「赤い天幕」アニータ・ディアマント

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双子の兄・エサウからは長子としての権利を、そして目が見えなくなった父イサクの祝福までをも奪ったヤコブは、エサウの憎しみから逃れるため、北のハランの地にいる母の兄・ラバンのもとへ。そこでヤコブは美しいラケルに出会い、ラバンの4人の娘たちを妻とすることになります。4人の妻から元気な子供が13人育ち、ヤコブの家は繁栄するのですが...

旧約聖書の創世記に登場するエサウやヤコブ、そしてその妻や子供たちの物語。聖書でいえば、創世記の29章から最後の50章までですね。物語の語り手となるのは、ヤコブの唯一の娘・ディナ。
創世記のエサウやヤコブの物語や、息子のヨセフとエジプトの王・パロの物語は有名だし、何度も読んだことがあるんですが(読んでるとは言っても、信仰の対象としてではなくて、単に読み物としてですが)、ディナに関してはほとんど何も知らなかったし、印象にも全く残ってなかったんですよね。まあ、改めて聖書を開いてみても、ヤコブからヨセフまでの記述は40ページ弱あるのに、ディナに関する記述といえば、ほんの数行。これは覚えてないのも無理はないかな、とは思うんですが、聖書の記述は元々男性中心なので、これでも女性としては十分書かれてる方かもしれません。そしてその「ほんの数行」を元に書き上げられたのが、この「赤い天幕」。あの数行から、1人の女性の生き様が、これだけ生き生きとした物語として再現されてしまうとは... 娘として、妻として、母として生きたディナの波乱万丈な人生が、この数行からこれほど見事に力強く浮き上がってくるなんて、ほんとびっくりです。読み始めた途端に、すっかり引き込まれてしまいました。面白かったです~。
ちなみに題名の「赤い天幕」というのは、女性たちが出産や月の障りの時を過ごす、「女性」を象徴するような場所。まだ大人になっていない少女が、早く大人になりたいと憧憬を持って眺める場所でもあります。もちろん住んでいる場所や民族、信仰する神によって違うので、そういうしきたりを持たない人々もいるんですが、でもだからこそ、ディナにとって、自分の家族を象徴し、自分のルーツを辿るような、大きな意味合いを持つ場所なんじゃないかと思うんですよね。さらにディナは、産婆をしていた叔母のラケルについて、多くの女性たちの出産の介助をすることになるので、物語の中では、「生」や「死」についても繰り返し描かれることになります。数知れない女たちの出産場面と、生命の誕生の力強さ、そして常に存在する死への不安...。いやー、良かったです。やっぱりハヤカワepi文庫は好きだなー。これで丁度20冊目です。(ハヤカワepi文庫)

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