「黄金の鎖」アレクサンドル・グリーン

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船員たちが全て陸に上がっている間、船室に1人残っていたのは、16歳の水夫・サンディ。そこに現れたのは、すぐに出帆して欲しいというドュロクとエスタンプと名乗る男たちでした。金貨35枚を提示され、かねてから冒険に憧れていたサンディは出帆することを了承します。行き先は、ガーデン岬にあるハヌーヴァーの屋敷。屋敷には当主のハヌーヴァーの他に、美女のジゲ、その兄のハルウェイ、友人のトムソンという客たちが滞在中でした。しかしその晩、部屋をあてがわれたサンディは、ふと入り込んだ図書室で、ハルウェイとジゲが秘密の話をしているのを盗み聞きしてしまいます。そして2人から隠れようとして、偶然隠し通路に入り込むことに。

ハヤカワ文庫FTなんですが、全然ファンタジーっぽくなかったです。4年前は貧乏だったハヌーヴァーが、偶然黄金の鎖を見つけてからは裕福になったという部分に、まるで鎖が幸運を運んできたような感じはあるんですけど、基本的にはとても現実的な冒険物語。
全体的には、それほど悪くないんですけど... なんでサンディがここまでドゥロクやエスタンプにここまで信頼されるようになったのか、ハヌーヴァーにそれほど気に入られたのか、あまり説明がないんですよね。もしこれが映画だったら、視線のやり方1つでも表現できそうなところなんですが、小説なんだから、その辺りはもう少し文章で説明して欲しいところ。屋敷の使用人にもあっさり受け入れられすぎなのでは? てっきり途中でサンディが、人を見る目のなさから痛い目に遭う場面があるかと思いましたよー。まあ、そういう部分にひっかからなければ、少年のロマンティックな成長物語、冒険物語として楽しめるのではないかと思うのですが。...でも、せっかくハヌーヴァーの屋敷には隠し部屋や隠し通路、自由自在に対話する自動人形といった美味しそうなモチーフが色々とあるのに、あまり効果的に使われているとは思えないんですよね。せっかくなのに、勿体ないなー。(ハヤカワ文庫FT)

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Commentaires(2)

そうそう! すごく面白そうなのに、あんまり面白くならないんですよね。ガジェットやモチーフなど、雰囲気なんかはいいんですけど。
アレクサンドル・グリーンって、どの作品でも幻想的な要素を散りばめながらも、お話自体は超自然的な展開を避けているというか、ファンタジーになりきらないところが、とってももどかしいです。少なくとも今まで読んだ『波の上を駆ける女』『深紅の帆』『消えた太陽』と、みんなそうでした。
それでも『消えた太陽』は短編集だけあって、あんまり気にならないんですけど、長編では結末まで読ませるリーダビリティに欠けるのは否定できないところですね。そういうわけで、今まで読んだグリーン作品で一番よかったのは、超自然味たっぷりの怪奇小説『魔のレコード』(河出文庫『ロシア怪談集』所収)だったりします。

わあ、kazuouさんはグリーンの作品を沢山読んでらっしゃるんですね!
私はこれが初めてで、ハヤカワ文庫FTに珍しいロシアの作家さんということで、ちょっと期待したんですが…
(子供の頃、ロシアのお話が大好きだったこともあって)
…ほんと、すごく面白そうな雰囲気なのに、なかなか面白くならないですね。(笑)
いかにも、なモチーフ満載なのに、なんででしょうね?
たとえ超自然的な展開はさせなくても、もっと使いようがあるような気がするのに。
一見超自然的に見えて、実は理に落ちるっていうのもいいんだけどなあ。(勝手に言ってます)
確かにこれだと短編向きかもしれないですね。

「ロシア怪談集」、面白そうですね。今は入手できないのかな?
古本屋か図書館で探してみますね。ありがとうございます(^^)。

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