「アガメムノーン」アイスキュロス

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10年にも渡る攻防の末、トロイアの都イーリオンを攻め落とし、王妃クリュタイメーストラーに松明で報せを送ったアガメムノーン王は、イーリオンで捕えた王女・カッサンドラーを伴って凱旋し、妃の待つ王宮へと向かいます。しかし王宮に入る直前、予言者でもあるカッサンドラーが、王妃クリュタイメーストラーによってアガメムノーン王と自分が殺されることを予言するのです。

マリオン・ジマー・ブラッドリーの「ファイアーブランド」を読んで(感想)、ギリシャ物が読みたくなったところにこれを見つけたので、早速読んでみました。ギリシャ悲劇です。こんなの読んでたら、「また、反応できないような本を読んで~!」と言われてしまいそうですが... 最近、ネットのお友達に会うたびにそう言われてるような気が(^^;。
ここに登場するクリュタイメーストラーとは、トロイア戦争の発端となったヘレネーの姉妹。アルゴス王アガメムノーンの王妃です。そしてクリュタイメーストラーが自分の夫を殺そうと考えたのは、アガメムノーンが自分たちの娘・イピゲネイアを、アカイアー軍の戦勝のために生贄に捧げてしまったことへの恨み、そして10年間夫が留守だった間、自分自身が浮気をしていたこと。
題名は「アガメムノーン」になってますが、この作品の主人公はどう見てもその妻・クリュタイメーストラーです。

この作品を読んで一番面白かったのは、有名な伝説を悲劇に仕立てただけに、観客が事の結末を知ってるということ。だからクリュタイメーストラーの心にもない台詞を聞いて、逆にその欺瞞を感じ取るんですよね。(一種の倒叙... とは言えない? 笑) 中には結構面白い演出もありました。この悲劇はB.C.458年に実際に初上演されたそうなんですが、これって演じられてるのを観るのも結構面白そう。どんな風に演じられてたのか、観てみたくなっちゃいます。(もちろん古代ギリシャ語で演じられても、何が何やらさっぱり分からないですが) それにとても普遍的なんですね。結局、戦争というものも、それぞれ登場人物たちのドロドロした感情も、今も昔も変わらないわけだし... カッサンドラーの、予言の言葉から死を恐れずに宮殿に入るまでの一連の言動はとても哲学的で、そういったところもとても面白かったです。...ただ、古典作品の例に漏れず、この作品も訳注がとても多いんですよね。最初の1回目はその注釈を全部見ながら読むし、あまり面白くないんです。2度目3度目と読み返してるうちに、ぐんぐん面白くなるのですが。

そしてこの作品を読むと、やっぱりブラッドリーの描いたクリュタイメーストラーは魅力的だったなって、改めて思いました。「ポセイドーンの審判」の最後にちらっと登場しただけだったんですけど、存在感も抜群でしたしね。この「アガメムノーン」は、娘を殺されたクリュタイメーストラーに半ば同情しているようでいて、やっぱり男の論理って感じだし... こういった古典作品(聖書含)は男性の視点から書かれてることの方が圧倒的に多いので、同じ出来事を色んな視点、特に現代女性の視点から描きなおすと、まるで違った部分が見えてきて、新鮮だし面白いですね。(岩波文庫)


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