「ノラや」「御馳走帖」内田百閒

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おかぼれもんのpicoさんが、たらいまわし企画・第16回「美味しそうな食べ物が出てくる本は?」で挙げてらした「御馳走帖」と(その時の記事はコチラ)、その時に「猫飼いには必須項目」だと教えて頂いた「ノラや」です。
「御馳走帖」は、食べ物に関する話ばかりぎっしり詰まったエッセイ。食べたい物ばかり78品目も並べ挙げた「餓鬼道肴蔬目録」が圧巻だと伺っていたんですけど、確かに!  「じゆん、じゆん、じゆんと焼け」た油揚げに、すぐにお醤油をかけると「ばりばりと跳ねる」様子もほんと美味しそうだったし、あと、百閒先生の郷里では沢庵のことを「かうこ」と言うんだそうです。「おかうこ、かりかり、お茶漬けさぶさぶ」、美味しそう!
そして特に面白かったのが「百鬼園日暦」。晩酌にも、百閒先生ならではの姿拘りがあるんですね。これが、美味しいお酒なら何でも、っていうわけでもなく... 飲むのは決まって、月桂冠の壜詰か恵比寿麦酒。麒麟麦酒は味がするからダメ。毎日一定の味がすることが大切なので、「特にうまい酒はうまいという云う点で私の嗜好に合はなくなる」んですって。銘酒の生詰を貰った時も、「利き酒としての話なら褒め上げるに吝かではないが、私の食膳には常用の味と違ふと云う点でその銘酒は失格」、そして即料理酒へと... うわー、勿体ない... いや、百閒先生、これだけ食への情熱がありながら、普通の美食家とはまた少し違うところがいいです。いかにも偏屈そうなのに、何ともいえない愛嬌が感じられる文章も素敵。

そして「ノラや」の方は、猫エッセイ。ひょんなことから、ご飯をあげるようになった野良猫の子に「ノラ」と名づけた百閒先生。でも1歳半ぐらいの頃、出かけたきり帰って来なくなっちゃうんですよね。それからが大変。新聞に猫探しの広告を出したり、近所の販売店に折り込み広告を入れてもらったり、外人用に英文のも作ったり... それぞれにかなりの反響があるものの、ノラはなかなか帰って来なくて。
猫は特に好きじゃなかったはずの百閒先生ですが、毎日泣き暮らしてます。これが比喩ではなく、本当に嗚咽してるんです。ちょっと尋常じゃない嘆きぶり。でも気持ちはすごーく分かります...。うちの猫は基本的に家猫だから滅多に外には出さないんですけど、それでも祖母の家にいる時なんかは、どんなところから外に出られるか分からないんで、時々探し回ることになるんですよね。大抵は、名前を呼んでるうちに欠伸まじりに出てくるんですけど、なかなか出てこないとほんと不安になるし、これで外に行ったっきりになっちゃったら、ほんとどうしたらいいか分からないかも... 子供のみたいに泣き続けてる百閒先生の姿が、なんだかとっても身近な人のように感じられました。(中公文庫)


+既読の内田百閒作品の感想+
「夢十夜」「冥途」「猫町」
「ノラや」「御馳走帖」内田百閒

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縁あって飼うことになった猫のノラ。ある日、家を出たきり行方不明になった。「ノラ... » Lire la suite

Commentaires(3)

2冊とも、読みたい気分をそそられますね。
御馳走帖なんか、良いですねぇ。
食欲を刺激されて、食べすぎちゃうかも(笑)
私が大好きな、平岩弓枝さんの『御宿かわせみ』にも、食べ物の描写は良く出てきます。
その中に、「蕎麦がき」と言うものがあるのですが、私は、「蕎麦がき」なるものを全く知りません。
ですが、登場人物達が、折々においしそうに食べている「蕎麦がき」なるものが食べたいです。
一体どう言う物なのか、それだけでも知りたいと思います。
(NETで調べれば良いことに今気付きました (^_^;))

「蕎麦がき」って、蕎麦粉に熱湯を注いで練るヤツですよね。
蕎麦がきそのものじゃないかもしれないけど、似たようなのを作って食べたことが…
と思って検索して確かめたんですが、どうやらただ練るだけでもないようで!
色々調べてると、なんだかやけに美味しそうですよー。
あまりメニューで見た覚えがないんですが、お蕎麦屋さんによっては注文できそう。
一度食べてみなくちゃ、ですね♪

時代物に登場する食事って、ほんと美味しそうですよね。
今の食事とはまたちょっと違うから、そういう興味もありますし。
あ、池波正太郎さんの「剣客商売」も相当美味しい小説らしくて(笑)、興味津々なんですよ。
読みたいなあと思ってたらお友達に貸してもらえそうで、楽しみなんです~(^^)。

こんにちは。
生まれたときから猫がいて、猫と一緒に育った
私にとってはたまらない作品でした。
今は猫を飼っていませんが、飼いたくなりました。
猫、死ぬほど好きです!!

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