「雪の夜話」浅倉卓弥

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高校2年生の冬、夜中に煙草が吸いたくて堪らなくなった和樹は、雪が降る中をひっそりと外に出て自動販売機へ。しかしその帰り道、通りがかった公園の奥に何かの気配を感じたのです。そこにいたのは真っ白いダッフルコートを着てフードをかぶった1人の女の子。なぜそんな雪の日のそんな時間に女の子が1人で公園にいるのかと不審に思う和樹ですが、「貴方、私が見えるのね?」と言って破顔した少女のペースに巻き込まれて、一緒の時間を過ごすことに。

四日間の奇蹟」を読んでから、ずっと読みたかった浅倉さんの作品。まず雪の情景がものすごく綺麗! きっと浅倉さんの出身地の札幌が舞台なんでしょうね。雪を良く知っている人ならでは、という感じ。そしてその雪の中に現れる少女の存在がとても幻想的~。
そしてそんな幻想的雪景色と対になってるのが、和樹が大学時代や卒業後を過ごすことになる東京。こちらに話が移ってからの展開は、とても現実的。和樹が、自分の適性や世の中の要求を冷静に判断して選択する商業デザインの話もとても面白かったし、めきめきと実力を発揮していく仕事振りとか、自分の仕事に没頭していて他にまるで気が回っていない危うさとか、そんな和樹を巡る会社の人間関係とか、すごくリアル。あくまでも現実的で、何よりも雪の白一色だった故郷と対照的に色彩的に鮮やか。白に始まり、様々な色を経て、そして再び白に戻る物語なんですね。
少女と和樹の会話が、後半になるとちょっと理論的になりすぎて、作品のファンタジックな良さをを少し殺してしまっているかなーとか、鹿嶋美加とのことは、もう少しドラマティックに描かれると思っていたのに!とか、写真家もあれだけ?とか、小さく気になるところはあったんですけど、でも良かったです。「四日間の奇蹟」に比べると、ぐっとくる部分は少なかったんですけどね。雪が降り積もってるのに、とっても暖かい物語でした。(中央公論新社)

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Commentaires(6)

おはようございます。
雪に描写が絶品でした。本当に雪を知り尽くして
いないと書けないと思います。
私は「四日間の奇跡」よりこちらの方が感動
しました。
泣きました・・・(^^;

北海道に住むゆこりんさんが絶品だと仰るなら本物ですね。
もうそちらはかなり肌寒くなってるのでしょうか。
こちらは、昨日金木犀の香りをふわっと感じてびっくりでした。

「四日間の奇蹟」よりもこちらの方が好きな方、多いですね。
私は残念ながら泣けなかったんですけど、でも良かったです。

四季さん、こんにちは。お久しぶりです。
わたしも「四日間の奇蹟」よりはこちらのほうが好きでした。
浅倉さんの作品は、確かに哲学的というか理論的というか、
雰囲気より理屈が勝ってしまっているような印象がありますけども・・・。

tamayuraxxさん、こんにちは~。
この作品、とても良かったですよね。
でも私は、「雪の夜話」よりも「四日間の奇蹟」の方が好きなんです。…紛らわしい文章でごめんなさいっ。
「四日間の奇蹟」の前半の何もない部分が、何とも言えず好きなので~。(^^ゞ

こんばんわ。
過去記事に失礼いたします。TBさせていただきました。
私は札幌に住んでいるので、浅倉さんの作品は読んでいて光景が浮かんでくるような気がして嬉しいんですよね^^
私は「四日間の奇蹟」読んでないんですよね^^;映画は見たのですが。
何だかタイミングを逃しました。
幻想的で、素敵な作品でしたよね。
最近新刊が出ましたよね?
図書館で予約して、読んでみようと思ってます^^

苗坊さん、こんにちは。
過去記事でも全然大丈夫です~。TBありがとうございます。^^
ああ、苗坊さんは札幌に住んでらっしゃるのですね。
北海道に住んでらっしゃる方が口を揃えて、この本の雪の描写のことを褒めてらっしゃるので
自分が北海道に住んでなくて、実際に見られないのが悔しくなってしまいます。(笑)
何年も前に一度行ったきりなんですよね、冬の北海道…

「四日間の奇蹟」は、映画を観てらっしゃいましたか。
私は先に本を読んでいたので、逆に映画を観るタイミングを逃しました…
本を先に読んでると、自分の中のイメージと折り合いが上手くついてくれなくて難しくて。(笑)
新刊は、「ビザール・ラヴ・トライアングル」ですね。私も未読ですが、表紙がとても綺麗そう。
苗坊さんの感想、楽しみにしてますね。^^

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