「エンド・ゲーム」恩田陸

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「光の帝国」の、全体的に穏やかな雰囲気の漂う常野一族の物語の中でも、異色の緊迫感を持っていた「オセロ・ゲーム」の続編。常野一族のダークサイド。うららかな日差しが感じられるような春田一族の物語も好きなんですが、このダークサイドにもすごく惹かれていたので、楽しみにしていた作品です。「オセロ・ゲーム」では、夫が「裏返され」て失踪し、自分も戦い続けてきた拝島暎子が主人公でしたが、今回は娘の時子が主役。

途中まではすごくスリリングなんです。時子の父に本当は何が起きていたのか、そして今回瑛子に何が起きたのか、電話をかけた先の女性たちや「洗濯屋」の火浦という青年の真意も分からないまま緊迫感たっぷりに進みます。「洗って、叩いて、白くする」という「洗濯屋」もいいですねえ。でも終盤... うーん、どうなんでしょう。確かにどんな物事でも、その一面だけではかることはできないし、当事者にはなかなか見えてこない面というのはあります。その人間にとっての真実が他の人間にとっても真実だとは限らないし、いくら真実だと信じていたことでも、簡単に崩壊してしまう可能性が十分あるのは分かるんですが... なんだか、決定的な部分をはぐらかされたままで終わってしまったような。途中までは確かに面白く読んでたはずなのに、「あれ、それで結局何だったんだ?」という感じで読み終えてしまいました。...このもやもや感は一体どうすれば... うーん...?(集英社)


+シリーズ既刊の感想+
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸

+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「チョコレートコスモス」恩田陸
「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
「いのちのパレード」恩田陸
「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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Commentaires(8)

はじめまして。
TBさせていただきました。
物語の終わり方、私はそれなりに納得できました。
それはもしかしたら“恩田陸慣れ”してるのかも知れませんが(笑)
よろしかったら私の記事ものぞいてやってください。

こばけんさん、こんにちは。はじめまして~。
TBありがとうございます。
“恩田陸慣れ”は、私もしてたはずなんですけど…
なんだか、だんだん“恩田マジック”が自分に効かなくなってきてるような気も…。(^^ゞ
こばけんさんの記事、早速拝見させて頂きますね!

『エンド・ゲーム』の感想,ほぼ同意です。
恩田陸の特徴である「閉じない物語」が悪い方向へ作用してしまったような感を受けます。
確かに楽しめはしたんですけど,なにか釈然としないものを感じてしまいました。
《常野物語》の一編ということで期待は大きかっただけにちょっと残念です。
そういえば,他の常野の民も出てこなかったしなあ……。

やっぱり『蒲公英草紙』みたいな路線を僕は《常野物語》に求めたいです。

森山さん、こんにちは!
わあ、同じようなご意見なんですね。
そうそう、確かに楽しめたんですけどねえ… でもなんか釈然としませんよね。
読み終えた途端に、どんな話だったか忘れちゃったような感じの読後感でした。
途中まではワクワクしながら読んでたのに残念ですー。
あのダークな感じは、すごく好きなんですけどねえ。うーん。

四季さん、こんにちは^^
『エンド・ゲーム』やっと読みました~♪
いやーすごい緊張感が続く話でしたね。
私も“恩田陸慣れ”してますよー(笑)
四季さんはだんだん“恩田マジック”が
効かなくなってきているんですね。
私は今のところ効いてるみたいで(^^ゞ
この作品は結構好きでした。

かなめさん、こんにちは~。
元々「オセロ・ゲーム」は「光の帝国」の中でも
すごく好きな作品だったので、この緊迫感も何とも言えず良かったです。
でもね、読み終わった時に、「それで…?」ってなってしまったんですよね。
本当は、物語の最後が閉じてようが閉じていまいが別に構わなくて
気持ち良く騙してもらえればそれでいいと思ってるんですけど…(笑)
この作品は、どこかもやもやが残ってしまいました。

恩田マジック、カムバ~~ック。(笑)

はじめまして。
今日読み終えたんですけど、本当、結局なんだったの??とモヤモヤしてます。
一応このシリーズはすべて読んでるんですけど、多分毎回理解してないでしょうね、私。(笑)瑛子の主役の話もすっかり忘れてます。
確かに緊迫感はあったんですけど、最後まで読むと、だから結局どうだったの?って思ってしまいます。恩田さんを前にお茶でも飲みながら講義してもらいたい気分です。(苦笑)

じゃじゃままさん、はじめまして!
おお、じゃじゃままさんもモヤモヤ仲間だったんですね~。
途中まではすっごく好みだったし、面白かったですよね。なのになぜこんなことにー。
恩田さんの作品は、いつも詰めが甘いと思いつつ楽しめてたのに
この作品はほんと、読後に何も残りませんでした…

あ、「光の帝国」の「オセロ・ゲーム」は、これだけでも再読する価値があると思いますので、ぜひぜひ。
そんなに長くないので、すぐ読めますし♪
あの中ではこれだけ一種異様な雰囲気なんですけど、とても好きな作品です~。

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