「泉鏡花短篇集」川村二郎編

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昨日に引き続きの泉鏡花。今度はSukuSukuPu-sanのmort_a_creditさんが、先日のたわいまわし企画「心やすらぐ本」で挙げてらした「二、三羽──十二、三羽」が入ってる本です。本当はこちらを先に読もうと思ってたんですけど、泉鏡花の本にしては少し厚いので(今時の本と比べたら全然ですが!)、先に薄い本から入ったという軟弱者の私です。(^^ゞ
まず読んだのは、その「二、三羽──十二、三羽」。これはエッセイ風の作品。ふと庭に遊びに来た雀が可愛らしいくて、奥さんと一緒になって飯粒をやったりするようになるんですが、その雀たちの様子がとてもいいんです。ことに、庭で雀が初めて見る花に驚いてご飯を食べに来るのを躊躇っちゃうところなんて、微笑ましくてほのぼの?。「心やすらぐ本」というお題にぴったり。でもそんな風に読み進めていると、ふと気がつけば鏡花版「雀のお宿」に招かれていてびっくり。やっぱり鏡花なんですね。

この本には9編が収められているのですが、私が一番好きだったのは「竜潭譚」と「薬草取」。これは2編とも神隠し譚で、満開の花の描写がすごいんです。「竜潭譚」は躑躅。「行(ゆ)く方(かた)も躑躅(つつじ)なり。来(こ)し方(かた)も躑躅(つつじ)なり」 あんまり咲いてるんで、土も赤く見えてくるほど。でもあんまり満開すぎると、逆にちょっと恐怖感もあるんですね。(満開の桜もそうですよね)
そして「薬草取」では、四季折々の花が一斉に咲き乱れています。躑躅に山吹、牡丹に芍薬、菊も桔梗も女郎花も朝顔も... 薬草を取りに行った山での話なので、全部野生のはず。どんな風に咲いてるのか見てみたい...。あ、でもこちらは怖くないです。やっぱり1種類ではないせいでしょうか。むしろ幻想的でした。
そして華麗な描写となると、「雛がたり」という作品。お雛様にまつわるエッセイといった感じの作品なんですけど、冒頭から過剰なほどの艶やかな色彩が乱舞しています。そして後半の、現実と幻想の一瞬の交錯... いやあ、すごいです。(お雛さまって、やっぱり人間がいない時はお互いにおしゃべりしてるんですかねえ? お雛様に限らず、人形ってそんなイメージがありますよね)

その他は紀行文など、比較的現実的な作品が多かったので、その分少し物足りなさもあったんですが、ふとした瞬間に見える幻想的な情景や、相変わらずの華麗な描写がやはり美しかったです。(岩波文庫)


+既読の泉鏡花作品の感想+
「夜叉ヶ池・天守物語」「高野聖・眉かくしの霊」泉鏡花
「泉鏡花短篇集」川村二郎編
「海神別荘」「春昼・春昼後刻」泉鏡花
「鏡花百物語集 文豪怪談傑作選・特別篇」東雅夫編

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Commentaires(2)

こんばんは。

鏡花のスズメのお宿は、散文の句読点のリズムに、催眠効果があって。
うかうかと気づけば、もうひとつの世界にみちびかれてる感じ。
雀というありふれた鳥の、小さな、片隅の生を思いやる鏡花のまなざし。
置き忘れた日だまりの生の愛情が導くもの。
それは、盆の上の水よりもたやすく、ひっくり返せば消え去ってしまうものなのですが。

overQさん、こんにちは。
ああ、句読点のリズムにまでは目がいってませんでした…
今度はそういうのも気をつけて読んでみなくては。
でも本当にうかうかとしている間に、違う世界へと導かれてましたー。
読み終えてみると、「もうひとつの世界」はいつから始まってたんだろう?
って思わされちゃいました。(^^ゞ

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