「精霊たちの庭」M.L.カシュニッツ

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閉鎖されたとある古い庭に入り込んだ幼い兄妹は、1日中その庭の中を歩き回り、ひどい悪戯で庭を滅茶苦茶にして、動物や昆虫たちを傷つけてしまいます。そして夕方。気がつくと2人は、沢山の動物や精霊たちに取り囲まれていました。彼らは美しいブナの木の婦人を呼び出し、こんなひどいことをした兄妹は処罰されるべきだと言い始めます。「死刑だ!」という声に少女は泣き出し、ブナの木の婦人は、2人に太陽が昇るまでに「地の母」を見つけ、「海の父」のもとに行き着き、太陽の歌を聞き、「風の塔」でお客になることを言い渡すことに。

私が読んだのはハヤカワ文庫FT版なんですが、そちらは絶版で、しかもアマゾンにはデータすらない状態。雰囲気は多少違うかもしれませんが、訳者さんが違う同じ作品を見つけたので、そちらにリンクをはっておきますね。こちらのタイトルは「古い庭園」(同学社)です。

少年の征服欲のために破壊された庭や罪のない動物たちに償うために、旅へと出ることになってしまった兄妹の物語。どこかメーテルリンクの「青い鳥」の雰囲気。とにかく情景描写が綺麗な物語でした! これを読むと、道端の雑草に向ける目も変わってしまいそうなほど。と思っていたら、どうやらカシュニッツは詩人だったようですね。道理で詩的なわけです。
でも表向きはそんな風に美しくて、子供にも楽しめるような童話なんですが、そこには、飛ぶことのできないワシの話とか孤独に死んでいこうとする男の話とか、自然界に存在する様々な生と死の物語が挿入されていて、決して楽しいだけの物語ではありませんでした。子供たちは生と死を真っ向から突きつけられ、様々な生と死がそれぞれに連鎖していくことを実感として教えられることになります。たった一晩の旅なんですけど、2人は旅を通して春夏秋冬を体験することにもなりますし。実はなかなか厳しい物語。
ユニークだと思ったのは、兄妹を処罰して欲しいという動物や精霊たちに対して、ブナの木の婦人が弁護人を見つけようとすること。結局弁護人は見つからなかったのですが、ブナの木の婦人が裁判長で、動物や精霊たちは原告なんです。そしてブナの木の婦人が言い渡す2人の旅は、執行猶予なんですよー。生と死をきっちりと体験させることと合わせて、作者のドイツ人らしさを表しているように思えました。それともう1つ面白いのが、物語の中にギリシャ神話のエピソードが色々と引用されていること。ドイツとギリシャ神話って、なんだか不思議な組み合わせなんですが、カシュニッツ自身ローマに住んでいたこともあるようなので、その影響なんでしょうね。(ハヤカワ文庫FT)

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