「日本奥地紀行」イサベラ・バード

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画像は、より入手しやすそうな平凡社ライブラリーのものを使ってますが、私が読んだのは東洋文庫版です。
明治11年、47歳の時に日本を訪れ、日本人通訳である18歳の伊藤と共に約3ヶ月に渡って北関東から東北、北陸、そして北海道を馬と徒歩で旅したイギリス人女性・イサベラ・バードの本です。旅先から彼女の妹や親しい友人たちに宛てた手紙を主体にまとめたもの。中島京子さんの「イトウの恋」はこの本を基に書かれていて、LINさんに面白かったと教えて頂いたんですよね。普段、紀行文にはあまり興味がないのですが、でもこれは確かに面白かった!

それにしても、通訳がついていたとはいえ、食事はもちろん生活習慣がまるで違う国で、西欧の女性がこんな1人旅をしてしまったというのが驚き。しかもこのイサベラ・バードは、どこまでいってもイギリス式を押し通そうとする、ありがちなイギリス人じゃないんですよね。携帯式のベッドや自分の蚊帳は持ち歩くけれど、それは日本の宿屋につきものの蚤の大群から逃れるためだし、食事や臭いに関してはかなりぶつぶつ言ってますけど、それでも基本的に「郷に入れば郷に従え」。もちろんキリスト教至上主義の西欧人らしい部分もあるんですが、色々なものを素直な目でとても良く観察してるし。イサベラ・バードが感じた景色の美しさや人々の不衛生ぶり、礼儀正しさと相反する物見高さ、そして子供たちの親に対する従順ぶりなどが、冷静な文章で書かれていきます。一体ここに書かれている「日本」のどれだけが、今の日本に残ってるんでしょうね。
そして逆に、明治維新直後の日本についての自分の無知ぶりには、我ながらびっくりです。幕末~明治維新直後の小説からでも、ある程度知ってるんじゃないかと思い込んでいたんですが、これが大間違いでした... 私ったら本当に何も知らなかったのね。西欧文化の影響を受ける直前の日本らしい日本の姿、そしてアイヌの姿がとても興味深かったです。

「イトウの恋」とは、細かい部分が色々と違っていると思うんですが、意外なほど同じ部分もあって、思っていた以上に重なります。となると2冊を読み比べてみたくなっちゃう。今、「イトウの恋」が手元にないのがとても残念です。今度、確かめてみようっと。そして宮本常一さんの「イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む」も読んでみたいな。(東洋文庫)

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Commentaires(14)

こんにちは。これいいですよね~。私もずっと以前に読んで感動することしきりでした。その土地の風土だからこそ生まれた文化だという事や、土地への望郷と愛着心を揺す振られました。彼女の感受性の豊かさとモノを見る目の確かさ優しさは素晴らしいです。一年位前だったかと思いますが、テレビで彼女の足跡を辿ると言った様な番組もありました。また、読み返してみようかなあ・・・

thousaさん、こんにちは!
thousaさんもこの本読んでらっしゃいましたか。ほんと良いですね~。
読み始めた途端に引き込まれちゃったんですけど、特にアイヌの部分がすごく良かったです。
わ、彼女の足跡を辿る番組、見てみたかった! もし再放送してくれたら、絶対見ます。
ほんと、ずっと手元に置いておきたくなるような本ですね。

▼2004-10-17(NHK総合(東北地区のみ))、2004-10-23(NHK-BS2)
”BSフォーラム 東北ダイナミックス「日本人の心の再生を探る」
~イザベラ・バードが見た明治の日本~”(60分番組)

▼2004-10-22(NHK総合(東北地区のみ))、2005-01-10(NHK総合(全国))
”クローズアップ東北 奥の細道ルネッサンス「明治の山形に桃源郷をみた」
~イザベラ・バード「日本奥地紀行」の旅~”(30分番組)

私もTVで作者の名前を聞いたことがあるような気がしたので、検索して
みたら、やはり1年くらい前にNHKが東北地区ローカルで番組をいくつか
作っていたようです。その後、全国放送もされたようです。

わー、ごとうさん、調べてくださったのですね。
2つもあってどちらもNHKということは、同じ人が作ったのかな。
どんな風に違うんだろう… 気になります。
まさか60分番組をコンパクトにして30分、ってわけじゃないですよね。(笑)
そのうち再放送もあるかしら。BSならやるかもしれないですね。
もしやる時があったら、その時こそ見逃さないようにしないと!
教えて下さってありがとうございます(^^)。

読了、おつかれさまです(*^^*)
長くなかったですか?
私は地図を横において、ルートをたどりながら
読んだものですから、自分も旅したような気分で
読み終えたあとはぐったりでした。
帰りはどうするんだろうと心配していたら
ああいう手があったんですねー。
平凡社ライブラリーと東洋文庫版は
中身はまったく同じでしょうか?
それとも、ちょっと違ったりするのでしょうか?
>「イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む」も読んでみたいな。
私も~♪

わー、地図でルートを辿りながらというのは、考えつきませんでした!
私もそうすればよかったなあ。その方が、移動する距離感とか一層伝わってきますよね。
そうそう、行きの苦労に比べたら、帰りはラクラク。(笑)
あ、でもそういえば私、以前旅行代理店にいた時に、あんな感じの旅行を組んだことがあります。
もちろん移動は徒歩じゃなくて、行きは電車とバス、帰りは飛行機だったんですが…
もしかしたら、この本を読んだ人だったりして…!

あ、平凡社ライブラリーと東洋文庫、違うんでしょうか?
訳者さんが一緒だし、頭から一緒だと思い込んでました…(^^;
実は、ふと気がついたら父がこの本を読んでたので、貸してもらったんですよ。
だから平凡社ライブラリーの方は見てなくて。今度本屋でチェックしてみます!

トラバ頂きました!ありがとうございます!そしてこれからもよろしく!
実は今「塩」についてのPaperを書き上げたところなんですが、宮本常一の「塩の道」でこのイザベラ・バードの「日本奥地紀行」がでてきて、是非読みたいと思ってたんです。まさにタイムリーな書評でLuckyです。オーダーしなくっちゃ。

Miwakoさん、コメントありがとうございます~。
宮本常一さんの本は読んだことないんですけど、「塩の道」というのもなかなか興味深そうな本ですね。
「日本奥地紀行」の感想、タイムリーだったようで、私も嬉しいです!
こちらこそ、これを機会にどうぞよろしくお願いいたしますね。

はじめまして。江戸時代、文化文政期に日本国中を回国した野田泉光院(宮本常一にも同名の著書があります)という山伏の足跡を辿る旅の現代版を書いて、友人にメールをしておりますyorickと申します。

イサベラ・バードの旅で、泉光院と重なる部分はイサベラの手紙にも登場してもらって、ほぼ60年の時間差でどのように日本の「奥地」の生活が変化したか(あるいはしていないか)と言うことを書いているうちにここに辿り着きました。どうぞお見知りおき下さい。

yorickさん、はじめまして。書き込みありがとうございます。
実は野田泉光院という名前を聞くのは初めてで、何も知らなかったのですが(お恥ずかしいです)
西の芭蕉とも言われるような人物だったようですね。文化文政期となると芭蕉よりもかなり後ということになりますが…
そういった人々の目を通して奥地の生活の移り変わりを見ていくというのは楽しそうですね。

泉光院の旅は現在No,285まで進んできてようやく新潟を離れるところ。これからはイサベラとつかず離れずの(時間は全く違いますが)旅で、東北へ行きます。
もしよろしかったら別途メールで、泉光院とイサベラが同じものを見た(例えば日光)あたりの部分をお送りいたしましょう。
Re:を頂ければお送りします。

柴木勇一さん、こんにちは。
以前書き込んで頂いたyorickさんと同じ方ですよね?
メールでテキストを下さるだなんて、ありがとうございます。
ただ、今はちょっとイザベラ・バードから興味が離れてるので…
それにモニタで長文を読むのって苦手で…(^^;
(プリントアウトすればいいだけの話なんですが)
またいずれ、お願いしたくなることもあるかもしれませんが、今回は見送らせて下さい。
せっかくのお申し出なのに、申し訳ありません。

どれでは江戸時代の修験、回国行者、そういったものに興味が向く事があればご連絡下さい。野田泉光院という修験を通して江戸時代の民俗などを少々書いておりますから。
それではいずれまた。yorick.

では、その時はどうぞよろしくお願いいたしますね。
わがまま言って申し訳ありあせん~。ありがとうございます。

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