「森の小道・二人の姉妹」シュティフター

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「森の小道」「二人の姉妹」という中編が2編収められた本です。以前、「水晶他3篇 石さまざま」(感想)を読んだ時にも、その自然描写の美しさや作品自体の清々しさに驚かされたんですけど、今回も素晴らしかったです~。物語としてはどちらも、裕福だけど天涯孤独な男性が、素朴で暖かい人々との出会いを経て、愛や家族の素晴らしさを知るというもの。それほど起伏に富んでるとは言えないし、決して派手ではないんですが、これがとてもいいんです。
自然描写の荘厳さで言えば、「水晶他3篇」の方が上だったかなと思うんですけど、こちらの心が和むような情景も捨てがたい...。「森の小道」で描かれるのは、暗い樅の木や明るい撫の木の立ち並ぶ「黒い森」の、明るく澄んだ柔らかな空気や、まっすぐに降り注ぐ昼の光、心地よい香り... でも自然の厳しさを感じさせるような描写もシュティフターならではなんですよね。一旦主人公が森で迷ってしまうと、和やかだったはずの情景は一変。驚くほど青かった竜胆の花も、恐ろしいような青色へと変化します。この場面が本当に印象的でした。そして「二人の姉妹」は、珍しくウィーンという大都会も描かれているのですが、その美しい描写の真骨頂は南チロル地方の場面にあります。特に印象に残るのは、夜、主人公がヴァイオリンの音に気づく場面。銀色の空には細い月がかかり、聞こえてくるのはヴァイオリンの黄金の音色のみ。
読み終えた瞬間、何とも言えない満ち足りた気分になっちゃいました。やっぱりシュティフターはイイ! 未読の方、特に外国文学系がお好きな方には、ぜひともオススメしたい作品です。(「水晶他3篇」も!...そして私は「晩夏」を読まねばー) ちなみに表紙の風景画は、画家でもあったシュティフター自身の絵です。(岩波文庫)


+既読のシュティフター作品の感想+
「水晶 他三篇 石さまざま」シュティフター
「森の小道・二人の姉妹」シュティフター
「晩夏」上下 シュティフター
「ナレンブルク 運命に弄ばれた人々の城」A.シュティフター
「石さまざま」上下 アーダルベルト・シュティフター
「森ゆく人」アーダルベルト・シュティフター
「書き込みのある樅の木」アーダルベルト・シュティフター

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Commentaires(2)

こんにちは。
シュティフター、もっと読まれてほしいですよねー。
面白そうな作品がたくさんあるのに、未邦訳だったり絶版だったりして残念です。
>満ち足りた気分
まさにそれですね。これみよがしなハッピーエンドではなくて、いつも自然と一体になるように物語が結ばれる感じはやはりシュティフターですね。
どうぞ、『晩夏』も楽しんでください。
春・初夏にぴったりの作品かもしれませんね。

nyuさん、こんにちは!
シュティフター、ほんといいですよねえ。
これを読み終わった後、ものすごーく幸せな気持ちになっちゃいました。いい作品ですよね。
「晩夏」も、ちくま文庫の高さに躊躇ってたんですが(笑)
今度こそ買いたいと思います。春・初夏にぴったりだったら、もうじきですね。楽しみ~。
(読むたびに「シュティフターはイイ!」と騒いでたら、興味を持ってくれる人が増えて、復刊に繋がるかしら?)

でもちくま文庫ってほんと高いですよね。2冊で2700円ほどもするなんて!
…それでも「オルランド」に比べたら、安いものなんですが…(^^;。
昨日も「妖精の女王」とにらめっこして帰ってきましたよ。欲しいけど~高いです~。

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