「ヘレネー誘拐・トロイア落城」コルートス/トリピオドーロス

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トロイア戦争関係の作品は色々ありますが、そもそものトロイア戦争の発端となった、パリスがヘレネーを連れ去った事件について書いているのは、このコルートスの「ヘレネー誘拐」だけなのだそうです。そして一緒に収められているのは、「ヘレネー誘拐」とは対照的に、トロイア最後の日を描いた、トリピオドーロスの「トロイア落城」。こちらには「トロイアの木馬」の製作過程、そしてアカイア軍がトロイアを攻め落とす様子が詳細に描かれています。

どちらも叙事詩としてはとても短い作品。「ヘレネー誘拐」には、もう少ししっかり書き込んで欲しい部分もありましたが... 不和の女神エリスの投げ込んだ黄金の林檎に「一番美しい女神へ」みたいな言葉がないので、なぜ3人がいきなり林檎を欲しくなったのか分からないし、しかもなぜいきなりパリスが審判を務めることになったのかも分からないんですよね。でもパリスとヘレネーの場面はやっぱり面白かったです。最後には、ヘレネーの娘のヘルミオネーも登場しますし。そして「トロイア落城」は、マリオン・ジマー・ブラッドリーのファイアーブランドにとても近くて、「これこれ、こういうのが読みたかったのよ」。
会話文、特に女性の言葉の訳し方にはひっかかってしまったんですが(女性の一人称が全ての「あたし」だなんて!)、全体的には面白かったです。注釈の入れ方もとても分かりやすいですね。例えば岩波文庫の注釈の入れ方って、オーソドックスだけど、読みづらいことも多いんですよね。最後にまとめて注釈のページがあるというのもそうなんですが、作品そのものに関する説明だけでなく、訳出上のことまで書かれていたりして、どれが本当に必要な注釈なんだか分からなくなってしまいます。何でもかんでも注釈がついてたら、そのたびに読むのを中断させられてしまって、流れを楽しむどころじゃなくなっちゃいますし。

解説では、クイントゥスの「トロイア戦記」が何度となく引き合いに出されてました。こちらも読んでみなくっちゃいけないですね。でもまずは「イリアス」にいきます。ちょっとしんどそうだけど... これまでギリシャ神話は好きでも、トロイア戦争にはほとんど興味がなかったはずなんですが、気がついたらすっかりハマってますね。(笑)(講談社学術文庫)

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Commentaires(2)

こんにちは、
ギリシャ神話は阿刀田高さんの『ギリシャ神話を知っていますか』をかなり前に読んで以来好きになりました。
そこでも書かれていましたが、ギリシャ神話にはけっこう強引な辻褄合わせがよく出てきますよね。
もともとばらばらだった物語をつなぎ合わせたためだそうですが、
ギリシャ神話はこういう辻褄合わせも楽しい(笑)
おいおいと突っ込みを入れつつ。

そもそもゼウスの浮気からほとんどの事件が起こっているところなど、突っ込みどころ満載なのがギリシャ神話ではないか、とも思います。
それに怒るヘラ、夫婦漫才…ではないですね。
リンゴをめぐってケンカしてる女神サマなんて、いい世界だなぁ。

nyuさん、こんにちはー。
ギリシャ神話、いいですよね! 子供の頃から大好きなんです。
一神教の神様は、その存在が既に模範ぽくて、あまり面白味がないですが
(旧約聖書に出てくる神様は、結構すぐに感情的になりますが…)
多神教の神様って、ある意味、人間よりもよっぽど人間的ですよね。感情的でドロドロしてて。
あの人間ドラマは、いくら見ても見飽きない感じです。
…そうそう、結局ゼウスの女好きが諸悪の根源なんですよね。
これでゼウスが全くの堅物だったら、きっと全然面白くなくなっちゃうんでしょうねー。(笑)

阿刀田高さんの本は、実はほとんど読んだことがないのですが
「○○を知っていますか」シリーズは、入門編に良さそうですね。
「新トロイア物語」もいいらしいので、今度読んでみようと思ってます。

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