「手紙、栞を添えて」辻邦生・水村美苗

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朝日新聞の読書欄に連載されていた、辻邦生さん・水村美苗さんの文学をめぐる往復書簡。水村さんの「できれば辻さんには一面識もないままに書いてみたい。新聞紙面でいただくお手紙から想像されるだけの辻さんに宛てて書いてみたい。また、新聞紙面でしか通じ合えないという状況のもとで書き、二人の手紙をより必然的なものにしたい」という言葉から、事前の顔合わせもなく進められたのだそうです。

まず、お2人の文学的素養の深さが素晴らしい! ここで話題に上る作品に対する考察や文学に対する思いなどを読んでいると、自分の読み方がいかに浅いか反省させられちゃいます。同じようにベッドに寝転がってお煎餅を齧りながら読んでいても(比喩です)、なんという違い! しかもお2人の語る文学は、自由自在に古今東西を駆け巡るのですね。水村さんの才気溢れる考察を、辻邦生さんが深い懐で受け止め、さらに発展させていくという感じ。自分が投げかけた話題を相手がどのように受け止めてくれるのか、そしてどのように発展させてくれるのか待ち構える緊張感があって、しかも想像以上の発展を見せてくれた相手に対する素直な感嘆があって、1つの仕事である以上に、楽しんでわくわくしているのが伝わってきます。しかも深く濃い「文学論」でありながら、書簡ということもあって読みやすく分かりやすいんです。その文章の美しいこと。ああ、こういう文章が書けるようになりたい...。
この中で一番印象に残ったのは、トルストイの「イワンのばか」についてでした。「イワンの国の価値は文学を通してしか解せないのに、その国には文学を解する人は入れないのです」という水村さんの言葉。うわあ、確かにその通りですね。これがそんな風に読める物語だったとは... 深いなあ。

本当は水村さんの「続明暗」を読むべく、漱石の「明暗」を読んでいたのですが、ふとこちらを開いてみると止まらなくなってしまって、ついつい先に読んでしまいました。ここに紹介されている本のうち既読は3分の1ほどしかなかったんですが、少しずつでも読んでいきます! 「文学を面白く読めるというのは、『幸福』を知るということと同じ」という水村さんの言葉が素敵です♪(朝日文庫)


+既読の辻邦生作品の感想+
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Commentaires(2)

これ、ほしいです。
と思ったら、Amazonに文庫本の方の
在庫がないの。しくしく。
なぜか、単行本の方はあるようなんです。
うーん、どうしよう(・∀・;)
ああ、でも単行本も函入りで美しい本なのですねえ。
四季さんはどちらをお持ちなのでしょうか?

あ、私が持っているのは文庫の方です。
単行本は、なんと函入りなのですか! いいですねえ、函入り…
でも値段がかなり違っちゃいますものね。

紀伊国屋のBookWebで見ても、単行本の在庫はあるのに、
文庫は入手不可になってました。注文もできないみたい。…と思ったら。
紀伊国屋の地方の店舗には、まだ在庫があるみたいですよー!
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9974731631
これはやっぱり会員登録しないと買えないのかな…?
良く分からないんですが、こういうのを利用するのも手ですよね♪

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