「ブライトン・ロック」グレアム・グリーン

Catégories: / /

 [amazon]
ブライトンに来て数時間のうちに殺されてしまったヘイル。検死結果は自然死だったのですが、殺される直前にヘイルに会っていたアイダは、本当に自然死なのか疑問を持ち、色々と調べ始めます。ヘイルを殺したのは、17歳の少年・ピンキーとその仲間たち。ピンキーたちのやり口は万全のはずだったのですが、彼らは1人だけ、自分たちの行動を証言できる人間がいることに気付きます。ピンキーは早速その1人、16歳の田舎娘・ローズに近づき、今後彼女が証言したりすることのないよう、結婚してしまおうとするのですが...。

ブライトン・ロックと言ったら、私はQueenの曲しか思い浮かばないんですけど(笑)、ブライトンで売られている棒キャンディーのことなんだそうです。棒のどこで折っても「ブライトン」という字が現れる... って、要するに観光地名産の金太郎飴のことなんですね。(笑)
これは初期の傑作とされている作品。これまで読んだグレアム・グリーンの作品の中では、これが一番面白かったです。キリスト教色に関してはいいんですけど、やっぱり戦争色は薄い方がいいなあ... と言いつつ、「権力と栄光」は、実は気に入ってたりするんですが。(読んでから時間が経つにつれ、だんだん印象が鮮明になってきました)
この作品のピンキーは、何をしでかすか分からない不良少年。はっきり言って悪党です。周囲から見れば、どう考えてもローズがピンキーに騙されているとしか見えないでしょうし、アイダもそう考えてるんですが、実際のところはちょっと違うんですよね。ローズは世間知らずだけど、愛する男と結婚できるというだけで有頂天になってしまうような娘ではないんですもん。それでも、アイダは一度会っただけのヘイルのために、そして彼女自身が「正しいことをするのが好き」なために、ローズにつきまといます。...世間一般的には、アイダの方が圧倒的に正しいはずなんですが、この作品の中で魅力的なのは、何と言ってもピンキー。この2人がカトリック信者だということが、後のグリーンの作品の方向性を予感させるようです。(ハヤカワepi文庫)


ということで、これでハヤカワepi文庫の現在刊行されている35冊は全て読了です。
ボリス・ヴィアンの「日々の泡」だけは、先に新潮で読んでたんですが、今年の3月22日にアゴタ・クリストフの「悪童日記」を読んで以来、全部読み終えるのに3ヶ月ちょっと。最後にかたまってしまったグレアム・グリーンは、私にとってはちょっと難物だったんですが、だんだん良さが分かりそうな気もしてきたし、その他に大好きな作品がいっぱい。アゴタ・クリストフ「悪童日記」も、カズオ・イシグロ「日の名残り」も、リチャード・ブローティガン「愛のゆくえ」も、アンジェラ・カーター「ワイズ・チルドレン」も、アニータ・ディアマント「赤い天幕」も、ニコロ・アンマニーティ「ぼくは怖くない」も... と書くとキリがないのでやめますが(笑)、素敵な作家さんとの出会いが多くて、面白い作品も色々とあって、この3ヶ月すごく楽しかったです。早く次の本も刊行されないかな。次にどんな作品が読めるか、今からとっても楽しみです。


+既読のグレアム・グリーン作品の感想+
「第三の男」グレアム・グリーン
「おとなしいアメリカ人」グレアム・グリーン
「負けた者がみな貰う」グレアム・グリーン
「権力と栄光」グレアム・グリーン
「事件の核心」「二十一の短篇」グレアム・グリーン
「ブライトン・ロック」グレアム・グリーン
「ヒューマン・ファクター」グレアム・グリーン

| | commentaire(2) | trackback(0)

Trackbacks(0)

「ブライトン・ロック」グレアム・グリーン へのトラックバック一覧:

URL TrackBack de cette note:

Commentaires(2)

こんばんは、いつもありがとうございます。
ブライトン・ロック・・たしかにクイーンしか思いつきません・・。お菓子のどのあたりかが、ロックになってしまうのでしょうか。

グレアム・グリーン。名前は知っていますが、その作品についてはまったく知りません。社会派サスペンス・・と言えるのでしょうか? 四季さんが言われるように、すこし難物なのかな。

とか言ってましたら、いま『第三の男』の原作者とわかりました! なるほど! 彼のイメージが一気に湧きました!

shosenさん、こんにちは~。
ブライトン・ロック、やっぱりクイーンですよね♪
ブライアン・メイの、ブライアン・メイによる、ブライアン・メイのための曲。(笑)
「ロック」ですが、本文中では「糖菓」という文字にロックというルビがふられていました。
イギリスでは、海水浴場などで細長い飴を売ってることが多いらしくて
そういうのは「○○ロック」と呼ばれているようです。(ということは、あの曲はお菓子の曲だったのか…)

グレアム・グリーンは、そうなんです、「第三の男」の原作者なんです。
これはキャロル・リードの映画のために書き下ろされた作品なんですって。
原作も読みましたが、原作よりも映画の方がインパクトが強かったです…(オーソン・ウェルズもいるし)
ええと、グリーンの作品の特徴は、まず戦争とカトリックみたいですよ。
「第三の男」は、そういう要素は薄い作品なんですが。

難物、というのは、多分私にとってだけじゃないかと…(^^;
イギリスでは、20世紀を代表する作家さんとされてますし
日本でもファンがとても多い作家さんのはず。全集だの選集だのも出てますし。
そういう作家さんの良さがなかなか分からないのって、なんだか悔しくて
半ば意地のように読み続けてしまいました。(笑)

コメントする(要JavaScript)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.