「宿命の交わる城」イタロ・カルヴィーノ

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深い森の中の城に辿り着いた「私」は、同じように城に辿り着いた客たちと共に晩餐の席につくことに。居並ぶ人々は、それぞれに森をくぐり抜けてくるうちに声を出せなくなってしまったらしく、静かに食事が進みます。そして晩餐が終わった時、城主とおぼしき人物が食卓にタロットカードを置き、会食者の1人がそのカードで物語を語り始めるのです。

たらいまわし企画・第18回「心やすらぐ本」(記事)で、タロットカードの絵柄が美しい「ムットーニ おはなしの小部屋」を出した時に、LINさんに教えて頂いた本。カルヴィーノ作品は初挑戦です。

これは実際にタロットカードを並べながら読みたくなりますね。この1冊の中に「宿命の交わる城」と「宿命の交わる酒場」という2編が収められていて、タロットカードだけで語り手たちの人生が語られていくという形は同じなんですが、お城の大広間で使われてるのはヴィスコンティ家のカードで、酒場で使われてるのは、一般に流通してるマルセイユ版のカード。使い分けてるんですね。(笑)
本にも一応その図柄が載ってるんですけど、いかにも簡易版なので、雰囲気しか分からないのがちょっと残念。それでもそれぞれのページに挙げられている図柄とか、その並び方とか、読みながらまじまじと見入ってしまいましたー。これは実物が見てみたいなあ。特にヴィスコンティ家のカード! 美しいんでしょうね。ええと、私もタロットカードは1組持ってるんですが(占いはしないんですけど、絵柄が好きなので) 絵がまた少し違うので、並べてみるのはやめました... それをすると、なんだか物語が変質してしまいそう。
タロットカードは元々寓意性が強くて、占いでもその並び方によって様々な人生模様が表現されていくものですけど(そういう意味では、占い師も一種のストーリーテラーと言えるかもしれないですね)、こんな風に物語になっている作品は初めて。しかも1人1人の物語だけでなく、それぞれの語り手の物語(宿命)は縦横に交錯して、1つの大きな物語絵巻を織り上げていくんです。それがもう見事。緻密に計算されていて、その濃密さにはびっくりです。

物語には、「ファウスト」、「パルシファル」、「オイディプース」、シェイクスピアの3大悲劇、アリオストの「オルランド狂乱」といった物語も織り込まれていて、この中では「オルランド狂乱」だけ未読なんですよね。これはぜひ読んでみたいなあと思ったんですが... 調べてみたら、12,600円って...! マジですか!?(検索してヒットしたのは「狂えるオルランド」だったんですけど、一緒ですよね? 右の本です) 一体どんな本なんでしょう。市内の図書館にも置いてないみたい。この値段だったら、きっと函入りで美麗な装幀なんでしょうね... てか、そうじゃないとイヤだなあ。(笑)(河出文庫)


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Commentaires(6)

ねー、これ読むと、タロットを並べたくなりますよね。
>この中では「オルランド狂乱」だけ未読なんですよね
うわ、さらっと書いてありますが、それってすごいですよ。
私はどれも未読(・∀・;)
「それでよくこの本のよさがわかりましたね」って
四季さんに怒られてしまう…
最初に発行された「タロッキ」に掲載されたという
ボニファーチオ・ベンボのカードが見てみたいなあと
いろいろ検索してみました。
これではないでしょうか?
https://enter.nifty.com/member/ffortune/tarot/visconti/m1.htm
もしかしたらニフティ会員じゃないと
見れないかも(>_<)

こんばんは
四季さん、タロットカードお持ちなんですか、
うらやましいです。
タロット片手に読むとより面白かっただろうなと思います。
でもやはりお城の章ではマルセイユ版はあまりしっくりこないでしょうね。

「オルランド狂乱」というのは読んだことがありません。
ヴァージニア・ウルフの『オルランドー』の題名は聞いたことがありますが(これも読んではいません。 笑)
それにしても学術書的な値段設定がすごい。
出入りの図書館にはあるようなので読んでみたいのですが、長編ですね……。

>LINさん
わあ、ボニファーチオ・ベンボのカード、ありがとうございます。
実はニフティのIDを持ってるので見れました!
やっぱり本のあの印刷じゃあ、この雰囲気は全然出てませんね。
悪魔のカードなんて文字が書いてあるだけだったし、ちゃんて見れて嬉しい~。
それにマルセイユ版とは、やっぱり重厚さが全然違いますね。
同じカードを並べても、まるで違う物語になってしまいそう。
もう一回、このページを眺めながら読んでみたくなっちゃいました。

あ、未読だったら、これを機会にいかがですか~?
「なんだ、こんな話だったのか」ってなりそうな気もすごくするんですが(笑)
「ファウスト」「オイディプス」辺りは、色んな作品にモチーフが登場しますしね。
(シェイクスピアもそうだけど)
そういう時にニヤリとできて楽しいです。

>nyuさん
タロットカード、持ってはいるんですけど、ほんと雰囲気が違うんです。
私が持ってるのは↓こんな感じ(画像はあまり良くないですが)
http://tetramorph.to/tarot/coldron/cold3/cold3.htm
時々異質な雰囲気のが混ざってるのがマルセイユ版ですね。
…007の映画で使われてたなんて、今、初めて知りました!(笑)
私がこれを買った時は、それほど種類はなかったと思うんですが
今はほんと様々な図柄のが出てるみたいです。検索しながら、見入っちゃいました。(笑)

「オルランド狂乱」、nyuさんも未読でしたか。ほんとすごい値段ですよね。
レビューによると定型詩の形を取ってるそうなので、文字はそれほどぎっしり詰まってないのかも?
とは言っても、定型詩というのがまた難物の可能性大ですが…
ヴァージニア・ウルフの「オーランドー」も、検索してみたら面白そうでしたよ!
いつか読んでみたいです。(と思う本の多いこと多いこと)

名古屋大学出版局の発行ですね>狂えるオルランド
大学の発行する書籍はどうしても高くなってしまいます。
ちなみに抄訳でよければ,一応以下の全集に収録されています。
まずこちらを読んでみてから全訳に挑戦するのもいいんじゃないでしょうか。
  筑摩書房『澁澤龍彦文学館1』
  国書刊行会『書物の王国17』
  平凡社『世界名詩集大成南欧南米編』
 僕は上の2つを読んでいます。なかなか面白かったですよ。
 あとカルヴィーノによるダイジェスト版の翻訳の予定もあるらしいのですが,まだ出てないみたいですねー。

 またハヤカワ文庫に収録の《ハロルド・シェイ》シリーズの第3巻『鋼鉄城の勇士』も狂えるオルランドがテーマです。
 他の巻も面白いので是非ご一読を。
 古い作品ですが図書館や古本屋にはあると思います。
 ちなみに他の巻のテーマは「北欧神話」「スペンサーの妖精の女王」「ケルト神話」「カレワラ」となっています。

 フレイザーの『金枝篇』読みたいのですが,全8冊+別冊1冊で各巻10000円という状況(苦笑)。
 市井の趣味人としてはとても手が出ません(苦笑)

森山さん、こんにちは。
さすが、カルヴィーノもオルランドも読んでらっしゃるんですね。
わあ、抄訳でも読んでみたい! と思ったんですが…
3冊とも市内の図書館には置いてませんでしたー。うへえ。
「澁澤龍彦文学館」というのも気になるし、「書物の王国」も前から気になってたんです。
なんとかして読んでみたいなあ。
あ、「書物の王国」の17巻って「怪獣」なんですね。なんか意外です。(笑)
「岩に繋れしアンジェリカ」って、なんだかアンドロメダのイメージだわー。(笑)

ハロルド・シェイシリーズも、いずれ読もうと思ってるんです。なんとこちらにもオルランドが…!
それはぜひとも先に、オルランドを読んでみなくちゃいけないですね。
って、ハロルド・シェイシリーズは入手もまだなんですが。(^^ゞ
テーマが「北欧神話」「妖精の女王」「ケルト神話」「カレワラ」だなんて
それはすごく楽しみになってきました。
「カレワラ」も読まなくっちゃ!
あと「妖精の女王」がちくま文庫で出たじゃないですか。欲しいんですよー。
でも4巻揃えると、6000円はしちゃうんですよね… うーん。
「金枝篇」、私もずっと読みたいと思ってるんですけど、こちらもなかなかです。
本ってやっぱり高いですね。(溜息)

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