「声の網」星新一

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メロンマンションと呼ばれるマンションに住む人々と、それらの住人たちにかかってくる無機質な話し方をする男からの電話の物語。12の連作短編集です。

御緩愚霊堂の蛙小僧さんのオススメ。星新一さんの本は中学の頃に結構読んだんですが、この作品は未読。
この作品が書かれたのは1973年なんだそうですが、それが信じられないほど、今読んでも全然古くなくて、もうびっくり。ここに描かれてる人々の生活は、完全にコンピューターに管理されてるんですよね。マンションの部屋には常に清浄な適温の空気が流れ、ドアにはインターフォンとテレビカメラが設置されており、窓には、内側から外は眺められるけれど、外からは薄く曇ったように見える特殊ガラスが嵌め込まれ、キッチンに設置された機械によって、カクテルも料理もワンタッチ。新聞はページ数が増え、雑誌は種類が増え、テレビはチャンネルが増えて、電話線利用のジュークボックスからは好みのBGMが流れます。それだけならまだしも、電話1本で病院も、銀行も、身上相談センターも、情報銀行も、利用可能。例えばお店を経営していたら、電話一本で売れ筋商品やそれらに適したレイアウトもアドバイスしてもらえるんです。
1973年といえば、コンピューターという言葉自体、それほど普及してなかったのでは? 自分とは関係ない世界だと思っていた人も多いはず。「2001年宇宙の旅」だって、公開されたのはこの作品よりも20年も後なんですよー。今のようなネットワーク社会になるなんて、その頃、誰が想像していたんでしょう。しかもこの作品の「声の網」という題名が、また凄いなって思っちゃう。網なんですよ、網。
今読んで違和感を感じたのって、「電話線利用のジュークボックス」という言葉ぐらい。でもこれだって、有線放送を思えば全然おかしくないわけで... 現在あまりに普通に存在してるので、先見の明だとは気づかないまま読み過ごしちゃう部分も多そうです。未来の世界を描いたSFはいくつもあるけれど、ここまで現実に即した未来を描けてる作品ってどれだけあるのでしょう?...と、作品の外側の設定だけでも十分驚かされちゃうんですが、もちろんそれが本題なわけではありません。それ以上のことを、既に星さんは30年以上前に見抜いてらしたんですね。ほんとすごいなあ。

無機質な話し方をする男性の正体は物語が進むにつれて徐々に分ってくることになるんですが、正体が分かる前も、分ってからも、この物語の根底に流れているのは、そこはかとない不安。ホラーというほどではないんですが、これって結構怖いんじゃ... 結構ドキドキしちゃいました。(角川文庫)

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Commentaires(4)

星先生は物凄いと思います。
ショートショートにあれだけの情報を詰め込める上、近未来をちゃんと予見されるという、リアルな想像を出来る方でした。
亡くなられた時はショックでしたね。

そうそう、この作品って少し怖かったです。もう内容は全然覚えていないのですが、読んだときのうすらさむい感覚だけは残っています。星作品て古くならないですね。
ところで上の花の写真きれいですね~。
これが森茉莉が「アネモオヌ」と呼んだアネモネかあとしげしげと見つめてしまいました。原種チューリップも形も色もきれいですね。花っていいなあ。僕も何か育てたくなりました。でもその前にトマトとキュウリとナスの苗を植えないといけないのでした。

>スティングレイさん
ほんと、亡くなられた時はショックでしたね。
あの頃はパソコン通信でしたけど、情報が駆け巡って、もうすごかったですもん。
未来のSFを書く人は沢山いても、こんな風にリアルな未来を書いてる人って少ないですよね。
それは作品を発表してから何十年も経たないと分からないことだけど…
改めて「星新一」の凄さを思い知らされたという感じです。

>kyokyomさん
おおー、オンラインですね!! (ぶんぶん←手を振ってる)

ほんと、薄ら寒いという言葉がぴったりですね、この作品は。
はっきりホラーとはされてないですけど、これは十分ホラーなんじゃ… と思いました。
むしろ今の現実を知って読んだ方が、リアルで怖いかもしれないですー。

お花の写真にも反応してくださって、ありがとうございます(^^)。
そうそう、アネモオヌです。お仏蘭西~♪
↓こんな花の方が一般的だと思います。
http://www.hana300.com/anemon.html
原種チューリップも、なかなか可愛いでしょう?(って私が言うな?)
お花、いいですよー。お世話に関してはほとんど何もしないダメダメな私ですが
それでも時期がくればちゃんと咲いてくれるんですよね。すごいです。

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