「空ばかり見ていた」吉田篤弘

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小学校の頃に父親と行っていた床屋にいたのはホクトさん。高校を出ると理容学校に通い、研修のためにフランスへ。たまたま出会った高名なパントマイミストの舞台に魅せられて弟子入りしてしまうものの、父親が急逝してホクト理容室を継ぐことになったというホクトさん。しかし色んな人の髪を切ってみたいという思いから、じきに床屋を閉じて、放浪の旅に出てしまいます。

流しの床屋・ホクトさんを中心にした12の短編集。店を閉じていなくなってしまった後も、他の物語に、流しの床屋として髪を切っているホクトさんの姿が垣間見えます。でも最初は普通の街の床屋さんとして登場していたホクトさんは、いつの間にか外国の街角にも姿を現すようになり、「ある小さな床屋の冒険」という映画になったり、トナカイの肉と引き換えに見知らぬ男の髪を切った「ノア」になっていたり。繋がっているようで繋がっていないようなこの雰囲気は、吉田篤弘さんならではですねー。
でも確かに床屋さんは、鋏1つあればどこででも商売ができますけど... でも、ずいぶん前に読んだスパイ小説で、床屋には町の噂話が集まりやすいから情報収集に便利、というのがあったのが頭の片隅に残っていたせいか(笑)、流しの床屋というのはとても意外でした。商売道具の鋏の入った鞄を持って旅をするホクトさんの姿はとても想像しやすいんですけどね。でも髪を切ってる場面よりも、鞄を持って去っていく後ろ姿が浮かぶのはなぜかしら。...もしかしたら、この装幀の青い空の色のせいかしら。北斗七星と鋏をあしらったこの装幀がとても美しいです。晴れた空、雨の空、夜の星空など沢山の空が登場しますけど、この物語にはこの色がぴったりですね。(文藝春秋)


+既読の吉田篤弘作品の感想+
「百鼠」吉田篤弘
「78」「十字路のあるところ」吉田篤弘
「という、はなし」吉田篤弘
「空ばかり見ていた」吉田篤弘
「それからはスープのことばかり考えて暮らした」吉田篤弘
「小さな男*静かな声」吉田篤弘
Livreに「フィンガーボウルの話のつづき」「つむじ風食堂の夜」「針がとぶ」の感想があります)

+既読のクラフト・エヴィング商會の感想+
「アナ・トレントの鞄」クラフト・エヴィング商會
「犬」「猫」クラフト・エヴィング商會プレゼンツ
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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Commentaires(2)

四季さん、こんにちは。
この本は装丁が気に入って手に取りました。
吉田さんの作品は初めて読んだのですが、こういった
つかみ所のないストーリーが特徴なのでしょうか・・・?
床屋さん、確かに町中の噂が集まる場所のような気がします。

tamayuraxxさん、こんにちは。
ほんと素敵な装幀ですよね。色がとっても綺麗。
吉田篤弘さんの本は、そうですね、場面場面のスケッチって感じが結構あって
この本は、その中でも取りとめのなさが強かったかも。
その情景がまた素敵なのだけど~。

吉田篤弘さんだと、「百鼠」が一番好きです♪
あと、吉田篤弘さんと吉田浩美さんのユニット、クラフト・エヴィング商會もオススメ。
「どこかにいってしまったものたち」とか「クラウド・コレクタ-」とか
一度ぜひ手に取ってみてください~。

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