「おとなしいアメリカ人」グレアム・グリーン

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強国がひしめくインドシナ戦争下のサイゴン。アメリカ経済使節団で働いている青年・パイルが訪ねて来るのを待っていたイギリス人記者のファウラーは、フランス警察によってパイルの水死体が見つかったことを知らされます。ファウラーとパイルはかつてベトナム娘のフォンを争い、結局ファウラーがパイルに負けたという間柄。しかし尊大で騒々しくて子供っぽいアメリカ人記者たちとは違う、謙虚で生真面目、理想に燃えたパイルに、ファウラーは好感を抱いていたのです。

「第三の男」(感想)以来のグレアム・グリーンの作品。「第三の男」も私にはちょっと読みづらかったんですが、これはそれ以上に読みづらかったです...。全然ダメというわけではなくて、面白い部分と詰まらない部分が混在してる感じなんですが、グレアム・グリーン、もしかしたら苦手なのかもしれない...。ハヤカワepi文庫の読破を目論んでる私ですが、あと6冊残っていて、そのうちグレアム・グリーンの本が4冊も控えてるんですよねえ。大丈夫かしら。(そんなことを言いながら、全部読んだ頃には大ファンになってたりして・笑)

ええと、どんな理由があっても、それがたとえ正義であっても、人を殺す免罪符には決してならないはずなんですが、それでもやっぱりアメリカは正義を掲げて他国同士の争いに介入し続けてますね。この作品は1955年に書かれているので、ベトナム戦争(1965-1970)すら起きていない頃だというのが驚きなんですが、古さなんて感じないどころか、むしろ今の時代に読んだ方が伝わってきそうな作品です。もちろんアメリカにも戦争反対の人は沢山いるでしょうし、実際に戦闘に参加する時は割り切らないとやってられないって人も多いんでしょうけど... 実は一番タチが悪いのは、パイルのような理想に燃える男なのかも、なんて思ったり。ある東亜問題専門家の本に傾倒しているパイルは、自らの意思で正義を行っていると信じてるんですけど、多分、実際のところは、上の人間にその本を渡されて、巧妙に操作されてるだけなんですよね。知らない間に自分の意思が刷りかえられてる。そしてそんなパイルを微調整するだけで、上の人間は自分たちの手を汚さずに済むわけで... パイルの無邪気さが哀しいぞ。
...なんて書いてますが、そっち方面には圧倒的に知識不足な私のことなので、全くの的外れかもしれません。(あらら) でも、それもまた1つのからくりなんだろうな、とそういう作品でした。(ハヤカワepi文庫)


+既読のグレアム・グリーン作品の感想+
「第三の男」グレアム・グリーン
「おとなしいアメリカ人」グレアム・グリーン
「負けた者がみな貰う」グレアム・グリーン
「権力と栄光」グレアム・グリーン
「事件の核心」「二十一の短篇」グレアム・グリーン
「ブライトン・ロック」グレアム・グリーン
「ヒューマン・ファクター」グレアム・グリーン

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