「自転車で月へ行った男」バーナード・フィッシュマン

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背が高く、濃い黒いひげを生やし、黒いべっこうの縁のメガネをかけているにも関わらず、自分がどんどん透明人間になっていくような気がしていたステファン。ニューヨークでも一流のグラフィック・デザイナーであり、一等地の豪華なアパートメントには美しい妻・ドロシーがおり、白い大きなグレート・ピレネー犬のサムと散歩をするのが日課。コネチカット州には農場もあり、愛車はアルファ・ロメオ、年に1度のヨーロッパ旅行が恒例。なのに、ステファンは何も感じないのです。45歳になったステファンに、ドロシーは10段変速ギアのついた自転車をプレゼント。それはステファンが時々欲しいと思っていたもの。でもステファンは上手く自転車に乗れず、結局ステファンはサムだけを連れてコネチカットの農場に移ることに。

人間は自分の心1つで、幸せにも不幸にもなれるもの。誰かに幸せにしてもらうという考え方もいいけど、基本的に幸せって自分自身でなるものだと私は思ってます。気持ちの持ちよう1つで、周囲の風景はまるで違った風に見えてくるし、いつでも新しい発見ができるはず。でもステファンみたいに何も感じなくなってしまったら、それはなかなか自分ではどうしようもないのかも...。まだまだ男盛りと言える年齢なのにすっかり無感動になってしまったのは、愛犬・サムの年老いていく姿の中に自分自身を見てしまったからなのかもしれません。いつかはサムが死んでしまうなんて信じられないステファンなのに、結局サムを看取ることになってしまうんですよね。そのせいか、偶然出会った若く美しいピアがいくら働きかけても、なかなか自分の殻から飛び出すことができなくて...。一旦飛び出してしまえば、そこには常にサムがいてくれると気づくことができるのだけど。
案外深いものを含んでいるアダルト・ファンタジー。夜空を自転車で駆ける中年男性というのも案外絵になるものだなあ、なんて思った物語でした。(ハヤカワ文庫FT)

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