「ハプスブルクの宝剣」上下 藤本ひとみ

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18世紀前半。ヴェネツィアで6年間の大学生活を終えて家族のもとに戻ってきたユダヤ人青年・エリヤーフーが目にしたのは、思っていた以上に閉鎖的なユダヤ人社会と、ユダヤ人に対する激しい差別。そして、貴族の青年と決闘する羽目になり、決闘には勝つものの酷い拷問を受けることになったエリヤーフーを助けたのは、後にマリア・テレジアと結婚することになるフランツ。フランツの元でエリヤーフーはユダヤ人であることを捨て、エドゥアルトという新しい人間として生き直すことに。

「ラインの虜囚」に引き続き、西洋の冒険活劇。「スカラムーシュ」(感想)に続いて信兵衛の読書手帖の信兵衛さんに教えて頂いた本。今回はハプスブルク家のオーストリアを背景に、ユダヤ人からオーストリア人になろうとした青年を描いた歴史物語です。
読んでまずびっくりしたのは、ユダヤ人に対する差別の凄まじさ。ユダヤ人がキリスト教徒に忌み嫌われる理由は分かってるつもりだし、長い歴史の間差別され続けてきたこともナチスドイツがしたことも、知識として知ってはいたんですけど、思っていた以上でした。留学先のイタリアではそれほど差別意識がなかったようだし、地域的にかなり差はあったようなんですが、やはりドイツやオーストリアでは酷かったんですねえ...。でも差別されているユダヤ人は、決して卑屈になってないし、ユダヤ人に生まれたことを悔やんでもいないんですよね。それどころか、あくまでも誇り高く生きていて、その姿はアーリア人に対する逆差別に見えるほど。それはユダヤ人を捨てたエドゥアルトに対するユダヤ人たちの態度からも良く分かります。でもここでポイントとなるのは、エドゥアルトが人生をかけたハプスブルク家が、ユダヤ人を決して認めるわけにはいかない家だということ。
主人公のエドゥアルト自身はもちろん、彼の人生に深く関わっていくフランツやマリア・テレジア、フリードリヒ2世といった実在する人物たちもそれぞれ魅力的に描かれていたし、畳み掛けるようなテンポの良さもあってすごく面白かったです。マリア・テレジアに関しては、マリー・アントワネットの母親でオーストリアの女帝だということぐらいしか知らなかったし、フランツに関しても「マリア・テレジアの夫」という認識しかなかったので、そういう意味でも色々と面白かったなあ。エドゥアルトという人間は架空の人物だと思うんですけど、見事に歴史的事実の中に溶け込んでますね。

藤本ひとみさんの本は初めてだったんですけど、いいですねえ。すぐには読めそうにないんですが、柊舎のむつぞーさんに教えて頂いた「ブルボンの封印」もいずれ読みたいと思ってます。やっぱり冒険活劇は大好き。デュマの「ダルタニャン物語」も読みたいな。(文春文庫)

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Commentaires(4)

四季さん、こんにちは♪
おもわずコメントさせていただきます!
私はこの本がだーい好きです♪何回か読んでます!!ふーっ(←謎の鼻息)
藤本さんの本は好きで何冊も読んでるんですけど、これが一番好きです。
藤本さんはフランツが好きなようで、歴史エッセイ「マリーアントワネットの生涯」と言う本でも、細かく分析してすごくいい解釈してます。
またそれがリアリティがあってうなづけるんですね。
この本でも私はフランツとエディの友情に泣きました!!
「ふたりでトスカナ人になろう」と言うセリフは、今までの読書の中でも、心に残るセリフのトップクラスです。(蝦夷に名はない、と同じくらい好きです)
アテルイが登場するまではわたしの中では、このエディがイイ男ナンバーワンだったんですよ。
おっしゃるとおり「ブルボンの封印」と並んで、この作品は確かに、藤本さんの最高作品と思っています。
あー。興奮しちゃった。ごめんなさいね^^;

shortさん、こんにちはー。なんとshortさんもお好きだったんですね!
ほんと良かったですー。夢中になって読んじゃいました。
藤本ひとみさんって、なんとなくコバルトのイメージが強くって読まず嫌いだったんですけど
(いえ、コバルトが嫌いなわけじゃないんですけど (^^ゞ)
こんな面白いの読まないでいて損しちゃった! と思いましたよ。
フランツ、いいですよね。エディもすごく好きだけど、私はむしろフランツが好きかも~。
「マリーアントワネットの生涯」ですか。こちらもいつかぜひ呼んでみたいです。メモメモφ(.. )

>「ふたりでトスカナ人になろう」
いいですよねえ。本当にそうなって欲しかったです…

「ブルボンの封印」もいいんですねー。これはますます読まなくては!
今新刊で手に入らないので、古本屋か図書館で探そうと思います。楽しみです(^^)。

今日は。
ブルボンの封印は面白いですよー!
私もおすすめです。いつか是非。
藤本さんの作品は何作か読みましたが、
この「ハプスブルクの宝剣」は未読だったので、
又読んでみようと思います~。

涼さん、こんにちは~。
涼さんも「ブルボンの封印」はオススメでしたか!
「ブルボンの封印」と「逆光のメディチ」とこれが3部作だそうなので
それはぜひいつか(なるべく早く)読みたいと思ってます。

あと、「預言者ノストラダムス」も読み応えがあって良いそうで。
「ハプスブルクの宝剣」、涼さんもぜひぜひ。面白かったです(^^)。

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