「ピポ王子」ピエール・グリパリ

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作家の「ピエールさん」が眠っている間にみたのは、とても美しいお話の夢。それは、ピポ王子の物語。跡継ぎの息子がいなくて悲しんでいた王さまは、王妃さまのアドバイスで、"水のほとりの大魔女"に相談しに行き、"新生児デパート"でピポという名前の赤んぼうを見つけます。王さまは、15歳になったら赤い小馬をあげるという約束で、ピポを自分の子供にするのですが...。

物語自体はいかにも子供向けの冒険ファンタジーで、例えばエルショーフの「せむしの小馬」のような雰囲気。でも「とても美しいお話の夢」の話から始まるせいか、まるで夢の中の出来事みたいです。夢の中で、見る見るうちに怪物が迫ってくるのに、身体が重くて思うように走れない時のような、自分が夢を見ているのが分っているのに、どうしても目を覚ますことができない時のような感覚。そして夢の中ってかなり唐突に場面が変わっても、夢を見ている本人は自然に受け入れてしまいますよね。それと同じような感じ。
「夢」が絡むことによって、普通の冒険物語がすごく重層的な構造になることにびっくり。なんだかとっても不思議な感覚の作品でした。これは何だったんだろう? どういう意味があったんだろう? と思う部分が多くて、一読しただけではつかみきれなかったんですけど、色々なモチーフにはそれぞれ深い意味が隠されていそうです。なんだかとっても気になる、後を引くタイプの作品でした。(ハヤカワ文庫FT)

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Commentaires(4)

はじめまして。
「ピポ王子」これ好きでした。話自体はよくあるようなおとぎ話なんだけど、語りというか構成が凝っていて、不思議な読後感でした。隠れた傑作だと思います。

kazuouさん、はじめまして!
「ピポ王子」、お好きでしたか~。わあ、嬉しい。
ほんと不思議な読後感で、後を引く作品ですよね。
まだ1回読んだだけですが、またいずれ読み返してみたいと思ってます。
kazuouさんのブログ、拝見させて頂きました。
翻訳小説が中心なのですね。
今、自分の中で翻訳小説の大きな波が来ているところなので、
ぜひ参考にさせて頂きたいです。
これから、どうぞよろしくお願いいたしますね♪

こちらこそよろしくお願いします。
ところで四季さんのページの書評の充実度は素晴らしいですね。
とくにハヤカワFTはマニアック(?)なタイトルが多くて、驚きました。僕もシリーズものは苦手なのですが、ダンセイニとかジャック・フィニィとかは大好きです。こちらで紹介されているものでは『クモの宮殿』とか『魔法がいっぱい!』『イシュタルの船』なんかもお気に入りです。
それでは、またお邪魔させていただきますね。

そんな、素晴らしいだなんて!
ありがとうございます。読み方が浅いのでお恥ずかしいのですが…
あ、でも、ハヤカワ文庫FTは、実は私の今年の課題図書なんです。
小学校の頃はファンタジーが大好きだったんですけど、それ以降はほとんど読んでなくて
久々にちょっと集中して読んでみようと思って少しずつ集めてたんです。
で、古い作品から順番に読み始めたので、マニアックなタイトルが並んだんだと思います。
しばらくこの状態が続くかも。(笑)
またぜひいらして下さいね。

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