「世界の涯の物語」「夢見る人の物語」ロード・ダンセイニ

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ダンセイニの初期の作品を集めた短編集。その四大幻想短編集のうち、「世界の涯の物語」には、「驚異の書」「驚異の物語」が、「夢見る人の物語」には「ウェレランの剣」「夢見る人の物語」完全収録されています。短編ばかり全61編。オリジナル短編集と同じく、シドニー・H・シームの挿絵も全て収録。

J.R.R.トールキンやH.P.ラヴクラフト、アーサー・C・クラークを始めとするファンタジー、ホラー、SF作家たちに、日本でも稲垣足穂氏に多大な影響を与えたというダンセイニ。19世紀から20世紀にかけて生きていたという作家さんらしく、現代のファンタジーのようなサービス精神はなくて、むしろそっけないほどなんですけど、じっくりと読めば雰囲気はたっぷり。文章を少し読むだけでダンセイニによって書かれたというのが分かりそうなほどです。
ダンセイニといえば、「ぺガーナの神々」(感想)のような創作神話、「魔法使いの弟子」(感想)のような幻想的な作品、「魔法の国の旅人」(感想)のようなユーモアたっぷりの作品と色々あるんですが、この短編集もバラエティ豊か。幻想的な異世界を感じる作品もあれば、異世界と現代のロンドンを繋ぐような作品もあり、盗賊や海賊が活躍する冒険物あり、幻の都を目の前にしているような作品もあり、酒を片手に聞き出したホラ話のような作品もあり。その結末も、ハッピーエンディングと言えるものもあれば、思わぬ冷たさに突き放されるものもあり、意地悪なほど現実的なものもあり。でも驚いたのは、まるで違う雰囲気の短編が隣同士に来ていてもまるで違和感がなくて、それどころか、異全てがどこかで繋がり合った1つの世界のように感じられたこと。どれもダンセイニにとっては同じ世界なんでしょうねー。幻の都も世界の涯も、全ての道はロンドンに通じる?(笑)
「世界の涯の物語」では、ほとんど神話の匂いを感じなかったのでちょっと意外だったんですけど、「夢見る人の物語」はもっとダンセイニらしい神話の世界を感じる作品集でした。とは言っても、「ぺガーナの神々」ほどではなくて、そのエッセンスという感じですけどね。それと、稲垣足穂の「黄漠奇聞」に登場するバブルクンドの都は、やっぱりこちらが元ネタだったんですね。あの作品の最後に「ダンセーニ大尉」が登場しますものねー。(河出文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「世界の涯の物語」「夢見る人の物語」ロード・ダンセイニ
「時と神々の物語」「最後の夢の物語」ロード・ダンセイニ

+既読のロード・ダンセイニ作品の感想+
「ぺガーナの神々」ロード・ダンセイニ
「魔法使いの弟子」ロード・ダンセイニ
「魔法の国の旅人」ロード・ダンセイニ
「妖精族のむすめ」ロード・ダンセイニ
「エルフランドの王女」ロード・ダンセイニ
「影の谷物語」ロード・ダンセイニ
「ダンセイニ戯曲集」ロード・ダンセイニ
「牧神の祝福」ロード・ダンセイニ

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Commentaires(2)

ダンセイニ大好きです。河出版の短編集成は本当にファン感涙のシリーズでした。
そうそう、初めて読んだときは、とっつきにくかったのですが、再読したらすごく面白くてやみつきになってしまいました。そのときは荒俣宏訳でしたが、今回の新訳シリーズも、ユーモアをうまく生かした翻訳で、なかなかよいですね。
「ダンセーニ大尉」! 僕はダンセイニ経由で稲垣足穂を読むようになったのですが『黄漠奇聞』は、ダンセイニの枠を借りながらも、ちゃんと足穂の物語になっていて、非常に感心しました。

kazuouさん、こんにちは!
ほんとこの河出版の短編集は豪華ですよねえ。
まだ2冊しか読んでないんですが、後半の2冊もすごく楽しみです。相当分厚いですが…。(笑)
ただ、今回の新訳もとてもいいと思うんですけど、
さっきちょっと読み比べてみたら、荒俣宏さんの訳の方がどうも自分の中にするっと入ってくるみたい。
実は「妖精族のむすめ」も持ってて、収録作品がこの2冊とほとんど重なるからどうしようかなと思ってたんですが
勢いのまま読んでしまおうかと思ってます。(笑)

「黄漠奇聞」、いいですね!
こちらの短編集を読み返した後で再読して、やっぱりいいなあと思いました。

>ダンセイニの枠を借りながらも、ちゃんと足穂の物語になっていて
本当に、まさにその通りですね。
稲垣足穂に他にダンセイニに枠を借りた作品があれば、そちらもぜひ読んでみたいものです。
(稲垣足穂も、本当はもっと読みたいんですよねー)

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