「日々の泡」ボリス・ヴィアン

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22歳の青年・コランは、働かなくてもいいだけの資産を持ち、腕の良い料理人を雇っていて、毎週のように友人のシックを夕食に招く生活。シックは、技師としての乏しい給料からジャン・ソオル・パルトルの著作を買うのを楽しむ青年。シックにアリーズという恋人ができ、コランにも、アリーズの友達のクロエという恋人ができて、じきにコランはクロエと結婚。コランは、シックとアリーズの結婚も願って、自分の資産のうちの4分の1をシックに贈るのですが、シックはその金でパルトルの著作を買いあさり始めます。そしてクロエが、睡蓮の花が肺の中に咲くという奇病にかかり...。

レーモン・クノーによると「現代の恋愛小説中もっとも悲痛な小説」、ピエール・マッコルランによると「現代の青春の稀有な書物」という、とても不思議で、美しくて、そして哀しい作品。先日のたらいまわし企画「教えてください!あなたのフランス本」でLINさんが挙げてらした本です。(記事
冒頭から奇妙な描写がいくつも出てきて、おや?とは思ってたんです。コランが鏡を覗き込むと、ニキビは自分たちの姿が拡大鏡に映るのを見てびっくりして皮膚の下に逃げ込むし、バスマットに粗塩をふりかけると小さなシャボン玉が無数にふきだすし、洗面台の蛇口からはパイナップル味のはみがき粉目当てでウナギが顔を出して、それをパイナップルで釣って料理に使ってるし... 演奏をすると本当のカクテルを作るというカクテルピアノも登場。コランとクロエの初デートに登場する小さな薔薇いろの雲は、肉桂入りの砂糖の匂い♪ (ジョルジュ・サンドの作品にも薔薇いろの雲が登場するんですけど、これって慣用句か何かなのでしょうか) それでも最初は、話自体は普通に展開するんだろうと思ってたんです。でもふと気づけば、どんどん思わぬ方向へ... クロエの病気のせいで、コランの家が変容し始める辺りなんて、すっごくシュール。まさかこんな展開になるとは思ってもいませんでしたよー。びっくり。序盤がとても繊細で綺麗なだけに、終盤の痛ましさや残酷さが印象に残ります。もう、読んでいるこちらの精神状態まで左右されてしまいそう。でも、そこまでブラックなのに、やっぱり美しいというのが、また凄いんですよね。いやあ、面白かった。読み終わった途端に、もう一度最初から読みたくなりました。
ちなみにシックが狂信的に入れ込んでいるジャン・ソオル・パルトルは、ジャン・ポール・サルトルのこと。本来の作品名の「嘔吐」も、「はきけ」「へど」などの言葉で置き換えられています。あまり分からなかったけど、他にも 色々とあるんでしょうね。(新潮文庫)


+既読のボリス・ヴィアン作品の感想+
「日々の泡」ボリス・ヴィアン
「心臓抜き」ボリス・ヴィアン
「アンダンの騒乱」「ヴェルコカンとプランクトン」ボリス・ヴィアン

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Commentaires(6)

四季さん、こんにちは。
岡崎京子さんの漫画バージョン「うたかたの日々」でしか、読んだことのない作品なので、
小説でもその世界を楽しんでみたくなりました。
心乱されそうで、少し覚悟がいるかしら、なんて思いつつ。

ううん。。勝手にコラボブルー発足にて、これからガンガン
行くつもりでしたが、昨日より大幅にテンションと言うか?
ボルテージが物理的に下がる羽目に成っちゃいました。。。

実は、うちの生徒の内科医に「血圧高いんですよ僕…」
とか言ったら、病院に行くべきだと言われて、昨日病院に
行ったら、血圧のヤローが200とかあり得ない数値を示して
おりまして(オイ...)、心拍数を下げて、血圧を落とす薬を
飲んだ所、なにやらテキストライターとしてのテンションも
下がった気が… 実際問題として、血圧も少し下がったし
心拍数も80>60位に落ちているので、この先どうなるのか?
なんて、思いつつも、これは意外と人生初の冷静な俺みたいな
人に出会えるチャンスかもしれないしって、こんだけコメント
書ければ大丈夫か?(わはは

>ましろさん
こんにちは! 「日々の泡」、ぜひぜひ読んでみて下さい。
普段はかなり安定してる私が心乱されちゃったので、確かにちょっと覚悟がいるかも…(笑)
でもすっごく素敵な作品でしたよ。良かったです。
という私は漫画バージョンは見たことないので、ぜひ一度手に取ってみたいです~。

>師匠
うわー、大丈夫ですか?
血圧が高いのも大変ですけど、薬で下げた状態もしんどいのでは?
でも師匠の血圧が下がっても、私の血圧の低さには敵わないかも~。
…だからいつも冷静にトドメを刺してしまうんでしょうか、私ってば(笑)
まあ、これだけコメントが書ければ大丈夫とも言えそうですが(笑)、くれぐれも気をつけて下さいねー。

で、勝手にコラボブルーですが、1つ前のエントリの「文体練習」が面白いんですよ。
mort_a_creditさんという方が、同じ試みをされてるので、一度見てみて下さいな。
http://blog.livedoor.jp/mort_a_credit/archives/cat_684239.html
一番下の記事(説明入り)と、番外編の村上春樹だけでも、十分雰囲気は掴めると思います。
こういうのをやってみるのも一興? って思いました。
あ、でもやるにせよやらないにせよ、テンションがある程度平常値に戻ってからですね。(笑)

あれっ?
26日に「『日々の泡』に行きますね~」と書いていらして
もう読み終わったんですね!!!
やっぱり、四季さん、読むの早い。
多分、翻訳してしまうとわからなくなることば遊びが
相当、隠れてると思うんですよ。
きっとお金の単位である「ドゥブルゾン」も
何か意味があるんだと思うわ。
これはやはり原書で読まねばですよ。
私は当分、無理ですが…(^^;
永瀬正敏・ともさかりえ主演の映画「クロエ」が
これを原作としていて、相当、いいらしいです。
私も録画はしてあるのですが、まだ見てないの。
四季さんも機会があったら是非~。

LINさん、こんにちは。
いや、もう、一気に読んでしまいましたー。
読んでるうちに、ものすごく精神的に引きずられちゃって
しばらくもう戻って来れないかと思いました…(^^;。
でもいいですね、ヴィアン。他の作品もぜひ読んでみたいです。
あ、「ドゥブルゾン」は、解説にありましたよ。
今、手元に本がないので確認できないんですが
スペインの金貨で、確か元は「ドブロン」か「ダブロン」だったかと。
ほんと、原書で読んでみたいですよねえ。
Mlle.Cさんがフランス語を始めたきっかけが、
フランス文学を原書で読みたいという欲望からだったと仰ってたし
いつかはきっと…!
映画「クロエ」、picoさんとお話されてたアレですね。
あの時は何のことか良く分からなかったんですが、
この本を原作にしてたんですか!
永瀬正敏がコランで、ともさかりえがクロエかな?
ともさかりえがクロエっていうのは、結構イメージ湧くなあ。
どんな風に映画化したのか、すごく観てみたくなりますね。
レンタルにあるかどうか、今度探してみます!
ありがとうございます。

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