「夢のある部屋」澁澤龍彦

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1960年代後半から1980年代初めまで、女性誌「ミセス」を始めとして、様々な雑誌やPR誌に書かれてきた文章を1冊にまとめたもの。

読んでみると、他の作品とはちょっと雰囲気が違っていてちょっとびっくり。いつも感じるような圧倒的な博識ぶりはあまり感じられなくて、もっと澁澤氏が身近に感じられるような気軽なエッセイでした。やっぱり女性誌に執筆ということで、書き方も少し砕けていたんでしょうか。そして更にびっくりしたのが、全然古さを感じさせないこと。執筆されてから50年も経とうかという文章もあるんですけど、今読んでも全然違和感がないんですよね。日常についての話が中心となっているので、もちろん時代を感じさせる部分もあるんですが、それを考えてもほとんど、全くと言っていいほどです。
この本は、元々は「夢のある部屋」の部分だけが単行本として刊行されてたところに、編集部が関連のあるエッセイを選んで、「夢のある風景」という章として付け加えたようです。普段なら内容がカブってるのはあまり好きじゃないんですが、この本に関しては、ほとんど気になりませんでした。(妙に貞操帯の話が多いけど...) むしろ「夢のある部屋」の「鏡の魔法」という章に掲載されている写真の凸面鏡の来歴が、「夢のある風景」の「横浜で見つけた鏡」の章で語られていたりするのが楽しいです。そしてエッセイの中で愛蔵品の数々が紹介されていくのですが、ここに写真も収録されているのが嬉しいところ。居間に置かれた古い時計や愛蔵のガラス器、サド侯爵も部屋に飾っていたという髑髏(しゃれこうべ)、四谷シモン作の球体関節人形などなど。表紙の画像も、澁澤氏の部屋の写真です。

河出文庫の澁澤作品は以前から少しずつ集めてるんですが、最近河出文庫の装幀が変わってしまいましたよね。この「夢のある部屋」は古い方の装幀なんですけど、私の手元にも、既に新しい装幀の本が何冊かあります。これじゃあ、並べた時に気になっちゃう。もっと早く買い揃えておけば良かった。でも、どうやらずっと入手できない状態だった作品も新装版で再版され始めてるようで嬉しいです~。「胡桃の中の世界」も、ぜひとも再版して欲しいなあ。(河出文庫)


+既読の澁澤龍彦作品の感想+
「私のプリニウス」澁澤龍彦
「異端の肖像」澁澤龍彦
「夢のある部屋」澁澤龍彦
「澁澤龍彦初期小説集」澁澤龍彦
「夢のかたち」「オブジェを求めて」「天使から怪物まで」澁澤龍彦
「高丘親王航海記」澁澤龍彦
「東西不思議物語」澁澤龍彦
Livreに「世界悪女物語」「幻想博物誌」「夢の宇宙誌」「フローラ逍遥」の感想があります)

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Commentaires(8)

『夢のある部屋』は未読なんですが、澁澤龍彦の本は好きで随分読んでいます。やっぱり初期の硬質な評論よりは、晩年の軽妙なエッセイの方がいいですね。その点この本は読みやすそうで、気になります。
表紙の写真といえば、以前、雑誌『太陽』で、澁澤龍彦の部屋が紹介されてたことがあって、抱いていたイメージ通りの部屋なのでびっくりしました。
『胡桃の中の世界』も、わりと硬質な内容ですけど、予備知識がなくても読めるので、オススメです。

kazuouさんもお好きなんですね。
この本は、ほんと読みやすかったですよー。
こんなに読みやすくていいのかしらと思ってしまうほど、さくさく読めました。
もう少し手ごたえがあってもいいかな、と思うぐらい。(笑)
へええ、思い描いていた通りの部屋だったなんて、それは嬉しいですね。
私は、もう少しモノが少ない部屋を想像してました。いや、微妙に、ですけど。(^^ゞ

「胡桃の中の世界」、読みたいです!!

河出文庫の新しい装丁、下品ですよねー。
変わるという噂が出た頃、河出に「変えないでくれ」って
すぐメールしたんですけど、無視されました(;´Д`)
いっそ、中古で揃えるとか!?
最近、『高丘親王航海記』を読んで、とてもよかったので
澁澤さんの他の作品も読みたいなあと思っていたところです。
これ、いいですね。
ところで、澁澤さんを極めたいと思うと
それだけで膨大な量になるでしょう?
また別のテーマが気になると、これまた膨大な量になる。
読書を趣味にして3年目、最近、あまりに本の世界が広すぎて
どっちに手を出していいのか、本の森のまんなかで
呆然と立ち尽くしている状態です。
四季さんはそういうことってないですか?

LINさん、こんにちはー。
えっ、河出にメールしたんですか。すごい!
私は変わるという噂も知らなかったです…。(情報にはほんと疎いです)
今度の装幀は、まるで講談社文庫みたいですよね。
うん、いっそ中古で揃える方がいいや、と思ってます。
これから出る本は仕方ないですけど、やっぱりなんかイヤー。

「高丘親王航海記」、相変わらず書店にないので、ネットで注文しちゃいました。
届くのが楽しみ! 今、澁澤さんを固め読みしたい気分になってるんです。
でも、一旦澁澤さんを読み始めると、他の人の本を手に取りたくなくなるのに
こんな時に限って、図書館からいっぱい借りちゃってて、タイミングが悪い私(^^;。
あ、この本もいいんですけど、ちょっと物足りない部分もあるんですよね。(ひそひそ)
私が読んだ中では、「幻想博物誌」「フローラ逍遥」が良かったですよ。大好き。
…って、この2冊、私の幻想好き・花好きが思いっきり出てますね。(笑)

本の森のまんなかで呆然と立ち尽くすの、すごく良く分かります。
少し前に中国物にハマってた時は、えいやっと片っぱしから読んじゃったんですが
普通はそんな無茶しないですよねえ。今後はもっと厳選します。(笑)
でも、LINさんが最近読まれてる古代史関係も、ほんと樹海状態でしょうし
澁澤さんみたいに幅広く深い知識を持ってる人を極めようと思ったら、それも大変。
これからその森がどれだけ広がっていくか、考えただけでもクラクラします。
森を歩いてるうちに、気がついたら違う森に入り込んでいたりして。(笑)
まずはあまりわき見をしないで、まっすぐいこうと思ってるんですが、どうなることやら…
でも、道に迷うのも、また楽しいですよね♪

はじめまして。
僕も河出文庫の装丁変更に踊らされました。
最近までの装丁で20冊弱、澁澤コレクションを読んでいましたが・・・
「えー背表紙黄色???」
そこで意を決して集め始めました。
自分で行ける範囲のヴィレッジヴァンガード等を虱潰しに探し、買いまくりました。
最終的にはどうしても3冊見つからずネット古書店頼み。
昨日最後の「黄金時代」が届き、1~44まで揃いました。
古書は3冊だけ、我ながらよく頑張ったと思います。
他人からみたら無駄な努力ですよね。
でもここの皆さんには少しはわかってもらえるかな?
やはり背表紙が揃ってると気持ちいいですから。
つーか黄色はないよ、黄色は・・・
さて、これからは読みまくらなければ・・・
当分本の森から出られそうにありません。
ちなみに「胡桃の中の世界」、ちょうど今読んでます。

かめきちさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
1から44まで、全部前の装幀のものを集められたんですか!
しかもそのうち古書は3冊だけだなんて、凄いですねー。
私はスタートダッシュが遅いし、そこまでは新品で集められないと思います…
今ようやく20冊ちょっとなんですもん。
でも、前のあの装幀の中に黄色の本が何冊か紛れ込んで本棚に並ぶなんて、
やっぱり許せないですよねえ。
他人からみたら無駄な努力なのかもしれませんが(笑)、気持ちはよーくよーく分かります。
遅ればせながら、私もかめきちさんを見習って頑張りたいと思います。
さてあと20冊、どれだけ見つかるんでしょう。
かなりネット古書店のお世話になってしまいそうな予感ですが
やっぱりあの装幀で44冊並べたいなあ。頑張ります!

こんばんは、四季さん。
遅すぎることはないと思いますよ。
ナニを隠そう、僕も4月までは20冊ちょっとでしたから・・・
2,3冊ずつ買っては読み、読み終えるとまた買うみたいな感じだったんですが
ある日、書店の棚に黄色い背表紙が目立ってきたことに気付きました。
それでも初めはちょっと買うペースを上げるくらいのつもりでした。
でもGWに書店を回ると、既に「探してもない」ものが・・・
後はもう、休みの日は書店めぐり、この一月半で延べ50軒くらい。
リアルな古書店も回りましたが意外な盲点、「古書は初版が多い」
古いものの初版は背表紙のデザインがまた違いますもんねー
結局古書3冊はいずれもネット通販でした。
しかも問い合わせ時に背表紙のデザインを尋ねる怪行動・・・
ちなみに3冊は「思考の紋章学」「黄金時代」「記憶の遠近法」です。
おっと、興奮しての長文、申し訳ありません。
身近の誰に話しても反応ゼロだったもんで・・・
河出にメールまでした強者がいらっしゃるのを見て、つい興奮してしまいました。
四季さんも、もし集められるつもりなら頑張ってください。
僕の見た感じでは、今まさにラストチャンスって感じです。
大きな書店では結構新デザインが増えてきてますから・・・
でも本当は、背表紙が何色でも中身の素晴らしさは変わらないんですけどね。

かめきちさん、おはようございます。
おー、ラストチャンスですか!
そっかあ、かめきちさんはGW頃から集め始めたんですか。
1ヶ月半の違いなんですね。
とは言っても、その1ヶ月半の遅れがすごく痛い気もするんですけど…
今ならまだ手に入るものも確実にあるはずなので、頑張ります!
いくつか目をつけてる書店もあるんです♪
あ、そうなんですよね、もっと古いものはさらに背表紙が違うんですよね…
実は元々持ってる本の中には、古い装幀のものも…
集めたいと思ってる装幀よりも、さらに古い2パターンが混ざってて…(^^;。
これもできれば、この間までの装幀で統一してしまいたいですね。
4種類混ざっちゃうなんて、勘弁して欲しいですよー。
それでも古いデザインは、黄色い背表紙に比べればまだ違和感がないんですが。
って、確かに装幀で中身の素晴らしさが変わるわけじゃないのにね。
でもでも、気になりますよね~。(笑)

河出にメールして、在庫がないか聞いてみようかしら?
一般書店の本から戻ってきた委託本が、結構ありそうですよね。
そういうメールは受け付けてもらえないかしらー。(笑)

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