「かなしみの場所」大島真寿美

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離婚して実家に戻り、雑貨を作っては梅屋に置いてもらって生計を立てている果那。自宅ではなかなか熟睡できないため、徹夜で作品を作っては梅屋に行き、納品がてら奥の三畳ほどの小部屋に眠らせてもらうのが毎日の習慣。そんなある日、果那を訪ねてきたのは、「カワサキリュウジ」という青年でした。果那の元夫の行方を捜すには、果那の寝言が鍵となっているのではないかと考えた「カワサキリュウジ」。実は果那には幼い頃に誘拐された経験があり、よく寝言で口にしていたのです。

大島真寿美さんの作品を読むのは初めて。実はサイン本を頂いてしまいました。ありがとうございます~。
読みながらずっと考え続けていたのは、「かなしみの場所」がどこなのかということ。どこなんでしょうね。登場する場所といえば、まず梅屋があるんですが、ここはとっても居心地が良さそうな場所なんですよね。ここにいる「みなみちゃん」とは、果那もよく気が合ってるし、自宅でもよく眠れない人間がすとんと眠ってしまえるような場所なんですもん。かといって、離婚する前に住んでいた家でもないでしょうし、その後戻った自宅も、伯母夫婦がマレーシアの息子のところに行ってる間留守番をすることになった伯母宅も、「かなしみ」とはちょっと違うし...。結局のところは、果那が既にぼんやりとしか覚えていない思い出のことなのでしょうかー。現在も決して不幸ではないけれど、そこだけぽっと暖かく色づいているような思い出。
静かな雰囲気の中で淡々と進んで、まるで透明な水のようにさらさら流れていく物語です。柔らかい色彩の装幀も綺麗で、この雰囲気にぴったり。果那とみなみちゃんのやりとりも楽しいです。ただ、時折ひっかかる部分も... その中の1つは、設定が時々妙に細かくなること。そんなに書き込まない方が、全体の雰囲気には合うと思うんですけど、何度も書き直してるうちに、場面によって深さが変わっちゃったのかな? とはいえ、これから人気が出そうな作家さんですね。この作品の透明感に惹かれる人は多そうです。(角川書店)

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 言葉にできない心に染みゆく思いというものを。生きていく、その愛おしさを。ここにあるという、そのせつなさを。そういうものを静かに密やかにゆったりと描かれた大島真... » Lire la suite

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四季さん、コンニチハ。
さ、さ、サイン本ーですかっ!!!素敵デス。
実は、わたしもこれが初・大島真寿美作品でした。
その後、はまってしまって懸命に追いかけている最中です。
児童文学作品も小説も透明感があって、
ゆうるりした雰囲気で心地よく読めるんですよ。
先日は、最新作の「ほどけるとける」を読みました。
やっぱりいいなぁ、好きだなぁと思ったわたしです。

ましろさん、こんにちは。
初めて読むというのにサイン本だなんて、おこがましいですよね。(^^ゞ
でもせっかくなので、いただいてしまいましたー。えへへ。
ましろさんも、これが初・大島真寿美作品だったのですね。
わあ、児童文学作品も書いてらっしゃる方だったのですか! それは知らなかった。
この透明感が、児童文学作品ではどんな感じなのか興味があります。今度探してみよう。

それにしても、この方の本の装幀はとても綺麗なのが多いみたいですね。
雰囲気にぴったり。素敵ですね~。

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