「温室デイズ」瀬尾まいこ

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中学3年生の中森みちるは、崩れ始めたクラスの兆しを敏感に感じ取っていました。崩すのに2週間はかからないけれど、戻すのには半年以上かかる、そのことを小学校6年生の時に実感していたみちるは、クラスの終礼の時に何とかしようとクラスメートに呼びかけます。しかしそれが呼び水となって、それまで友達も多く好かれていたはずのみちるが、一気にクラスのいじめられっ子になってしまうのです。そしてそんなみちるを見ていられなかった優子も、教室に入れなくなってしまい...。

この作品を読むまで知らなかったんですけど、瀬尾まいこさんって中学校の先生だったんですね! なるほど、崩壊してしまったクラスの描写がリアルなはずです。現場を知っている人ならではですよ。とは言っても、ただ教師でいるだけじゃあ、こういう作品は書けないですよね。この作品の中にも、実際にその目で見ていながら、何も見ていないような教師が登場してますし。
「一人になりたくてなるのと、一人にされるのとはわけが違う」という優子の思い、「単なるパシリは情けないけど、有能な使えるパシリなんだぜ。逆にちょっとかっこいいだろ?」「パシリになるのと、パシらされるのは根本的に違うんだって」という斉藤君の言葉。結果的には何も変わらないかもしれないし、第三者から見る分にはまるで同じかもしれないけれど、それでも自分が選択するということの大切さ。もう既に崩壊してしまった学校でも、やはり温室に変わりはないのか、という思いはあるんですが、それでもはり学校というのは、社会から守ってくれている存在。その学校という空間を自分が選んでいるのか、それとも選ばされて仕方なく通っているだけなのか、というのは本当に大きく違いますし、実際に自分から通うことを選んだ優子の存在は、みちるの目には実に自然な姿に映っています。そして、自分できちんと考えて選んだことに正しいも誤ってるもないのですね。

最後を迎えても、外見的には特に何も大きく変わることはないし、悪戯に希望を持たせるわけでもないのだけれど...(ほんのりとした希望は感じられますが)
最近の私は海外作品ばかり読んでて、それは何より楽しいからだし、そういう作品からも得るものが色々とあると思ってるんですけど、そういうのしか読まないというのも、逆に片手落ちだと思うんですよね。この「温泉デイズ」は、1時間もかからずに読めてしまうような作品なんですが、でも日本のこういう作品も読まなきゃダメだな、そんな思いが残りました。とてもいい作品だと思います。(角川書店)


+既読の瀬尾まいこ作品の感想+
「幸福な食卓」瀬尾まいこ
「優しい音楽」瀬尾まいこ
「温室デイズ」瀬尾まいこ
Livreに「卵の緒」「図書館の神様」「天国はまだ遠く」の感想があります)

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Commentaires(8)

四季さん、こんにちは^^
『温室デイズ』私も読みましたー。
可愛らしい表紙とは裏腹に
イジメの場面が結構きつかったです。
個人的には優子がすごく好きでした。
ところで四季さんにとってこの本は
"1時間もかからずに読めてしまうような作品"
なんですか!
それってめちゃめちゃ早いですよー(笑)

かなめさんも読まれたんですね!
うんうん、結構イジメの場面はキツかったですね。
でも普段はそういう話は苦手なのに、これは大丈夫だったんですよ。なぜかしら。
少なくとも、乙一さんの「死にぞこないの青」ほどには、読んでてしんどくはなかったです。
あれは本当にツラくて、今でも「イジメ」と言うとあの本を連想してしまうほどなので…(^^;
優子、いいですよね。自然体だし、一度いじめられた経験を持つせいか、芯が強くて。

えっ、1時間でもめちゃめちゃ早いですか?!
実際には40分ぐらいだったんです… もっとじっくりと読めって言われてしまいそう。(汗)

かなめさんの感想も拝見させて頂きますね。楽しみです~(^^)。

四季さん、おかえりなさい~♪

私も「イジメ」と言うと「死にぞこない~」を
すぐ思い出しちゃいますね。
しかもあれは教師が始めた事でしたし
キツかったですよね・・・。

ところで実際は40分で読了されたんですか!
すごい早いです~ビックリ。
私はコマ切れで読みましたけど
トータルで5時間くらいかかりました(^^;

えへへ、ただいまです~♪

あ、やっぱり「死にぞこない~」を思い出しますか。
あれはほんとキツかったですよね… そうそう、教師が始めたことだったし。
学生時代が過ぎ去った私にもこれだけのインパクトだったら、
現役の人にはどれだけキツいんだろうって考えちゃいましたよ。
あの作品だけは、再読できそうにないです。(^^ゞ

そうなんですよ、40分。
普段は時計なんて見てないんですけど
その時は、丁度そのぐらいの時間の余裕があったんですよね。
あ、でもコマ切れになると、その方が一気に読むよりずっと時間がかかりますよー。
私の場合、前に何が起きたかすぐ忘れてしまうので、
何度も何度も遡って読み返すことになっちゃうんです。(^^ゞ

初めまして。
温室デイズを検索していてたどりつきました。
菜乃花といいます。(o*。_。)o
私も、こんな崩壊した教室にいて、それは温室なのか?という気はするのですが、大人からみたら、やっぱりそこは「温室」なんでしょうね。
でも「温室にいていいよな」と言われても、本人が「温室」が心地いいかは別の問題なんですよね。
自分で選ぶことの大切さ、というか、自分の中でプライドをもち、自分の納得するように考えることが、自分を保つうえでたいせつなのかなぁと考えました。

トラバさせていただきますね。

菜乃花さん、はじめまして!
コメントとTBありがとうございます。
留守にしてたもので、お返事がすっかり遅くなってごめんなさい。
この作品、とても良かったですよね。
どんな環境にいる時でも、たとえ他人にはあまり評価されないような環境でも
きちんとした理由の上で、自分でその環境を選んでいるのであれば
おのずと姿勢が違ってくるんだろうと思いますし
そこから得られるものも違ってくるのでしょうね。

こんにちは^^
TBさせていただきました。
瀬尾さんの作品としては、読んでいてとても辛かったです。
イジメ問題がテーマの本は、いつも避けてきたので^^;
乙一さんや重松さんは特に。
でも、瀬尾さんの作品だから・・・と言う事で、手に取りました。
読んでいてやっぱり辛かったですけど、でも考えさせられました。
今がこういう現状であるって事を、知らなければならないなぁって、思いましたね。
みちるは強いですね。
私だったらすぐに登校拒否しちゃいます、きっと。

苗坊さん、こんにちは。
TBありがとうございます。^^
瀬尾さんの作品って、色んなことがおきても
基本的にほんわりムードのものが多いのに
今回は真正面からイジメを捉えたって感じでしたねー。
やっぱり現場を知ってる人ならではだなって思いました。

ほんとみちるは強い!
でも、あと数ヶ月で終わるって分かっていたからこそ
頑張れたのかもしれないなって思います。
あれでゴールが見えなかったら…
うーん、ゾッとしてしまいますね。

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