「ケルト民話集」フィオナ・マクラウド

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昨日に引き続きのフィオナ・マクラウドのケルト作品集。こちらには9編が収められていて、その中の1編「クレヴィンの竪琴」は、「かなしき女王」の「琴」という作品と同じです。

巻末の解説で荒俣宏氏が書いている通りの、「呪詛と涙と月光と妖精の妖しい火とにあふれ」た作品集。
「かなしき女王」に見られるような、あからさまなキリスト教のモチーフはなくて、こちらではもっと自然に溶け込んでいるという違いはあるんですが、相変わらずの陰鬱な空気が重く立ち込めていました。ここに書かれているのが全てというわけではないでしょうけど、スコットランドのケルトって、本当にここまで暗くて哀しいのでしょうか。それとも、実はウィリアム・シャープという男性であるフィオナ・マクラウドが、「フィオナ」の名前を使った時に初めて、心に霊が宿っていくらでも言葉が出てくるという、ちょっと霊媒師的な執筆形態によるもの? でも読んでいると、まさしく当時のケルトの人々の心の中に入り込んで書いているような印象。

そしてフィオナ・マクラウドの本を2冊読んで思い出したのが、W.B.イエイツの「ケルト妖精物語」「ケルト幻想物語」「ケルトの薄明」(感想)。イエイツが採取した一連のケルト民話って、基本的にとっても素朴なんですよね。物語としては稚拙なほどで、「おとぎ話」のレベル。でも同じように民話を採取して、それを元に書いているはずなのに、こちらは物語として遥かに洗練されているんです。まさに「幻想作品集」という言葉が相応しい作品群。作家の手を経るだけで、これだけ違ってしまうもの? それともイエイツが歩き回ったアイルランドと、フィオナ・マクラウドの滞在していたスコットランドの小島の違い? ああ、まだまだ分からないことがいっぱいだー。

私が好きなのは、「クレヴィンの竪琴」「雌牛の絹毛」と「ウラとウスラ」の3編。英雄譚を思わせ、神話の時代に通じるものを感じさせる作品です。(ちくま文庫)


+既読のフィオナ・マクラウド作品の感想+
「かなしき女王 ケルト幻想作品集」フィオナ・マクラウド
「ケルト民話集」フィオナ・マクラウド

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