「東西不思議物語」澁澤龍彦

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若い頃からヨーロッパの不思議物語を集め始め、徐々に日本の不思議物語にも目を向けるようになったという澁澤龍彦氏の、日本やヨーロッパ、あるいはインドや中国における不思議譚・怪異譚を紹介する本。

本人が文庫版あとがきに書いているように、軽い読物として書き流してる部分が目につきますし、既にどこかで聞いたような話も多かったんですけど、古今東西の不思議譚を網羅しての考察は楽しかったし、文章もいつものことながら、全然古さを感じさせなくて読みやすかったです。自分の好きなものを、気楽にコレクションしてるという感じがいいんでしょうね。前口上にも、「私は学者ではないから、七面倒くさい理窟をつけるのはあまり好きなほうではなく、ただ読者とともに、もっぱら驚いたり楽しんだりするために、五十篇に近い不思議物語をここに集めたにすぎないのである。したがって、読者のほうでも、あまり肩肱張らずに、私とともに驚いたり楽しんだりして下さればそれで結構なのである」とありました。確かにそういった読み方が相応しい本。さすが河出文庫の澁澤龍彦コレクションの1冊目、澁澤作品の入門編にぴったりの本かも。

「最も古い神話や伝説のなかに、私たちは最新のSFのテーマを発見することができる」なんていうのも面白かったし...
あと一番印象的だったのは、「ヨーロッパでは、ユートピアの別世界に到達するためには、いつも危難にみちた海を越えてゆく必要があった。ところが中国では、桃源郷に到達するには、ただ洞窟や木の洞をひょいとくぐり抜けたり、壺の中へひょいと身を躍らせるだけで十分だったらしいのである」という部分。確かにその通りですねー。中国でも、仙人の住む蓬莱山は海上にある島だと考えられていて、秦の始皇帝は不老不死の薬を求めて徐福を派遣してるんですけど、なぜか山のイメージが強いです。海の上にはあっても、やっぱり蓬莱「山」だから?(笑)
やっぱりヨーロッパにおけるヴァイキングのような存在がなかったからなんでしょうかねえ。倭寇はあったけど、明の時代だからあまり古くないし、時代を遡っていっても、やっぱり常に海よりも内陸部に目が向いてるような気がするし...。仙人の修行は基本的に山で行われるし。(多分・笑)
そしてヨーロッパの海とユートピアの関係って、感じてはいたけど、そういえば理論的にはまるで分かってないことに気付いてしまいました。そういうのって、既に論じられてるんでしょうね。そういう本が読みたくなってきたなあ。何かいいのないかなあ。(河出文庫)


+既読の澁澤龍彦作品の感想+
「私のプリニウス」澁澤龍彦
「異端の肖像」澁澤龍彦
「夢のある部屋」澁澤龍彦
「澁澤龍彦初期小説集」澁澤龍彦
「夢のかたち」「オブジェを求めて」「天使から怪物まで」澁澤龍彦
「高丘親王航海記」澁澤龍彦
「東西不思議物語」澁澤龍彦
Livreに「世界悪女物語」「幻想博物誌」「夢の宇宙誌」「フローラ逍遥」の感想があります)

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