来られたな、って感じのお師匠さまを、すばしこくて抜け目がないキムがすかさずフォローして... でもキムはいざってところではやっぱりお師匠さまを頼りにしていて、この2人ってなんかすごく好き。お師匠さんは偉いラマなんですけど、でも人間的なんですよね、すごく。overQさんが「孫悟空と三蔵法師を彷彿とさせるものがあります。」と書いてらしたのも、読んでみて納得。ほんとにそんな感じです。
でもって、他のスパイたちも結構好き。特に変な口調で相手を煙に巻くハリー・バーブーがいいなあ。最後にフランス人やロシア人の面倒をみなくてはならなくなったバーブーの姿が、気の毒ながらも可笑しかったです。(晶文社)


+既読のラドヤード・キプリング作品の感想+
「少年キム」ラドヤード・キプリング
「プークが丘の妖精パック」キプリング 「夏の夜の夢・あらし」シェイクスピア
「キプリング短篇集」キプリング

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Commentaires(2)

こんばんは!
すっかりコメント遅くなっちゃいました。申し訳ございません。

この作品って、会話がすごく多いですよね。
よく見ると、その会話も、
パンジャブ語などのインドの諸言語や、英語や、
いろんな言葉で話されてる…という設定。
でも、実際には、当然ほとんどすべて、英語で書かれています。
一部の単語が外国語であるくらいなもの。

つまり、感じのちがう英語を駆使して、さまざまな外国語の雰囲気を出してるんですね。
翻訳ではわかりにくいのですが、
いろんなタイプの英語を使いこなすところに、キプリングの天才があると言われています。
ちょうど、キムが変装の天才であるように、
キプリングは、さまざまな人々の話す、さまざまな言語を、
英語だけで表現してしまうんです。
その後、ジェイムス・ジョイスに決定的な影響を与えました。

片言の言葉って、けっしていい加減なものじゃなくて、
文学的にも、実際の人間関係を作るうえでも、
じつはすごく使えるし、重要でさえある。
それを発見したのが、キプリングの文学的な価値ではないかと思います☆

overQさん、こんにちは(^^)。
なんと、色んな外国語を英語だけで表現してるんですか!
わあー、そこには考えが及びませんでした… それはすごいですね。
イギリスって、インドのカーストほどではないにせよ階級意識が強いし
自分と違う階級の人とは、あまり積極的に付き合おうと思ってないですよね。
現代の都会人ならまだしも、19世紀を生きてきたような人なら、きっと尚更のはず。
方言にだって、どれほど触れる機会があったものやら。
そんな中で色んなタイプの英語と、自分でも使いこなせるまでに接するって
実はものすごいことじゃないかと思うんですが…。
きっと、インドに生まれたことにも大いに関係あるんでしょうねー。
(イギリス人はどこに行っても基本的にイギリス人だけど… 笑)
そしてジャーナリストでしたね。そういえば。
その時に、言葉に対する感覚が研ぎ澄まされたのかもしれないですね。

そういうお話を聞くと、原書で読んでみたくなりますね。
色々教えて下さって、ありがとうございます。さすがoverQさんだー。(尊敬)

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