「幽霊屋敷のコトン」「トヴィウスの森の物語」井辻朱美

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「狂えるオルランド」にすっかりパワーを使ってしまったので、もう少し気軽に楽しめるファンタジーを... ということで井辻朱美さん2冊。井辻さんの作品が本当に気軽に楽しめるタイプかと聞かれると、ちょっと違うかなという気はするんですけど...。(笑)

「幽霊屋敷のコトン」は、代々伝わる古い屋敷に、既に亡くなった一族の幽霊たちと一緒に暮らしているコトンの物語。話そのものは、おとぎ話みたいに可愛らしくて(めるへんめーかーさんの挿絵がイメージにぴったり)、深みとしてはちょっと物足りないんですけど、その中で1つとても印象に残ったのが、コトンのおじいさんが亡くなる前にコトンに毎日日記をつけることを約束させて、「いいかい、おまえが書かなければ、一日は枯れた薔薇の花びらのように、くずれてどこにもないものになってしまうのだよ」と言った言葉。
この言葉、読書にも当てはまるなあと思って。私はこの6年半、面白かった本も面白くなかった本も、読んだ本の感想を毎日書き続けているんですけど、それはまず第一に自分のための記録なんですよね。(と、今まで何度も書いてますが) 安心してどんどん読み続けられるのも、ある意味、そうやって感想を書き続けているから。そうでなければ、きっと読んだ本のイメージはとっくの昔に、ぽろぽろほろほろと崩れ去ってしまっているんじゃないかと思います。もちろん、崩れ去った後にも、何かしら残っているものがあるでしょうし、それだけで十分なのかもしれないんですが... 何かしら書いてさえいれば、それを書いた時のことを、書かなかったことも含めて、色々と思い出せるもの。それはやはり自分にとって大きいです。

そしてこの「幽霊屋敷のコトン」は、とても水の匂いの濃い物語なんですが、それと対のようにして書かれたというのが「トヴィウスの森の物語」。とは言っても雰囲気はまるで違っていて、同じように水の匂いは濃くしていても、こちらは本当にファンタジックなファンタジー。
いずれは騎士となるべき少年、美しい妖魔の若者、黒い森、霧の立ち込める黒い大理石の城には魔王、地下の鍛冶場で仕事をしている性悪な小鬼たち... と、いかにもなモチーフが満載なんですが、その使い方、展開のさせ方が、やはり井辻さんの場合独特なんだなあと実感。美しくて詩的なんだけど、どこか非合理。やっぱりこれは井辻さんならではのファンタジーだなあ、ルーツを感じるなあ、と思うのでした。(講談社X文庫・ハヤカワハイ!ブックス)


+既読の井辻朱美作品の感想+
「風街物語 完全版」井辻朱美
「エルガーノの歌」「パルメランの夢」井辻朱美
「幽霊屋敷のコトン」「トヴィウスの森の物語」井辻朱美
「ヘルメ・ハイネの水晶の塔」井辻朱美
「遙かよりくる飛行船」井辻朱美
「ファンタジーの森から」「ファンタジーの魔法空間」井辻朱美
「夢の仕掛け 私のファンタジーめぐり」井辻朱美
「魔法のほうき」井辻朱美
「ファンタジー万華鏡」井辻朱美

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