「ダミアーノ」「サーラ」「ラファエル」R.A.マカヴォイ

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ダミアーノは、父親譲りの魔力で錬金術を行う21歳の青年。リュートと、言葉を話す小さな牝犬・マチアータをこよなく愛し、平和な生活を送っているダミアーノなのですが、パルテストラーダの町を支配下に置いていたサヴォイ公国の軍が撤退し、代わりにパルド軍が入ったことによって、ダミアーノの平和な世界は一変してしまうことに。

先日読んだ「黒龍とお茶を」がとても面白かったR.A.マカヴォイの、「魔法の歌」シリーズ全3巻。「ダミアーノ」「サーラ」「ラファエル」です。現代のサンフランシスコが舞台で、日常生活にほんのりと異質なものが入り込んだ程度のファンタジーだった「黒龍とお茶を」とはがらりと変わり、こちらは中世イタリアを舞台にした荘厳な作品。まるでラファエロの絵画がそのまま動き出したような印象。
とは言っても、ものすごーく感想が書きにくい作品だったんですけど... 天使や悪魔の扱いが独特で、その辺りがすごく面白かったです。冒頭から大天使ラファエルが登場して、ダミアーノにリュートを教えていたのには驚かされたんですが、そもそも、ダミアーノが魔道士でありながら敬虔なキリスト教徒という、この設定も珍しいと思うんですよねえ。
途中、サタンの姦計によってラファエルが大天使らしからぬ扱いを受けることになり、それがラファエルに大きな変化をもたらすんですけど、それ以前のラファエルって、ダミアーノ以外の人間には基本的に無関心だったし、多分ダミアーノに呼び出される前は、もっと人間に無関心だったんじゃないかと思うんですよね。ラファエルがこの状態なら、多分ウリエルやガブリエルやミカエルも似たようなものでしょうし、神その人はそれ以上に無関心なのかも、なんて思ったり。となると、神にとっては、ラファエルとサタンの諍いも特に関心を引くものではなかったんだろうなあ、なんて思いながら読んでいたら、なんだかサタンの方がずっと人間的に見えてきて、ルシファーがサタンになってしまった根本的な原因が見えたような気がしてきちゃいました... とは言っても、それはあくまでもこの作品の中でのことなんですが、マカヴォイ自身が、どんなことを考えて書いていたのか知りたい!(もしやこの作品の真の主役はラファエル?)
そしてサタンが住んでいるのが、常若の島ティル・ナ・ヌォーグ。なぜここにティル・ナ・ヌォーグが? これってケルトの神話に登場するティル・ナ・ノグと同じですよね? 私はケルト近辺でしか読んだことがないんですが、イタリアにもそういうのがあるのでしょうかー。妖精や死んだ英雄なんかが住んでる楽園だとばかり思ってたんですけど、なぜそこにサタンが住む?...マカヴォイがその名前を出してきた意図も知りたくなってしまいます。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のR.A.マカヴォイ作品の感想+
「黒龍とお茶を」R.A.マカヴォイ
「ダミアーノ」「サーラ」「ラファエル」R.A.マカヴォイ

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