「ラベンダー・ドラゴン」イーデン・フィルポッツ

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中世。初めての巡礼の旅のに出たジャスパー卿は、騎士としての勇気を試す機会にあまり恵まれないまま、その旅を終えようとしていましたが、沼地のポングリイの住民たちに、ドラゴン退治を依頼されます。この村では、数年前から何人もの村人がラベンダー・ドラゴンによって連れ去られて困っているというのです。連れ去られるのは、もっぱら未亡人や寡夫、そしてみなし児。話を聞いたジャスパー卿は、早速翌朝、ラベンダー・ドラゴンとの闘いに出向くことに。

「赤毛のレドメイン家」や「闇からの手」などのミステリ作品で有名なフィルポッツのファンタジー作品。でも日本ではミステリのイメージが強いんですけど、本国イギリスでは小説や詩・戯曲など250冊以上を書いていて英国文壇の最長老という存在だったんだそうです。
この物語に登場するドラゴンは、見た目にも美しく、行く先々にラベンダーの芳香が漂い、溢れんばかりの知識と教養の持ち主という、ちょっと珍しいタイプのドラゴン。そんなラベンダー・ドラゴンが村人たちを攫っていたのは、実は食べるためではなくて、ユートピアとも言えるような村を作るためだったんですよね。でも、前半、ジャスパー卿の視点で物語が進んでいる間は、中世の騎士の冒険物語で面白かったのに、ラベンダー・ドラゴンが中心となった途端、話が理屈っぽく教訓くさくなっちゃいました...。もしかしたら、当時の英国に対する政治的な批判だったのかしら。ラベンダー・ドラゴンの作った国は共産主義的な印象が強いです。しかもカリスマ的リーダーがいないと存続できないっていうところも、何ともはや。(ハヤカワ文庫FT)

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Commentaires(4)

こんばんはです。
フィルポッツさん、「レドメイン」など数点のミステリーは過去に読みました。
で、ご紹介のは初めて知ったのですが、ちょっと興味深いですね。
ラベンダードラゴン・・けっこう宗教者っぽいにおいがしたりします。現代日本では、こういうのは破壊的カルトと見なされやすいのかもしれませんが・・。

ドラゴンに連れ去られる人たちは、否応なしに連れて行かれるのでしょうか? それとも、ある程度了解して(それがドラゴンの騙しであっても)ついていくのでしょうか?

「ラベンダードラゴン」と聞くと、連鎖反応で「黒龍とお茶を」を思い出します。
これもハヤカワFTで、四季さん既に読まれてるかもしれないんですけど。
どちらもミステリの匂いがするファンタジーって所で頭に残ってるんでしょう。

>shosenさん
shosenさん、こんにちは~。宗教っぽいにおいですか!
あー、読んでる間は考えなかったんですけど、そう言われてみると確かにそうですね。
生活形態から共産主義と感じたんですが、宗教団体の生活だって、言ってみれば共有や平等が基本ですものね。

ドラゴンに連れ去られる人は、最初は否応なしに連れて行かれちゃいます。
でも、その村に到着してからは、皆それぞれに納得して、幸せに暮らすようになるというパターン。
そういう生活に馴染みやすいように、未亡人や寡夫、みなし児を選んで連れ去るというのが
また、分かるんですけど、納得しきれない部分でもあるんですよねえ…。

>スティングレイさん
「黒龍とお茶を」読みました! あれは可愛い話でしたね~。
龍が出てきてるのに、ファンタジーというよりはむしろ、ミステリかサスペンス。
あの龍の紳士が大好きでしたよ。主人公の女性とのコンビも楽しくて~。
あれ、続編もあるんですよね。日本語に訳されてはいないようですが…。

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