「夜叉ヶ池・天守物語」「高野聖・眉かくしの霊」泉鏡花

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泉鏡花、学生時代に少し読んだ覚えがあるんですが、それきり全然。ここのところずっと読みたいなあと思っていたんですが、ようやく読めました。「夜叉ヶ池」「天守物語」「高野聖」「眉かくしの霊」の4編の中では、「高野聖」だけが既読。

きっと相当時間がかかるんだろうな... と覚悟してたんですけど、これが全然。もう夢中になって読んでしまいましたー。特に良かったのが「夜叉ヶ池」。そして「天守物語」も。この2編は戯曲です。実際、映画やお芝居にもなってますね。(玉三郎のが観てみたいー) 戯曲を読むなんて、本当に久しぶり。子供の頃は、マルシャークの「森は生きている」とか大好きだったんですが、大人になってからはどうも読みづらくなってしまって敬遠してたんです。それがこんなにさらさらと読めるとは、びっくり。もしかしたら、泉鏡花に関しては、戯曲の方が普通の小説よりも入りやすいのでしょうか? 頭の中で台詞を音読するように読んでいると、泉鏡花ならではの艶やかな世界がぱあっと広がってすごく素敵でした。
「夜叉ヶ池」も「天守物語」も、人間だった時は痛ましい亡くなり方をした女性たちが、物の怪になってから幸せを掴むというのがポイント。それに物の怪の方が、人間よりも約束を律儀に守っているんですよね。夜叉ヶ池の主も、本当は剣ヶ峰千蛇ヶ池にいる恋する若君のところに行きたいのに、そんなことしたら大水になってしまうし、人間との昔からの約束もあるから「ええ、怨めしい...」と我慢しているのに、人間の方が浅はかな考えから約束を簡単に破ろうとしてます。醜い俗世と物の怪の美しい世界の対比?(雨乞いをする人間たちが妙なものを池に投げ込んで困る... と、渋い顔をしてる物の怪の姿が可笑しいです♪)
「高野聖」は、山で何度も遭遇する大蛇や、森の中で上から降ってくる蛭の場面がものすごくリアルで気色悪っ。その後のなまめかしい美女の場面が、余計に妖しく感じられました。川で水浴びをしている時、「うとうとする様子で、疵の痛みがなくなって気が遠くなって、ひたと附ついている婦人の身体で、私は花びらの中へ包まれたような工合」だなんて、イメージとしては恋人よりも母親のようだったけど...(笑)

泉鏡花の本は岩波文庫版が何冊か手元にあるので、ぼちぼちと読んでいくつもりです。(岩波文庫)


+既読の泉鏡花作品の感想+
「夜叉ヶ池・天守物語」「高野聖・眉かくしの霊」泉鏡花
「泉鏡花短篇集」川村二郎編
「海神別荘」「春昼・春昼後刻」泉鏡花
「鏡花百物語集 文豪怪談傑作選・特別篇」東雅夫編

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Commentaires(4)

四季さん、こんばんは。
泉鏡花読まれたんですね~♪
今回のたら本でmort_a_creditさんが『鏡花短編集』を挙げてらしたんので私もうずうずしてました。(私も「高野聖」だけが既読です。)
「夜叉が池」は、京都、南座で玉三郎の観ましたよ。ものすごく妖艶で綺麗でした。
でも今では、池から現れる 玉三郎しか覚えてないので、読み返してみたいです。
四季さんがおっしゃる、物の怪の方が律儀・・。なるほど、人間の方が怖いかも。(笑)

ワルツさん、こんにちは!
あ、本当は「鏡花短篇集」を最初に読もうと思ったんですよー。
でもこの本、ちょっぴり分厚いんですよね。
…とは言っても、全部で267ページなので、実際には全然大したことないんですが…
もしかしたら手こずるかもしれないしと半分ほどの薄さの本から読み始めたという、実は軟弱者の私です。(^^ゞ

ワルツさんは、玉三郎の「夜叉ヶ池」をご覧になってらっしゃったんですね!
うわあ、羨ましいです。素敵だったんでしょうねえ。いつかまた上演されたら、ぜひ観てみたいです。
>物の怪の方が律儀
みんな、人間でいる時よりも物の怪になってからの方が余程幸せそうだし、
鏡花はそんなに現実世界に絶望してたのか? と思ってしまいました。(^^ゞ

早速、「泉鏡花短篇集」読み始めてます。ワルツさんもぜひご一緒に~♪

夜叉ヶ池、たのしいです(笑)
最後のほうで、洪水になるとわかって、急に態度を翻した村の連中が、
「鐘、ついてけろー」みたいに、みんなしてお願いするところが、かわいすぎ(笑)
考えてみると、村の連中は、水面下に行くと、変換されて、鯉とかカニとか鯰とか、白雪の従者みたいな連中になるんじゃないかと思います。百合と白雪が、水面をはさんで、対応しているように。
鏡花は、むかしの漫画家みたいに、稚拙なところも、ほのぼのしてて、愛玩できますね。

「春昼」「草迷宮」も名作です。
岩波文庫版「草迷宮」の種村季弘の解説が秀逸。

鏡花の文章は、波長が合うと案外、読みやすいです。
でも。そのときに一気に読まないと、他の本を読んでから戻ってくると、読めなくなってたりします(;・∀・)

「夜叉ヶ池」、すごく好みでしたー。
あの村びとたちの変わり身は素早かったですねー。
命がかかってるから当然とはいえ、さっきあんなこと言ってたその口で
よくそんなこと言えたもんだーと笑ってしまいましたよ。
そうそう、みんな水の中の生き物になるようですね。
最初「一人も余さず屠り殺す」とあったので「怖っ」と思ったら
「皆、魚に。早や泳いでおります。田螺や鰌も見えまする」ですって。
かなり下っ端の従者になりそうですね。(笑)

「春昼」「草迷宮」も岩波文庫版が手元にあるので、読んでみますねー。
あ、でも。その時に一気に読まないとダメですか!
うわあ、戻れるかしら。心配。今度読む時はなるべく一気に行くようにします。
またしても戯曲で勢いをつけようかしら。(笑)

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