「幽剣抄」菊池秀行

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菊地秀行さんといえば、まず新宿を舞台とした例のシリーズのイメージだったので、これは意外でした! こういった時代小説も書いてらしたのですねー。そっちの作品に比べたら、官能的な描写なんてないも同然の硬派な時代小説。時代小説と言うより、怪談と言う方が相応しいかも。全部で9編入っていて、それぞれに幽霊が出てきたり、不思議な出来事が起きたり。

この中で一番好きだったのは、最初に入っていた「影女房」。辻斬りに殺された小夜という町娘の幽霊が、何も関係ないはずの久馬の家に乗り込んで仇討ちを頼むんですけど、久馬が諦めろと言うと、その前に断った侍を半病人にしたことを告げて、「あなたには、もっと酷い運命を与えて差し上げます」と脅すし、久馬の母親が女の噂を聞きつけて家に乗り込んでくると、誤魔化そうとする久馬を尻目に、「だって口惜しいじゃありませんか」と自ら名乗り出るし、挙句の果てに「私、負けません」なんて宣言しちゃう気の強さ。気の強い幽霊というのも結構いると思いますが、ここまで来ると逆に気持ちいいです。(笑)

それとこの短編集で面白かったのが、それぞれの短編によって幽霊の有り様が違うこと。例えば「影女房」の小夜は、幽霊なのに身体は暖かくて足もきちんとあるし、人間のできることは普通にこなすんです。辻斬りに斬られた傷口からは未だに血が溢れて出るんですけど、それが畳などに付くことはありません。でも他の作品に登場する幽霊は、また違うんですよね。手が氷のように冷たくて、血の跡を残していたり。例えば「足がないから幽霊」とかそんな風に決め付けられないんです。血を流してるから人間だ、という発言にも、「死人が、霊が血を流さぬと、誰が決めまして?」 確かにそうかもしれないですねー。日本の幽霊に足がないのが普通になったのも、そもそも丸山応挙がそういう絵を描いたせいですもんね。(笑) (角川文庫)


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