「妖精族のむすめ」ロード・ダンセイニ

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短編20編と「五十一話集」の入った本。短編20編は、先日読んだ「世界の涯の物語」「夢見る人の物語」(感想)とほとんど重なってるし、「五十一話集」も、その2冊に続いて出た「最後の夢の物語」に入ってるので、読むのをどうしようかちょっと迷ったんですが、訳者さんは全部変わってるので、こちらも試しに... と読み始めてみると、これがまた全然違う! こちらの「妖精族のむすめ」は荒俣宏編訳で、荒俣さんの訳が半分ほどあるんですが、この荒俣さんの訳で読むダンセイニ、いいですねえ。先に読んだ2冊も含めて、他の方の訳も悪くなかったんですが、個人的には荒俣宏さんの訳が一番好み。なんだかするんと身体の中に入ってくるし、情景ももっと鮮やかに拡がるような気がします。今まで海外作品を読んでいる時に、荒俣さんの訳が特に良かったという印象もなかったので、これにはちょっとびっくり。読んだばかりの話ばかりなのに、ものすごく新鮮な気持ちで読み終えてしまいました。
訳を逐一照らし合わせて読むようなことはしなかったので、細かい違いについては書けないんですが... 「世界の涯の物語」の「女王の涙を求めて」では意味が分からなかった「キャベツ」が、「妖精族のむすめ」では判明したし! あと、「老番人の話」では「秘薬」と訳されてる言葉が、「妖精のむすめ」では「ゲンコツ」になってるのが気になりました。元はどんな言葉なんだろう!
「五十一話集」の方は、それらの短編よりもさらに短く、1~2ページ、多くても3ページほどの掌編。「兎と亀の競走に関する驚くべき真相」ではイソップのウサギとカメの話の知られざるオチがあったり、ちょっと楽しいです。稲垣足穂は、これに触発されて「一千一秒物語」を書いたのかなあ。(ちくま文庫)


+既読のロード・ダンセイニ作品の感想+
「ぺガーナの神々」ロード・ダンセイニ
「魔法使いの弟子」ロード・ダンセイニ
「魔法の国の旅人」ロード・ダンセイニ
「世界の涯の物語」「夢見る人の物語」ロード・ダンセイニ
「妖精族のむすめ」ロード・ダンセイニ
「エルフランドの王女」ロード・ダンセイニ
「影の谷物語」ロード・ダンセイニ
「時と神々の物語」「最後の夢の物語」ロード・ダンセイニ
「ダンセイニ戯曲集」ロード・ダンセイニ
「牧神の祝福」ロード・ダンセイニ

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Commentaires(6)

荒俣宏は、ダンセイニを訳したくて、翻訳家になった…というぐらいですからね。ダンセイニの訳に限っては、著者への愛情と熱意が感じられるところが好ましいです。
河出版の訳が平易な散文風だとすると、荒俣訳は雄渾な叙事詩風といったところでしょうか。ダンセイニの原文は聖書の言葉を参照したという、古雅な文体だそうですから、感じとしては荒俣訳の方が近いんでしょうね。

ああ、やっぱり愛情と熱意なんですね。(笑)
そうですね、紹介したい一心で訳すのと、普通に仕事で訳すのとは、結果がちょっと違ってきそうですものね。
熱意が空回りすることなく、見事な訳になって、しかもそれが読めたというのがすごく嬉しいです。読んで良かったー。
わ、ダンセイニの原文は聖書の言葉を参照してるんですか。それは知りませんでした。
じゃあ、本当に荒俣訳の方が原文に近そうですね。河出文庫版の訳も悪くはないんですけど、確かに散文風ですものね。
きっと原文で読んだら、素敵なんでしょうねえ。いつかぜひ読んでみたいです。

ダンセイニ関連をググってたらここに来ました。
日記を見たら「ゲンコツ」の事が書いてあったので、
情報という事で次の場所をお知らせします。

「今だからこそロードダンセイニ『ペガーナの神々』を」
ttp://book3.2ch.net/test/read.cgi/sf/1093699777/
(先頭のhを抜いてあります)
ここの71~73に、書いてありますので。
また、ここでは他の荒俣訳での問題点も指摘されています。(18など)
(いずれにせよ、原文を読まないと比較出来ませんが……)

うしとらさん、はじめまして。
「ゲンコツ」について教えて下さって、ありがとうございます。
そういうことだったんですね。納得です。
荒俣訳の問題点についても、すごくよく分かりました。なるほど~。
でもまあ、色々とあるようですが、やっぱりダンセイニを日本に紹介したのは荒俣さんだし!
この作品の訳も、作品としてすごく好きです(^^)。

>四季さん
参考になって良かったです。
荒俣訳は、私もあれはあれで好きなんですが、「研究などの底本としては使えない」と言うのが正しいように思います。
個人で楽しむ範囲でなら、読むのはどっちでも構わないと思いますけどね。
(一応、河出文庫での訳と読み比べておいた方がいいとは思いますが。「サクノス」のように荒俣訳で明らかに間違ってる部分もありますし)

そうですね、確かに読み比べてみた方がいいのかも。
間違いというのもありますし…
私が荒俣訳の良さに気付いたのも、河出文庫を読んだあとに、これを続けて読んだからでしたし。(笑)
河出文庫版の後半2冊は未読なんですが、「ぺガーナの神々」なんかも結構違うのかもしれないですね。
印象がどんな風に変わるのか、そういう部分もちょっと楽しみです。

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