「アラビアン・ナイトメア」ロバート・アーウィン

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空猫の図書室の空猫さんが、前回のたらいまわし「五感で感じる文学」の時に挙げてらした本。(記事
本の裏表紙の紹介を見ると

15世紀のカイロ。奇怪な悪夢病が蔓延し、さまざまな陰謀が渦巻くこの都市に
到着したイギリス人の若者バリアン。
巡礼団の一員としてこの地を訪れた彼は、もうひとつの重大な任務を担っていたが...。
謎のイギリス人ヴェイン、眠りの館を支配する<猫の父>、娼婦ズレイカ、
そしてカイロ一の語り部ヨル。千一夜物語の世界を舞台に、
夢と現実が錯綜するミステリアスな迷宮小説。

と、あります。まさにその通り。普段なら、なんとか自分であらすじを書くんですけど、私にはこれ以上の紹介はできませんー。
題名の「アラビアン・ナイトメア」とは、奇妙な悪夢に悩まされ、その無限の苦痛に消耗させられ、しかし目覚めた時にはその夢のことを何も覚えていないという奇病。何も覚えていないため、自分がその病にかかっていることすら分からないのです。しかしその病は知らないうちに確実に伝染し、拡がっていきます。

「五感の文学」で挙げられていたのも納得の作品。読んでいる自分まで、ねっとりするようなカイロの熱気に包まれたような気がしてくるような作品でした。それも昼ではなくて夜のカイロ。昼の熱がそこかしこに残っていて、そこから昼間の残滓がもわーっと立ち上がってくるような、そんな雰囲気。
怪しくいかがわしい登場人物たちが入れ替わり立ち代り登場し、本筋の物語にいくつもの物語が挿入された、まさに「迷宮小説」。複雑な入れ子構造になっていて、読んでいるうちにどこからどこまでが現実で、どこからが夢なのかが分からなくなってしまいます。これはまさに悪夢の世界かも...。途中でよく分からなくなって一旦最初に戻って読み返していたんですけど、終盤また混乱してしまいました。明日がこの本の返却期限なので、それまでになんとかもう一度終盤を読み返してみなくっちゃ。(本当はあと2~3回、じっくり読みたい!) 全体的に散漫な印象もあるんですけど、それもまた千夜一夜物語の世界といった感じなのかもしれないですね。作者のロバート・アーウィンは、中世アラブ史の研究家でもあるのだそうです。道理でねえ。デイヴィッド・ロバーツの挿絵も雰囲気たっぷりです。 (国書刊行会)

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Commentaires(2)

眠りながら本を読むと、夢の内容と本の内容が区別がつかなくなって、気持ちいい…というような話から始まるのが、この本でしたっけ。
この本を読んでた頃、九十九夜をよく書いていたので、自分が書いたのかこの本の書かれていたのかわかんなくなってるエピソードもあります(;・∀・)

夢と本の内容がごっちゃになるだけじゃなく、現実も本の一部になってしまう。
それが千夜一夜の世界観。
世界観じゃなくて、アラビアンナイトは世界より大きく、すべてはすでにそこに書かれていて、ここは本の中。

アーウィンは学者が本業ですが、小説もここ数年、また出しているようです。翻訳はまだないですが。
911以降の世界でアラブ学者であることは、なかなか微妙な位置なんじゃないでしょうか。
小説に書いたことと似た状況に、アーウィンは現実世界で今、置かれていたりするかも。
誰もアラビアンナイトの外に出ることはできないのです。。

overQさん、こんにちは。
>眠りながら本を読むと、夢の内容と本の内容が区別がつかなくなって…
あれ、違いますよー。
始まりは通訳が引き連れた一行がカイロに入るシーンからです。
一行の1人が連行される時に落としていった本を主人公が読もうとするんですけど
全然ワケが分からないーって放り出しちゃいます。あまり気持ちよくなさそうです。(笑)
そのエピソードはoverQさんの九十九夜ではないでしょうか。(笑)

アラビアンナイトのシェエラザードの語りもそうなんですが
こういうファンタジーって、まるでたまねぎみたいですね。剥いても剥いても、皮がある。(笑)
しかも気がついたら、中身の方が外側よりも大きくなってるんですものね。
そりゃ、もう逃げられるわけがないですよねえ。
てか、一度囚われたら、もう逃げ出したくなくなるかも。
阿片窟の中に日がな一日入り浸ってるように… って、行ったことないですけど。(笑)

911以降。どうなんでしょうね。
今頃、自分の作品の中を彷徨っているかもしれません…
他の小説も読んでみたいです。翻訳されるといいなー。
ぜひみんなで、彷徨ってるアーウィンを探し出しましょう。(違)

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