「犬」「猫」クラフト・エヴィング商會プレゼンツ

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1954年、1955年に中央公論社から出版された「犬」「猫」を底本として、新たにクラフトエヴィング商會の創作・デザインを加えて再編集したという本。素敵な装幀に、古い文体のエッセイや小説が良く似合います。

作品自体もいいんですけど、それよりもここに収められているエッセイや小説を通して、今と当時のペット事情の違いが分かるのが面白かったです。猫に関しては、人間の生活の変化に伴って多少影響を受けてる程度だと思うんですが、犬に対する考え方が今と当時では全然違う! まず一番驚いたのは、当時、純潔種志向がとても強かったということ。作家さんたちの飼い犬は、テリアだのコリーだのグレーハウンドだのポインターだのセッターだの、血統のはっきりしてる犬ばかり。雑種を歓迎してるのなんて、自ら「名犬嫌い」と称する徳田夢聲ぐらい。でもその徳田夢聲にしても、「雑種=駄犬」って言い切ってるんですよね。どのエッセイや小説を見ても、当たり前のように「雑種=駄犬」とされてるのがなんかイヤ...。川端康成に至っては、「純血種を飼ふことは、愛犬家心得の一つである」とまで言い切ってるし。「純血種=純潔」という考え方って、一体どうなんでしょ。猫に関しては、そんなこと全然言われてないのになあ。まだ純血種があんまり入って来てなかっただけなのかなあ。(谷崎潤一郎がペルシャ猫を飼ってるぐらいなのだ)
しかも犬の扱いが粗悪すぎ。悪いことをすると棒でしたたか殴られてたり、食事もひどかったり... あと、当たり前のように放し飼いしている家が多いんですよね。そして今は野良犬の姿を見かけることの方が珍しいですけど、この頃は野良犬を狩る「犬取り」がいて、可愛がってる犬を連れて行かれそうになる場面も... なんか色々とびっくりでした

「犬」の巻末には「ゆっくり犬」、「猫」の巻末にはThinkもちらりと登場してます♪ (中央公論新社)


+既読のクラフト・エヴィング商會の感想+
「アナ・トレントの鞄」クラフト・エヴィング商會
「犬」「猫」クラフト・エヴィング商會プレゼンツ
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

+既読の吉田篤弘作品の感想+
「百鼠」吉田篤弘
「78」「十字路のあるところ」吉田篤弘
「という、はなし」吉田篤弘
「空ばかり見ていた」吉田篤弘
「それからはスープのことばかり考えて暮らした」吉田篤弘
「小さな男*静かな声」吉田篤弘
Livreに「フィンガーボウルの話のつづき」「つむじ風食堂の夜」「針がとぶ」の感想があります)

 
「犬」収録作品
  「赤毛の犬」(阿部知二)
  「犬たち」(網野菊)
  「犬と私」(伊藤整)
  「わが犬の記 愛犬家心得」(川端康成)
  「あか」(幸田文)
  「クマ 雪の遠足」(志賀直哉)
  「トム公の居候」(徳田夢聲)
  「「犬の家」の主人と家族」(長谷川如是閑)
  「犬」(林芙美子)

「猫」収録作品
  「お軽はらきり」(有馬頼義)
  「みっちゃん」(猪熊弦一郎)
  「庭前」(井伏鱒二)
  「「隅の隠居」の話 猫騒動」(大佛次郎)
  「仔猫の太平洋横断」(尾高京子)
  「猫に仕えるの記 猫族の紳士淑女」(坂西志保)
  「小猫」(瀧井孝作)
  「ねこ 猫 マイペット 客ぎらひ」(谷崎潤一郎)
  「小かげ 猫と母性愛」(壺井榮)
  「猫 子猫」(寺田寅彦)
  「どら猫観察記 猫の島」(柳田國男)

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Commentaires(2)

四季さん、やっとやっとクラフトエヴィング商會に出会えました。
それも、「猫」!!!
頭痛は治った自分へのごほうびにと、いつもより丹念に本屋を回遊しましたら、みつけたのです。
とっても、燐として美しい本で、大満足してます。
四季さん、ありがとうございました!

picoさん、こんにちは。出会えたのですねー!
この本は、他の本みたいに一から十までクラフト・エヴィング商會というわけじゃないんですが
でもとっても素敵な本ですよねっ。装幀にもクラフト・エヴィング商會らしさが十分表れていると思います(^^)。
最初に「猫」に出会えるなんて、さすがpicoさん?という感じです。
Thinkも登場しますし、じっくりお楽しみ下さいね。

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