「the TEAM」井上夢人

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テレビ番組にレギュラー出演し、招霊木(オガタマノキ)を片手に、その卓抜した霊視能力で相手のことを全て見抜いてしまう人気霊媒師・能城あや子。本当は霊視能力などまるでないのですが、何もかも見抜いているかのような発言に人気は急上昇、という連作短編集。
能城あや子は、テレビにもよく登場してるし、書店では著作をよく見かける「あのヒト」(こちらは霊媒というより占い師か)のイメージ。私は、テレビに出ている霊媒師なんて、言っていることがどれだけ当たっていたとしても本物だなんて到底思えないし、ましてや好感を持つことなんて、まずないんですが... でもその認識が、この本を読んでると覆りそうになっちゃう。

表向きには、彼女にはマネージャーが1人いるだけで、テレビの収録の日に出掛けて行って相談者に初めて会い、霊視を行うわけなんですが、実は秘密裏に2人の調査隊がいて、その2人が予め誰が相談者になるのか、どんな相談なのかを探り出し、完璧に調査し推理していくんですね。この過程が、ほとんどミステリの謎解きと一緒なんです。実際には、相談者を尾行したり、その人の家に不法侵入したり、会社のパソコン相手にハッキングをしかけたりと、とてもじゃないけど穏やかとは言えないやり方をしてるんですけど、でもその態度に一本筋が通っているので説得力があるし、あと、このメンバーが「金儲け」から超越してるのがいいのかな... 実際にはかなり儲けてるはずなんですけど、そういう俗っぽい部分が見えてこないんです。なんだか腕のいい職人芸を見せられているような気分。(井上夢人さんご自身が卓越した職人芸を楽しませてくれる作家さんだ!)
やり方はどうであれ、相談者の悩みは解決するし、真犯人は捕まるし、時には監禁されていた人が助け出されることもあるし、どこにも被害者がいないどころか、関係者にとっては能城あや子の霊視はまさに天の声のようなもの。もちろん、能城あや子は絶対にインチキだと決め付けて、カラクリを暴こうとする人間もいるんですけど、スタッフたちの仕事振りは常に完璧を目指していて、敵を欺くには味方から。テレビ局のスタッフのことも調べあげていて、番組に映らない部分でも、こまめに能城あや子に「霊視」させてたりするんですよね。
引き際も鮮やかな、井上夢人さんらしい楽しい作品でした。(集英社)


+既読の井上夢人作品の感想+
「オルファクトグラム」上下 井上夢人
「クリスマスの4人」井上夢人
「the TEAM」井上夢人
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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遅筆では定評のあるミステリ作家 井上夢人 。 なので、読者たるもの出版されてから読了までに時間をかけて楽しんでやろうじゃありませんこと! と、意気... » Lire la suite

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