「ラインの虜囚」田中芳樹

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19世紀初頭のパリ。父の訃報を持ってカナダからフランスに渡ったコリンヌは、祖父であるギイ・ド・ブリクール伯爵に会いに行くのですが、勝手にカナダに出奔して原住民と結婚した息子のことを、伯爵は既に息子とは認めていませんでした。伯爵はコリンヌに、パリの東北東、ライン河岸に立っている古い塔に幽閉されている人物の正体を調べれば、コリンヌを孫娘として認めると言い出します。実は9年前にセント・ヘレナ島で亡くなったというナポレオンが実はまだ生きていて、その塔に幽閉されているという噂があったのです。

「小学校最後の夏休みの冒険譚」みたいなのばかりで、ちょっと飽きがきてたミステリーランドなんですが(失礼)、これはまるで違う西洋史物。しかも冒険活劇。ふわふらのともっぺさんから、「三銃士」や「紅はこべ」が好きならきっと気に入ると教えて頂いたんですが、確かにこれはいい! 楽しかったです。目次からして、第一章「コリンヌは奇妙な命令を受けパリで勇敢な仲間をあつめる」、第二章「コリンヌは東へと馬を走らせ昼も夜も危険な旅をつづける」なんて説明口調。どことなく懐かしくて楽しいし、子供のためのレーベルであるミステリーランドに相応しい良質な作品だと思います。あとがきには、なぜ田中芳樹さんがこういう物語を書こうと思ったのかも書かれていて、その気持ちにもとっても納得。
ナポレオンが生きているという噂は本当か? という大きな謎はもちろん、爵位にも財産にも興味のないコリンヌが、なぜ伯爵の言う通りにするのか、そしてなぜ伯爵がそのようなことをコリンヌにやらせるのかなどちょっとした謎もいくつかあって、それらが全てきちんと解決されるのが気持ち良かったです。そしてコリンヌがパリで見つける3人の仲間も、アレクサンドル・デュマやカリブの海賊、ジャン・ラフィットといった実在の人物なんです。そういう風にきちんとした歴史の中に架空の人物を放り込んで活躍させるような話って大好き。子供には勿論、大人が読んでも十分楽しめる作品です。(講談社ミステリーランド)

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Commentaires(4)

最近の自分の嗜好としては純然たるファンタジーよりも,
こういった現実の世界とリンクしたフィクションに心惹かれます。
『ラインの虜囚』積んであるので,近いうちに読んでみよう思います。

あ、積んでらっしゃるんですね! それならぜひぜひ。
もちろん、ミステリーランドの作品なので、ページ数もそれほどでもないし、
字も大きめなんですけど、ほんと良質なエンターテイメント作品だと思いました。
こういう作品を読んで育つのっていいなあって思っちゃいます。

こんにちは。お久しぶりです!
TBおよびブログ移転のご報告に参りました。
いつもこちらにはよく伺っているのに、ご無沙汰していてすみません。(汗)
そうそう、「ラインの虜囚」なかなか楽しめましたよね。こういうのを子供の頃に読めたら良かったなあと思います。
ミステリーランドは、他にはまだ「くらのかみ」しか読んでいないのですが、一覧を見てみるとやはり異色な作品ですよね。

そしてこの次に出たのがアルスラーンで、次がキングコングのノベライズだそうですが・・・何だか妙なラインナップですね、田中氏も。(苦笑)

遼さん、こんにちは!
私こそ、すっかりご無沙汰してしまってごめんなさい。
ブログの移転のお知らせ、ありがとうございます~。早速変更しておきますね。
今度はFC2なんですね。最近人気ですねえ、FC2。
そしてTBも嬉しいです! 「ラインの虜囚」楽しかったですよね。
ミステリーランドって、ほんと夏休みの冒険譚が多くて(「くらのかみ」もそうですよね)
歴史物も、高田崇史さんの「鬼神伝」ぐらいだったんですけど
海外が舞台となると、これがほんと初めてなんですよね。
それもあって、すごく気に入っちゃいました。(^^ゞ

アルスラーンは、もう完結してからまとめて読もうかと… えっ、キングコングのノベライズ?!
そんなことをする前に、アルスラーンを最後まで書いて欲しいなあ(^^;。

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