「氷の城の乙女」上下 フィリス・アイゼンシュタイン

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フェルダー・セプウィンがクレイ・オルモルの助けを借りて作り上げたのは、人の心の望みを映し出す鏡。しかし覗いた人々の望みは映るのに、クレイが覗いてもそこには何も映らなかったのです。そして数年後、再びクレイが鏡を覗くと、そこには1人の少女の姿が。

3月に読んだ「妖魔の騎士」の続編。(感想) 初期のハヤカワ文庫FTには対象年齢が低めの作品が多くて時々うんざりするんですけど、それだけに「妖魔の騎士」みたいな作品に出会えた時は嬉しくなっちゃいます。そしてこの続編、期待しすぎてがっかりするのが怖くて、なかなか手に取れなかったんですけど、ようやく読めました♪
結論からいえば、小さな不満は色々とあったものの、面白かったです! やっぱりこの世界も登場人物たちも好き~。「妖魔の騎士」とどちらが好きかと聞かれれば、やっぱり「妖魔の騎士」なんですけどね。前回同様、織物の魔法使い・デリヴェヴや炎の妖魔・ギルドラム、風の妖魔・エルルレットといった面々が再登場してくれて、嬉しい限り。

そして今回は、氷の世界の城に住むアライザという少女の物語です。氷の魔界にある広大な城に1人ぼっちで住み、日々魔法の修行に励む少女。一緒にいるのは氷の妖魔だけ。ただ1人の血縁の祖父は1年に1度訪ねてくるんですが、それは修行の進み具合をチェックするためだけ。そんな風に、外の世界との接触が全くないアライザを訪ねて来たのが、主人公のクレイなんですが...
クレイがちょっと鬱陶しいと聞いてたんですけど、うーん、確かに。アライザは終始、今は修行のことで頭がいっぱいだし、それの妨げになるような知識は要らないからこのままにしておいてくれって言うんですけど、クレイは無理やりアライザを外の世界に連れ出すんです。まあ、それはそれでいいんですけど... それはアライザが好きになってしまったからとかではなくて、憐れみの感情からなんですよね。そりゃアライザのこの状態は不健康だし、外のことを何も知らないというのも問題があるでしょうけど、アンタは一体何様よ? むしろ鏡に映ったアライザに一目惚れしてしまったから、という方が、展開として無理がなかったんじゃ...? しかもこのクレイ、周囲の個性に完全に負けてます。考えてみれば、前作でもデリヴェヴやレジーク、ギルドラムといった面々が物語を引っ張っていっていて、クレイはただの進行役だったような...。
しかも考えてみればアライザの状態って、かつてのデリヴェヴと一緒。デリヴェヴだって閉鎖的だったけど、自然と外界に目が開かれていくことになったのだし、こういうことって自分から気づくことが大切なんじゃ...? 結局クレイはアライザのお祖父さんと似たようなことをやってるとも言えるわけで... 悪気がなければいいってものじゃないわよーっ。

まあ、そういった部分にはちょっと首をかしげてしまったんですけど(結構多いな)、でも全体的には面白かったです。魔界の描写や、氷の魔界にあるお城の情景も素敵だったし、妖魔たちも魅力たっぷり。ギルドラム、やっぱりいいわあ。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のフィリス・アイゼンシュタイン作品の感想+
「妖魔の騎士」上下 フィリス・アイゼンシュタイン
「氷の城の乙女」上下 フィリス・アイゼンシュタイン

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氷の城の乙女(上下)/フィリス・アイゼンシュタイン 早川書房 クレイが見者となった親友セプウィンと共に作ったのは見る者の望みを映す鏡。 しかし、鏡はク... » Lire la suite

Commentaires(2)

四季様。TBさせていただきました。
そうなんですよね?。あんた一体何様とは…私も思いました。
だいたいストーカーとかわらないんだから…とも(笑)
それでも確かに一目惚れという動機だったら、これほどうっとおしくは感じなかったかもしれませんね。
クレイにとっての正論を押し付けられるという点が一番気になった所でしたもの。

TBありがとうございます~。
やっぱりクレイがネックですよね。…って、仮にも主人公なのに…(笑)
でも、これでもし一目惚れだったら、まあありがちなパターンなんですけど
それはそれで、すっきりと収まると思うんです。
「ありがち」を避けたばかりに、説得力が薄まってしまったような気が。
あれじゃあ、親切の押し売り、ただのお節介野郎ですよねえ。
…って、ほんと仮にも主人公なのに、そんなことまで言われて可哀想に…。(笑)

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