「月魚」三浦しをん

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瀬名垣太一は、古書店「無窮堂」の三代目店主・本田真志喜を訪ねます。太一は店舗を持たない古本卸売り業者で、真志喜とは子供の頃からのつきあい。今度M県の山奥に買い付けに行くので、真志喜に付き合ってくれるよう頼みに来たのです... という「水底の魚」、2人の高校時代を描いた「水に沈んだ私の村」、そして文庫書き下ろしの「名前のないもの」の3編。

読み終えてから、三浦しをんさんが直木賞を受賞したことを聞いてびっくり。そうだったんですかー。いや、実は誰が候補になってるのかというのも知らなくて...(要するに関心がない) 森絵都さんとダブル受賞なんですね。おめでとうございます。
ということで、別にタイミングを狙ったわけじゃないんですけど、三浦しをんさんです。この文庫が出た時、装幀が可愛かったので買おうかなと思ったこともあったんですが、そんんなこんなしてるうちに、ボーイズラブっぽい...という話も入ってきて...(笑) でも古本屋の話だと聞いてまた気になってみたり...(笑) タイミング良く本を頂いたので早速読んでみました。

古本業界や稀覯本をめぐる収書家たちにまつわる話となると、まず紀田順一郎さんの「古本屋探偵の事件簿」を思い出すんですが(これはとにかく濃かったー)、この作品もそういった古本業界にまつわるエピソードが面白かったです。太一の父親は、古本屋で少しでも価値のありそうな本を漁って専門店に持って行ったり、廃棄場に捨てられている本をこっそり拾って古本屋に売りに行く、古本業界では「せどり」と呼ばれて嫌われる業者。その辺りの話も面白かったし、M県の奥に買い付けに行った時の話がいい! 亡くなった旦那さんの本に対する奥さんの思いとか、蔵書の中からたった1冊の本を選んだ時に真志喜たちがつけた理由とか、そしてその決着とか。親族たちとのやりとりも良かったし... 図書館の本に対する真志喜の言葉にはどっきり。
全体に流れる透明感のある静かな雰囲気も好きでした。でも真志喜と太一の関係については、どうなんだろう。2人が共有した過去の出来事や、そこから受けた傷、そして負い目、その辺りはとても良かったと思うんですが、ボーイズラブ的な雰囲気に関してだけは、今ひとつ。思わせぶりな雰囲気だけで、そのままフェイドアウトなんですもん。この曖昧さがいいのかもしれませんが、中途半端に逃げたとしか思えなくて。これで終わらせてしまうぐらいなら、最初からそんな雰囲気にしなければ良かったのに。それか逆に、真正面から全てを書ききって欲しかった。...まあ、そうなると読者をかなり限定してしまいそうですが(^^;。
でもひっかかったのはその部分ぐらいで、あとはとても面白かったです。(角川文庫)


+既読の三浦しをん作品の感想+
「しをんのしおり」三浦しをん
「月魚」三浦しをん

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月魚 月魚 オススメ! 秘密を抱え、彼は彼に会いに行く。あの雑木林の向こう、古書店「無窮堂」まで。 瀬名垣太一は古書店「無窮堂」で向かっていた。 ... » Lire la suite

Commentaires(4)

四季さん、こんばんわ^^

真志喜と太一がなんとも思わせぶりな雰囲気ですよね。
しをんさんのシュミ全開って気がしました。
きっと二人とも美男子なんでしょうね(笑)
四季さんの感想の中の・・・

>図書館の本に対する真志喜の言葉にはどっきり。

に、私もどっきり。そうなんです。
私も真志喜の言葉が胸にグサッとつきささりました(^^;

かなめさん、こんにちは~。
ほんと、あの2人の雰囲気は「何かあるゾ!」ですね。
最初の方の会話からして、もうその気配がぷんぷんと。(笑)
…でも何もなかったので、ちょっと拍子抜けしました。(期待してたのかーっ)

図書館の本への言葉、かなめさんもどきっとされましたか。
すごい言葉でしたよね。確かに言われてみればその通りなんだけど…
でも確かに函は捨てられちゃうし、無粋な印は押されるけど
死んでるとまでは言って欲しくないなあ、なんて思ったりもしました。

例えば作家さんが、自分の本が図書館で読まれるのを嫌がるというのはよくありますけど
古本業界にも色々思われてたんですね。
図書館の存在って、フクザツ…

こんにちは^^TBさせていただきました。
この作品、私は高校生の時に読んだのですが、最初は不思議な2人の関係にドキドキしつつ^m^よんでました。
古本業界については、この作品を読むまで全く知りませんでしたね。
2人の関係にドキドキ、鑑定結果にドキドキ。
最初から最後まで、楽しめた作品でした^^
私も、気配があるな・・・と思いつつ、何もなかったので、な~んだって気がしなくもなく^m^

真志喜の図書館の本の言葉は驚きました。
本が好きで、私はたくさん本を読んでいるんですけど、図書館で借りることが多いので。
図書館は利用者にとっては良いかもしれませんけど、他の業界ではいろいろ考え方が違うんだなぁと思い知らされました。

苗坊さん、こんにちは。TBありがとうございます(^^)。
あ、高校の頃に読まれたんですか。それはなかなかいいタイミングで読んでらっしゃいますね。
2人の関係に、一番ドキドキしながら読める年代かも?!

真志喜の言葉に関しては、ちょっと厳しすぎるというか何というか、正直、色々と反論したい部分もあるんですけどね。
あんなこととか、こんなこととか知ってるの?って。
でも、そういう風に見てる人もいるんだなあということ自体、知ることができて良かったです。

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