「迷宮レストラン」河合真理

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副題は「クレオパトラから樋口一葉まで」。1回に1人ずつ古今東西の有名人をお招きして、その方のためだけにお料理を作るというもの。NHKの「今日の料理」のテキストに連載されていた記事が1冊の本にまとめられたものです。
ここのレストランに招かれているのは、クレオパトラ7世、サンタクロース、聖徳太子、玄奘三蔵、シンドバッド、源義経、チンギス・ハーン、ドラキュラ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、山内一豊の妻・千代、シェイクスピア、ヨハン・セバスチアン・バッハ、コロンブス、ナポレオン1世、河童の河太郎、アンデルセン、チャールズ・ダーウィン、ファーブル、トルストイ、ジェロニモ、近藤勇、アントニ・ガウディ、シュバイツァー、樋口一葉、南方熊楠という総勢25人。

これはsa-ki さんに教えて頂いた本。たらいまわし企画・第24回「五感で感じる文学」です。レシピは、実際にあったものを採用している場合もあるけれど、ほとんどがシェフである河合真理さんの考案だとのこと。できるだけそれぞれの人物の時代や土地にあったと思われる食材や調理器具を使い、お料理を作り上げていったのだそうです。まず、その回お招きする方についての紹介があり、次にシェフによるメニュー説明、お料理の写真、そして実際のレシピ、という構成。普段は、直接料理の写真を見てしまうよりも、文字からの情報として入ってきた方が、「美味しそう~」となる私なんですが、この本はとっても美味しそうでした! それぞれの人物に合わせて作ったお料理そのものももちろんなんですが、写真のためのコーディネートがまた凝ってるんですよね。鮮やかでとっても綺麗。それぞれのお客さまにぴったり~。
美味しそうな料理がいっぱいある中で一番気になったのは、シンドバッドのためのメニューのデザートで出される「ココナッツとフルーツの宝石見立て」。ココナッツを大粒の真珠に、果物をルビーなどの宝石に見立てて、輝くデザートを作ったというもの。これは作りが単純なせいかレシピが載ってなかったんですが、このキラキラの部分は一体何なのかしら! とっても綺麗。そしてびっくりしたのが、トルストイのためのメニューでメインディッシュとして出される「イラクサのシチュー」。グリム童話や何かでしょっちゅう登場して主人公を泣かせてるイラクサは、なんと食べられる植物だったんですか! 今はもうすっかり採る人が減ってしまったそうですが、以前は日本でも山菜として新芽を食べていたのだそうです。ますますびっくり。そして採る人が減ったのは、やはりその棘のせいなのだそう。「刺さるといつまでもチクチクと痛み、細くて抜きにくい」だなんて、やっぱり痛そう... 童話でイラクサを紡いでる場面、結構ありますよね。さぞかし手が腫れ上がったに違いない... このイラクサのシチューは、実際にトルストイの若い頃の食事の記述の中に登場するのだそうです。
実際に自分で作ってみようとは思わないけど(ダメダメ)、誰かが作ってくれるならぜひ食べてみたい... って、それはあまりに虫が良すぎますね。でも自分もぜひ招いて欲しくなってしまう、そんな素敵なレストランでした。(NHK出版)

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河合 真理 「迷宮レストラン―クレオパトラから樋口一葉まで 」 NHK出版 「宮沢賢治のレストラン 」のことを書いたときに、「Ciel Bl... » Lire la suite

Commentaires(7)

四季っちこんにちは~(^^)
TBありがとうございました。
昔の料理ってもっと色味が少なくて
茶色っぽいものばかりだとずっと思い込んでいたのです。
でも、この本と出会って、カラフルな料理を
作れてたんだと分かったことは、びっくり&新鮮でした。
実は私が一番気になった料理も
「ココナッツとフルーツの宝石見立て」なんですよ!
同じものが気になるなんて嬉しいなぁ♪
ほんとに、あの琥珀色のキラキラは、何のゼリーなんでしょうね?
これくらいなら私も作れそうだと思ってたのに、
レシピが載ってないなんて~。
ここ3年の大河の主人公が取り上げられてるところは、さすがNHK(笑)

この本は、すごいです。

私もsa-kiさんのたら本記事で教えていただいて読んでみたんですが、
これはかなり驚くべき料理本。

ふたつの点ですごいと思いましたヽ(´ー`)ノ

まず、河合真理さんの文学通ぶり。参考文献がすごい(笑)
いままで文学関係の著書がないのがもったいないくらい、たいへんな本格派です。
ヘンリー・ジェイムズがお好きなよう。
近代小説よりももうちょっと広い守備範囲を感じる。

ふたつ目は、料理のオリエンタルなこと。
文学の趣味が、近代小説=近代ヨーロッパよりも広いことと結びついてると思いました。
古代のユーラシア的な文学と、料理の守備範囲が一致している。
料理のレシピって、たぶんほとんどがオリエント起源で、中華とイタリア料理さえ、よく似ていると言われます。漢とローマ。
その時代のシルクロードな交流を、そこはかとなく、再現してしまっている。
それはすごいことです。

あまりにオリエンタルなレシピで、一部、素材の入手が難しいのが、この本の難点でしょうか。
食べてみたいけど、家で作るのは、なかなか難しそうなのも多いです(;・∀・)

この本については、記事を書きたいと思っています。
sa-kiさん、いい本、教えてくださって、ありがとう。
たら本24のとき、コメントしようと思ってたのですが、記事を書いてからと思ってるうち、すっかり機を逃してしまいました(;・∀・)
記事が書けたら、またトラックバックしますね☆
…と四季さんの記事を使って連絡する私であった(申し訳ございません)。

overQさん、お久しぶりです。
たら本24の時は、私のほうこそコメントせずにごめんなさい。
長いことネット落ちしてたせいで、あの時は
まだ書き込む気力が復活してなくて・・・ごにょごにょごにょ。
でも、この本をお気に召されたようで嬉しいです(^^)
私も参考文献の多さには圧倒されました。
一つのレシピを作るのに、どれだけの労力を費やしたことか。
想像しただけで眩暈がしそうです。
overQさんの記事、楽しみにしてますね。

>sa-kiっち
こちらこそ、素敵な本を教えて頂いて、ありがとうございました!
普通の料理本にはほとんどそそられない私も、これには夢中になりましたよ。
本当に色彩がすっごく綺麗ですね~。
うんうん、昔の料理はもっと色彩に乏しいイメージがありましたよ、私も。
お料理自体にも、もっと素朴なイメージを持ってましたし。
昔の方が、1つ1つの素材の味や香りが濃厚だったんじゃないかと思うので
お料理自体は、きっととても美味しかったんだろうなとは思ってたんですが…
実際にはかなり凝ってたみたいですね。食の文化って素晴らしいです~。

わあ、sa-kiっちも気になってらっしゃいましたか!>ココナッツとフルーツの宝石見立て
あの琥珀色のキラキラ、気になりますよねえ。ほんと綺麗。
実際に金箔を混ぜたのかしら、なんて思ったりもしたんですけど
そうしてらしたら、きっとそれについても書かれてるでしょうし… レシピが知りたいです。
そうそう、NHKの大河の主人公が取り上げられてるのは、可笑しかったですね。
そうでなければ、山内一豊の妻なんて… ほんとさすがNHKです。(笑)

>overQさん
わあ、overQさんも読まれていたんですね。
本当にすごいですねえ、この本。
河合真理さんがどんな方なのか存じ上げないので
(本当にNHKの「今日の料理」という知識しかなくて)
参考文献を見た時、てっきり元は文学畑の方かと思いました…
でも検索してみても、お料理関係の本しか出してらっしゃらないんですね。
そのことが、逆にびっくりでした。
これからは、そういうお仕事もされるかもしれないですね。
レシピを作るためだけの、通り一遍の調べ方ではない感じですもん。

へええ、スパイスだけでなく、お料理もシルクロードを旅したのですね。
中華とイタリア料理がよく似てると言われてるなんて、全然知りませんでした。
その辺りの交流まで、そこはかとなく再現してしまってるなんて
それはますますすごい!
…私はそういう読み方をしてなかったので
overQさんさんのコメントで目からウロコ。さすがです~。

私もsa-kiっち同様、overQさんの記事を楽しみにしてますね。
うちの記事にも、ぜひトラックバックしてくださいませ。
でも、overQさんのことだから、入手困難な素材もなんのその、
ちょいちょいちょい…っと作ってしまわれそうです。(笑)

とっても楽しいレストランでした♪
サンタクロースを招く際には、木彫りのトレーに、星型のお皿、とか、テーブルセッティングの凝りっぷりも楽しかったです。
仰け反るほどの参考文献の量でしたが、それに溺れることのない、地に足が着いた文章も印象的でした。
イラクサのシチュー、確かに色々出てきましたね! でも、なんでこんな面倒なものをつむいだり、食べたりするのかしら・・・。
などというのは、物が溢れる現代の感想なのでしょうね。
*トラバお返ししました。ありがとうございました♪

つなさん、こんにちは!
レストラン、楽しまれたようで良かったです~。
ほんとテーブルセッティングの凝りっぷりはすごかったですよね。
見た目にもとても美しくて(ダーウィン以外は… 笑)
日頃、料理の本にはあまり興味がない私でも、すっごく楽しめました♪

そうそう、イラクサ。
相当量のイラクサを紡ぐのが王子さまと結婚する条件、みたいな話もありますよね。
お姫さま自ら紡いでることも結構あるし…
王子さまと結婚したり、お姫さまをやってるのも楽じゃなかったんですね。(笑)

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