「0番目の男」山之口洋

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21世紀に入り、地球の抱える様々問題が深刻化していた頃、優秀な人材を確保することが目的のΣ(シグマ)計画によって、優秀な環境工学技術者だったエフゲニィ・マカロフのクローンが次々と作り出されることになります。元となったマカロフは、そのまま普通に一生を終える予定。しかし本人の強い希望によって、大量に生み出されるマカロフたちの人生を追体験するために、人工冬眠の施術を受けて70年後の世界へと送り出されることに...。

去年読んだ「オルガニスト」(感想)がとても素敵だった山之口洋さん。今年はぜひコンプリートしたいと思ってる作家さんの1人です。そしてこの本は、祥伝社の400円文庫のうちの1冊。「長すぎない短すぎない中編小説」をモットーにしたこの400円文庫、なかなかこの長さがしっくりする作品がないんですけど、それだけにぴたりとハマった時は気持ちが良いんですよね。今まで読んだ中でハマったなと思った作品は、若竹七海さんの「クール・キャンデー」とか、菅浩江さんの「アイ・アム」。この作品も、短いけど濃くて良かったです。
同じ遺伝子を持ったマカロフでも、その生き方や個性は様々。70年後の世界には「マカロフ・クラブ」というのが出来てるんですけど、ここはバーテンダーもマカロフなら客もマカロフという、マカロフだけが入れる会員制クラブ。皆全く同じ遺伝子を持っているはずなのに、脚本家もいれば俳優もいるし、刑事もいれば泥棒もいるんですよね。「みな、それぞれの人生の痕をどこかしらに刻みつけた」マカロフたち。環境工学を研究するしか能がなかった本家のマカロフにとっては、それは新鮮な驚き。本当はそこには痛い真実もあるんですが... まあそれはそれとして(いいのか?)、ここに繰り広げられる様々なマカロフたちの人生模様がすごく好きでした~。全く同じ遺伝子だと、ここまでバリエーションに富むのは本当は難しいでしょうけど、でもなんかいいなあ。夢があって。ラストも、ちょっと甘いんじゃ... と思いつつもなかなか良かったです。(祥伝社文庫)


+既読の山之口洋作品の感想+
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